(88)根回し
根回し・・世間で非常によく使われる言葉である。
『なにとぞ、よしなに…』
何げなく出された菓子鉢。その菓子鉢の中を、何げなくチラ見する代官。上げ底の菓子の下には金25両の包み金が並ぶ。
『! フフフ…◎◎屋、そちもなかなかの悪よのう』
『そう申されますお代官様も…』
『こやつ、言いよるわっ! フッフッフッ…』
『フフフ…』
などという会話が交わされたであろう時代から現代に至るまで、根回しの必要性がなくなった試しはない。^^ もちろん、いい意味の根回しもある訳で、事前工作で物事を成功へと導き、大いに助かる行為ともなる。
とある中学校の体育館である。
「監督! 僕、どうなんですかっ!?」
「お前なぁ~。…お前は補欠とレギュラーの際どいとこだっ!」
「…ってことは、出られる可能性も?」
「ああ、まあなっ! ははは…なくはないっ!」
「先生、これ、うちの店の特上品の試供品ですっ! どうぞ…」
「ははは…根回しかっ? 試供品ならいいか…。いや、悪いなっ! まっ! 考えておこう!」
部員は、これで出られるっ!…と、監督に一礼すると体育館を後にした。
大会当日、その生徒は今か今かと出番を待っていたが、残念ながらついに試合には出られなかった。
このように、根回しをしたからといって、必ずしも助かる結果にはならない・・ということになる。^^
完




