(40)効果的
同じ内容を実行したとしても、効果的に行うのと非効果的に行うのとでは、実行後の出来ばえや結果に大きな差を生じる。要は、その後が快適になるか、そうならないか・という差である。お買い物を母親に頼まれた子供が、買ったお釣りでアイスクリームをせしめよう…という発想が効果的なのか? は、よく分からない。^^
ようやく厳しい炎天下の陽射しが消えた夏の夕方、ご隠居の恭之介とその息子の恭一が居間で話をしている。しばらく休めていなかったこともあり、恭一にとってはなんとも有り難い夏季休暇だ。噎せ返るような暑さだが、少し風が出たのか、庭先に吊るされた風鈴がチリ~~ン! となんとも涼やかな音を奏でる。
「さて! ひとっ風呂浴びるかっ! あっ! お父さん、いらしたんですかっ…}
「なんだっ! わしが夕涼みをしちゃいかんのかっ!!」
「いや、そんなことは…」
「それよりお前、間違っとるぞっ!」
「なにが、ですっ?」
「なにがも、蟹がも、ないっ!! 身体は十分、冷やしたのかっ!」
ダジャレを上手いっ! とは思ったが、恭一としてはそんな悠長に感心している場合ではない。
「いいえ、暑い書斎から出てきたとこですから…」
「だから、それが間違っとると言うんだっ!」
恭一は恭之介の言う意味が分からず、首を傾げた。
「間違ってますか?」
「ああ、そうだ。身体を冷やしてない状態で風呂に入りゃ、どうなる?」
「いえ、別にどうもなりませんが…。いい気分です」
「馬鹿もんっ!! 身体が熱張っとるんだぞっ! また、汗が噴き出すだろうがっ!!」
「あっ! そういやっ、たぶん…」
「たぶんも豚もないっ!!」
ふたたび、上手いっ! とは思ったが、恭一としてはそんな悠長に感心している場合ではない。「はあ…」
「十分、冷やして入る。…これが効果的な風呂の入り方だ。第一、着替えた下着が汗ばまんから助かる。分かったかっ!!」
「は、はいっ! 分かりました…」
ちっとも分かっていなかったが、恭一は取りあえず逃げの一手を打った。
「前の洗い場で水浴びして十分冷やしてからな。それが効果的だっ!」
「はいっ!」
「分かりゃいいんだ…」
恭之介はようやく静かになったが、恭之介の最大の誤算は、恭一に説教したばっかりに効果的な夕食前の冷酒を飲み損ねたことだった。^^
※ 風景シリーズに登場の湧水家のお二人にスピン・オフ出演をしていただきました。^^
完




