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(71)気にしない

 余り気にしない方が助かるということがある。逆に言えば、気にし過ぎたばかりに、助からなくなった・・ということになる。何故なぜかは知らないが、まあ、そういうことのようだ。^^ 世の中に吹くよこしまな風は、人の弱みを探して、そこを攻めようとする。だから、気にしない方が返っていい・・と言える。逆に、その邪な風を吹き飛ばすぐらいの気分で望まないと、この世知辛せちがらい世の中を渡れない・・ということに他ならない。邪な風は、金欲、色欲、出世欲、地位欲、名声欲・・などと、いろいろな手法、手口で迫ってくるから油断できない。だが、立ち向かい過ぎれば、それもまた勇み足・・ということにもなり、ほどほどが肝要かんようということになる。^^

 駅の待合所で二人の男が話をしている。どうも列車の到着が遅れているようだ。

「いっこうに来ませんなっ! 早く来ないと、困るんですがっ!」

「ははは…私も困るんですがな。まあ、そうイラつかず、ゆったり待ちましょう」

 イラつく男とは真逆に、もう一人の男は落ち着き払った冷えた声で言った。

「そうは申されますがっ! もう、小一時間ですよっ!」

 イラつく男の声は熱湯のように高温である。

「ははは…小一時間だろうが小二時間だろうが、同じですよ。来るときには来るんですから、気にしないことです…」

「はあ、そらまあ、そうですが…」

 確かにその通りだ…と思えたのか、イラつく男は少し冷えた声で返した。そのときである。

『お待たせ致しました。まもなく上り2番ホームに特急 海胆寿司うにずしが入ります。黄色い線の内側に並んでお待ち下さい…』

「来たようですな、特上の美味うまそうな海胆寿司がっ!」

「はい…」

 特上じゃなく、特急だろっ! …とイラついた男は思ったが、かなり冷えたのか、思うにとどめた。しばらくすると、特急海胆寿司が 上り2番ホームへスゥ~~っと美味おいしそうに入線してきた。そのとき、二人は完全に冷えてその寿司をつまんだ・・ということはなく、乗車した。

 イラつかず気にしないと、いい感じでコトが進み、助かるというお話である。^^


                  完

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