(56)粗製乱造(そせいらんぞう)
世の中が、こうも進歩してくると、物が巷に満ち溢れて有り余る時代になり、良い物を市場に提供する余裕が絶たれ、質の悪いものが出回るようになってくる。粗製乱造の時代の到来である。困ったことに、その意識が造り手側に乏しいから、益々(ますます)、粗製乱造になっていくのは嘆かわしい。もっとも分かりやすい例はテレビドラマだが、視聴率の関係からか、数ヶ月も続かずに打ち切られる作品も多々ある。某局の1年続いていた朝のテレビ小説でさえ半年でポシャる。これからっ! と盛り上がってきた頃に新番組みが始まるのだから、これはいただけず、返却したい。^^
とある玩具屋の店内である。夏休みということもあり、子供が朝から屯している。
「これこれ君達っ! 夏休みの宿題は済んだのかいっ? 来てくれるのは有り難いが、うちも商売だから買ってくれないと…」
「おじさん! コレの傷まないのあるっ?! この前のヤツ、傷んじゃったんだよっ! 最近の、すぐ傷むねっ!」
「ああ。それを言われると、おじさんも辛い。粗製乱造が増えたからねぇ~。売れりゃいいっ! それでお終いっ! 傷んだら新しいのと買い換えて下さい! だよ。直さないねぇ~。傷まないのが増えりゃ、おじさんも助かるんだけどな」
「そら、そうだよっ! おじさんが直しなよっ! 直りゃ、僕も助かるからっ!」
「えっ?! おじさんが、かいっ? ははは…おじさんは商売人だからなぁ~」
「直せる玩具屋って、いいぜっ! やりなよっ!」
「ははは…ひとつ、やってみるかっ!」
次ぎの日から玩具屋の修理技術取得の猛勉強が始まった。そして一年後、その玩具屋は粗製乱造で傷んだ玩具を[直せる玩具屋]として再出発し、今や全国にチェーン店を展開するまでに至っている。
粗製乱造された物は、修理するケア[世話、配慮、気配り、手入れ、メンテナンスなどをすること]で助かる・・という今の風潮に物申すお話である。^^
完




