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(38)極(きわ)まる

 どういう訳かきわまると積極、極まらないと消極と言う。気になったから調べてみると、自然科学の分野できょくは指向性・方向性を持つもの・・とあった。その+[プラス]と-[マイナス]を積極的、消極的と表わすようだが、どちらが助かるのか? は分からない。^^ きわまった方が助かる場合もあり、その逆も当然、有り得るからだ。極まれば、その先が、どうなるか分からない・・という意味もある。アグレッシブ[積極的]にやって失敗する場合もあり、成功することもあるからだ。

 二人の老人AとBが、とある道場で座禅をしている。この道場は風変わりな道場で、座禅をしてさとりを得てけがれを絶つ・・という目的で開かれたボランティア道場だ。宗教的、経済的、社会的な色彩は、まったくなく、誰でも自由に入場できる道場で会費はいらなかった。ただ、朝の九時から夕方の五時までと決まっており、この道場の持ち主がその時間前に鍵を開け、そして閉じて帰る・・という慈善事業の場になっていた。ただ、寝泊り・食事・入浴は不可、用便は持ち帰りという最低限のルールがあった。

 Aが座禅を終え、欠伸あくびをしながら背伸びをして立ち上がった。その気配けはいに気づいた隣りのBも、無造作に同じ仕草で立ち上がった。

「極まりましたかな?」

「ははは…そう簡単に極まれば助かるんですがな。腹が減って美味うまそうなラーメンが浮かびましたので、今日はこのくらいにしようかと…」

「ああ、そうでしたか。私も、そろそろ五時か? と思えましてな…。そういや、美味いラーメン屋が開店しましたぞっ!」

「ほう!! それはそれは…。では、ご一緒しますかなっ! スープは半残しで…」

「ははは…是非! 半残しで…」

 二人は健康に留意しながら道場を出た。どちらも極まらなかったが、空腹からは助かることになった。^^


                  完

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