(34)草だらけ
地方ならまだしも、都心の永田町にペンペン草が生え、さらにそれが広がって草だらけとなった夢を疣川は見た。その夢は、なんともリアル[現実的]で、都心のビル群が雑草に取り囲まれたかのように立っているのである。不思議と人の姿は見えず、一台の車も走ってはいなかった。それもそのはずで、車道はもはや、その灰色のアスファルト路面を消し、道の輪郭すら分からなくなっている。喉は渇き、腹も空いてきた疣川は、助かる術はないか…と、ビルを見上げながら辺りをさ迷った。よくよく考え直せば奇妙な話なのだが、夢なのだから、まあそれもアリか…と後日、思えた。
夢の疣川は国会議員でもないのに議員席に座っていた。見渡せば、与野党の席が入り乱れていて、与党も野党も判別がつかない状態ではないか。現実にはありえない光景の中、閣僚と思しき人物が懸命に壇上で答弁をしていた。すると、これまた不思議なことに、いつの間にか疣川は議場の閣僚席へと移り、座っていた。多くの国会議員を見下ろす位置である。そして次の瞬間、議長のホニャララの声が議場に響き渡った。
『疣川$%大臣!』
よく見れば、答弁していた閣僚と思しき人物はスゥ~~っと、いつの間にか壇上から消えていた。疣川は壇上へ立つでなくスゥ~~っと向かった。夢だから、壇上へ向かう疣川に歩く感覚はなく、まるで幽霊そのものだった。なんとも便利なエスカレーター感覚である。そして、疣川はいつの間にか好きなことを出任せに答弁していた。
「皆さん!! 永田町は草だらけっ!! この永田町の草を一掃しようじゃありませんかっ!!」
そのとき議場から野次が飛んだ。
『草だらけにしたのは、与党内閣だろうがっ!!』
『静粛にっ!!』
ホニャララ議長は『私は議長で偉いんだよっ!』とでも言うかのような上から目線の厳かな声で議場を窘めた。疣川は、やれやれ、こけで自分は助かる…と、助かる理由もなく思った。そこで、目が覚めた。
疣川は、部屋の中が草だらけ状態に散らかっている現実に気づき、『こりゃ、助かる訳がないか…』とテンションを下げた。
草だらけは、なにも草ばかりではない・・というお話である。助かるには、整理整頓+掃除などによる草だらけ状態からの脱却を目指さねばならないだろう。^^
完




