(75)見えないモノ
見えないモノは、どうしようもない。その理由は、見えないからだ。^^ 分かりきったことだが、これが、どうしてどうして、なかなか人には分からない。分かれば、助かるが…。^^
夕暮れどきの、とある繁華街の一角で、手相見の占い師が、細々(ほそぼそ)と机を前にして座っている。
「あの…見ていただけますか?」
一人のサラリーマン風の中年男が楚々(そそ)と訊ねた。
「えっ! ああ、どうぞ…。見るのが私の仕事ですからな、ははは…」
サラリーマン風の中年男は机の前の椅子へ、これも楚々と座った。
「で、どうされました?」
「あの…昨日から大事なナニ! が見つからんのです…」
「ほう! ナニがっ!! どれどれ、見て進ぜよう…」
占い師に言われるまま、サラリーマン風の中年男は片手を占い師の前へ差し出した。
「ははぁ~~。…ナニは見えないモノとして私にアソコにあると申しておりますが…」
「アソコ・・ですか?」
「はい! アソコです…」
「アソコか…? どうも有難うございました…」
「いえ、どういたしまして…」
サラリーマン風の中年男は見料を楚々と置くと、楚々と去った。
次の日の夕暮れどきである。サラリーマン風の中年男が占い師のところへ走り寄ってきた。
「アソコで見つかりましたっ!!」
「おおっ! それはよかった!! やはりアソコでしたか?」
「ええ、アソコでしたっ!」
見えないモノは見えないアソコで見つかり、助かるのである。^^
完




