表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/100

(35)真実

 どれだけ包み隠そうと、誤魔化そうと真実は一つで

あり、それ以上でもそれ以下でもない。ただ世の中では、この真実が方便ほうべんとして一定の許容範囲を持っており、程度の差こそあれ、まかり通っているのである。道路に煙草たばこの吸殻をポイ捨てたからといって、電柱で隠れていた刑事がスクッ! と現れ、『環境破壊法違反で現行犯逮捕するっ!』などとは言わないだろう。^^ こうした曖昧あいまいつみとも言えない罪が許されるから、私達は助かることが多いのかも知れない。

 とある家庭の一場面である。母親と子供が話している。

「あらっ? 今日はじゅく、休みなのっ?」

「…ああ」

 子供は母親に小型ゲーム機をいじりながら自然体で返したが、いくらか声が小さい。真実味に欠けるのである。それを母親は見逃さない。まるでベテラン刑事のような巧妙さで、その供述を突きくずしていく。

「おとなりの正ちゃん、さっき急いで塾の方へ走っていったわよ」

「フ~~ン…」

「なんだったんだろうね?」

「さあ…」

「そういや、手にかばんもってたわよ」

「…どんな?」

「いつも塾へ持ってってるやつ」

「…」

 息子は無言で鞄にノートと参考書を入れると、玄関へ急いだ。

「あら? どうしたのっ?」

「いけねえ! 日を間違えたんだ、僕…」

「そうなの? …気をつけてね」

 母親は日を間違えたのではなく、ズル休みしようとしていた・・という真実を知ってはいたが、そうとは言わず、子供を塾へと送り出した。

 このように柔らかく真実へ導かれれば、子供は大いに助かることだろう。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ