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(8)正しい運び方

 物を運ぶ場合、目的を達すればそれでいい・・と普通は思うが、実はそうではなく、正しい運び方というのがあるのだ。^^ 何を言ってるんだっ、あんたはっ! とお怒りの方もあるだろうが、事実なのだから仕方がない。運び方が悪いと、正しい運び方で運んだ場合と同じように目的は達せられるが、その先に展開する結果が全然、違ってきて、助かるものも助からないというのだからこわい。^^ ただ、正しい運び方をしても助からない場合も当然、あるにはある。このお話も、そんな一例である。

 とある片田舎かたいなかである。地方道を車で走って事故に遭遇そうぐうし、怪我けがをした男がパトカーで病院へ運ばれようとしていた。かすり傷だから、運ばれている自分の立場を忘れ、とやかく口が五月蝿うるさい。

「あと何分で着くんです、いったいっ!」

「いやぁ~、そう言われても、ここいらは病院がねえんでねぇ~~旅のお方」

 横柄おうへいな口をく男だな…と警官は思ったが、立場上そうとも言えず、聞き流した。

「まあ、それはいいとして、病院はあるんでしょうなっ!」

「そりゃ~、あるこたぁ~ありますよ」

「こんなかすり傷、どうでもいいからっ! 駅へ、駅へ頼みますよっ! 今日、着かんと、間に合わんのですっ!」

「そりゃそうなんでしょうがね。私も一応、仕事だもんでっ!」

 巡査も負けてはいない。これが正しい運び方なんだっ! と心に言い聞かせながら、反発して返した。

「分からん人だっ! 私がいいと言ってんだから、それでいいでしょうがっ!」

「いやいや、そういう訳には…。おっ! 見えてきましたっ!」

 巡査の声に男が外を見遣みやると、車が走る前方遠くに民家が見えてきた。だがそれは、どこから見ても病院ではなく、ただの民家だった。

「あれが病院?」

「はいっ! ここいらでは唯一ゆいいつの動物病院でっ!」

「ど、動物病院!」

「はいっ! まあ、あんたも動物なんだから、いいでしょ、ははは…」

「…」

 男は、何がははは…だっ! と怒れたが、そうとも言えず、心で俺は助からん…と思った。

 助かる軽い怪我でも、正しい運び方で心理的に助からない場合があるという、実に馬鹿げたお話である。^^ 


                  完

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