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(55)日陰(ひかげ)
猛暑が続いている。もぅ~~しょ~がないっ! などとダジャレを言っている場合ではない。生命の危機が叫ばれる酷暑なのである。それでも助かるのは、日差しを遮る日陰があるお蔭だ。海水浴でもビーチパラソルとか呼ばれる日避けの大傘を砂浜に立てるが、この日陰がなければ、灼熱の太陽の下、コンガリと焼けた美味しい秋刀魚に海水浴客が変身してしまうことは疑う余地がない。^^
近所のご隠居二人が縁台将棋を指している。
「暑いねっ!」
「ああ、暑い暑いっ! だが毎年、この日陰で指さないと夏が来たと思えねぇから不思議だっ!」
「ちげぇ~ねぇ!」
「この日陰があると、どういう訳か落ち着けて助かるなっ!」
「だなっ! そこへ、スイカの冷えたスライスなんぞが運ばれてくりゃ~尚更だっ!」
隠居はそう言いながら、催促するかのように少し離れた台所の方を見た。すると、息子の嫁がいいタイミングでスイカの冷えたスライスを手盆に乗せて運んできた。
「冷たいうちに、どうぞっ!」
「これは、助かるっ!」
二人は顔を見合わせ、ニヤリとした。
夏の日陰にスイカのスライスが運ばれてくると助かる・・という暑い暑い夏の馬鹿げたお話だ。^^
完




