表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/100

(43)どうでもいい…

 物事には必要不可欠な、ソレはっ! …というような手が抜けないことと、深く考える必要がないどうでもいい…と思えることがある。同じ歯科医に関係したことでも、虫歯と八重歯とでは対応する考え方が変わってくる。虫歯は放っておけば、イタイ、イタイっ!! と苦しむことになるからどうでもいい…とは考えないだろうが、八重歯なら、「あらっ! そのままの方が可愛いわよっ!」「…そうお?」などと、そのままにしておいてもどうでもいい…と思える違いがある訳だ。

 とある一般家庭の夕食場面である。どういう訳か美味うまそうなスキ焼きの肉がいい具合に煮えて残っている。家族五人は満腹ぎみに食べた直後だから、誰もはしを伸ばさない。

「あらっ! 誰も食べないのっ!?」

 母親が父親と子供三人の顔を見回しながらたずねた。なべからになれば、それはそれで母親としても後始末あとしまつが出来て助かる訳だ。

「どうでもいい…が、残しておくのもな」

「ああ…」「うん」「そうね」

 長男、次男、長女も異口同音いくどうおん肯定こうていする。実は母親が訊ねた直後から、すでに四人はグツグツ…と美味そうに煮える食べどきの残り肉をねらっていたのである。

「どれどれ、俺が…」

 父親の箸が肉へ伸びた瞬間だった。負けじっ! と子供三人の箸も同時にサッ! と肉をめざして伸びた。が、しかし、四人は肉に箸が届く直前で、またサッ! と箸を引っ込めた。

「まっ! どうでもいい…」

「そうだよっ! どうでもいい…」「どうでもいい…」「どうでもいい…」

「そうお? じゃあ、私が…」

 母親は何の躊躇ちゅうちょもなく箸を伸ばして美味そうに煮えた肉を溶き卵につけて頬張った。

「ほほほ…これで片づくから助かるわっ!」

「…」「…」「…」「…」

 四人は煮えきらず、テンションを下げて食事を終えた。

 どうでもいい…内容は、なかなかあなどれないのだ。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ