表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/100

(36)負けるが勝ち

 負けるが勝ち・・という慰めるような便利な言葉がある。負けてくやしい気分が少しやわらいで助かるのだが、言われた側としては、やはり勝ちたい訳で、余計に悔しさが増すということになる。^^

 とある家庭の庭で夕涼みをしながら縁台将棋が指されている。隣通しのご隠居二人による、どうでもいいようなヘボ将棋なのだが、ご当人達は至って名人気取りで指している。棋力はどちらも1、2級といったところで、初段にはもう少し…といった程度だ。しかし、ご当人達は2、3段の気分で指しているから、まわりの者にとっては大層、始末が悪かった。

「いや! もう一番っ!! と言いたいところですが、本日は、このあたりで…。今日は体調が悪いようですな、ははは…」

 実のところ、このご隠居は決して負けた…とは思っていなかった。真逆の負けてやった…と思っていたのである。というのは、早く負けて帰ってもらわないと、今日の夕食のスキ焼きを家族に食べられてしまう恐れがあったからだ。負けるが勝ち・・の気分でこのご隠居は指していたのである。

「いつも負ける私が勝てる訳がありません。これは妙ですぞ、もう一番!」

 相手のご隠居は少し不審に思えたのか、もうひと勝負を所望しょもうした。

「いやいや、今日はいくらやっても勝てる気がしない」

 スキ焼きが頭のご隠居は、ここは逃げの一手いってとばかりに遁走とんそうさくした。そのときである。家内から何やらいい匂いが漂ってきた。スキ焼きの匂いだった。

「なるほどっ! そういうことでしたかっ! どれどれ、私もご相伴しょうばんさせていただきますかな、ははは…」

「はあ…」

 負けるが勝ちも、計算づくでは、負ければ負け・・と助からならないようだ。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ