(23)楽しみ
人は生活のために働き、そして疲れて一日を終える。その繰り返しではなんとも辛いが、助かるのは余暇の楽しみがある・・という点だ。むろん、楽しみのために働く人も数多くいる。^^ ただ、楽しみが人の生活を潤していることは、ほぼ間違いがない事実だろう。中には生活など気にせず、楽しみを専門に生きている人もおられるが、そこはそれ、それで生活できる星の下に生まれられたお方なのだから文句のつけようもない。^^
今朝もサッカー・W杯[ワールドカップ]の番組がテレビを賑わせている。干梅もサッカーファンの一人で、勤務後の夜に録画取りのビデオを見るのを楽しみに仕事をしていた。W杯が始まってからというもの、仕事が順調に運んでいい気分の干梅だった。
「おおっ! これは、いい企画だっ! さっそく部長決裁に回すよ、干梅君!」
「ええっ! そうですかぁ~? そんなに自信なかったんですけどねぇ~」
干梅は課長の紫蘇に褒められ、悪い気がせず、したり顔になった。というのも、いつもは紫蘇の塩辛いひと言で萎えたように漬け込まれる干梅だったからだ。
「いや、なかなかいいよっ! 課長の私にしても、この企画書は大いに助かるっ! なんか最近、調子いいじゃないかっ!」
「課長、そりゃ当然ですよっ! 僕には楽しみがありますからっ!」
「楽しみ? …なんだい、そりゃ?」
「ほらっ! 始まってるじゃないですかっ!」
「なにが?」
「アレですよっ!」
「ああ、アレか…。アレだろっ!?」
「そうです、アレですっ!」
「ははは…アレは助かるっ!」
干梅はW杯を思い、課長の紫蘇はデパートの欲しかった商品のバーゲンセールを思った。
助かる楽しみは人それぞれだ・・というお話である。^^
完




