(20)マジック
現実にマジック[奇術、手品]のような奇跡が起これば、人々は助かることになる。次から次へと指先から一万円札が湧き出せば、これはもう、\(^0^)/ と、笑顔になれる訳だ。ところが現実は全然、助からず、マジックのように逆にお金を国へ吸い取られるシステムになっている訳だ。^^ こんな世の中は誰もが嫌だが、ここで気分がよくなるマジックのようなSF話を一つ、お読みいただくことにしよう。^^
とある村の敬老会の会場である。侘しく暮らす老人達にとって、婦人会の奉仕活動による年一回の敬老会は楽しみの一つになっていた。今年の出し物は、アマチュアながらもプロの腕を持つマジシャンによるマジックショーだった。
「ではっ! はいっ!!」
マジシャンが片手の指を擦り合わせると、あら、不思議っ! 次から次へと指先から紙幣が現れ、雪のようにフロアへと落ちるではないかっ! 椅子に座った老人達から、思わずパチパチ…と拍手喝采が起きた。ところがそのとき、マジシャンはおやっ? と指先の異変に気づいた。よくよく見れば、用意していたネタの玩具の札ではなく、手指から落ちているのは本物のお札ではないかっ! ショーの進行上、中断して見る訳にもいかず、マジシャンは仕方なく笑顔で続けざるを得なかった。次の演目に…とマジシャンは指を下ろそうとしたが、その意思とは裏腹に、お札は湧き出ることをやめず、現れては落ち続ける。そら怖ろしくなったマジシャンの額からは、次第に冷や汗が滲み始めた。その状態がしばらく続いたとき、ついにマジシャンは叫んでいた。
「だ、誰か、助けてくれぇ~!!」
マジシャンはお札が湧き出る指を、まるで血が止まらない指のように持ちながら幕尻へと急いで走り去った。フロアの上には小さなお札の山が出来上がっている。最前列に座る老人の一人が椅子から立ち上がり、そのお札を一枚、拾うと見透かした。
「み、皆の衆! こ、こりゃ本物のお札だがっ!!」
その声に、老人達はお札の山へと群がった。
「たっ! 助かるべぇ~~!!」
その村の老人達は、俄かに高額所得者になった。マジシャンの指から湧き出すお札は止まることを知らず、今も湧き続けているという。そんな状態のマジシャンがどうしているかって? そんなことはSF話だから、私が知る訳がない。^^
完




