(68)オブラート
お年を召された方なら、よくご存知だと思うが、以前はカプセルというものがなく、粉の薬はオブラートと呼ばれる溶けやすいデンプン質の薄い半透明の膜で包んだものだ。オブラートのような働きを人の言動にも当てはめ、オブラートに包んで言って下さい! などと表現することも出来る訳だ。遠回しに暈す効果があることから、物事に角が立たず、トラブルが未然に防げて大いに助かることになる。ただし、包み過ぎると、何を言いたいのか分からなくなるから、注意を要する。^^
とある区役所の商業観光課である。
「君ねぇ~、すでに西軍は岐阜、大垣くんだりまで進出しとるんだぞっ! 分かってるのかっ!!」
「…? はあ…」
課長、清須のオブラートに包んだような会話の意味が理解出来ず、徳秀は虚ろに返した。
「なにがなんでも大御所が到着されるまでに手立てを講じねば…。おいっ! 徳秀君、君の手腕にかかっとるんだっ!」
「? …なにがでしょ?」
「決まっとるじゃないかっ! オリンピックだよ、オリンピック!!」
「? オリンピックはまだ先の話ですが?」
「それはそうだが、手を打たんとっ!」
徳秀は手を打つ意味が分からず、もう少し、分かりよく言ってもらえると助かるのにな…と、思いながらオブラートに包まれた。
オブラートに包み過ぎると意味が分からず、助かるものも助からなくなる・・というオブラートに包んだようなお話だ。^^
完




