(6)幸運
おっ! これはこれは…と思える予想外の展開で危機から脱して助かることがある。幸運・・と呼ばれるものだが、目に見えない何らかの力に助けられる訳だ。目に見えないからお礼のしようもなく、ペコリッ! と、頭を下げることくらいしか出来ない。^^
二人の老人が病院の待合所の椅子で話し合っている。
「と言われますと、そう大してお悪くはない訳ですな?」
「ええまあ…。悪いところだらけで、コレっ! といった悪いところが思いつかんのです、ははは…」
「それが、なにより! 悪いところだらけは、幸運なことに助かりますからなっ! ははは…」
「助かりますかっ?」
「ええ! 助かります。現に私が20年来、悪いところだらけで幸運にも助かっておるんですからっ!」
「で、今は?」
「んっ? ええ、まあ…そこそこっ!」
「そこそこっ?」
「はい、今日もこうして弁当持参で来ておる訳ですからな…」
「弁当持参? 診察はっ?!」
「診察? 診察は受けません。時間になれば、茶を買い、食べて飲んで帰るだけです」
「ええっ~~!?」
「病院の空気に触れると、幸運なことに病気が不思議にも遠退きますからなっ!」
「遠退きますかっ?」
「はい、遠退きます、幸運にも…。おっ! そろそろ茶を買う時間だっ!」
そう言って立つと、老人は売店へと向かった。
まあ、幸運で助かる・・とは、こうした曖昧なものだ。^^
完




