第一章 新天地 第2話 逃亡と言う名の旅
僕とサンは2人で町を目指す事にしていた。
近くの町ではセイジ達が直ぐにくるだろうってことで少し離れているが安全に入る事の出来る町にだ。
少しでも遠くに、しかし焦らずのんびりとだ。
「シリュウ、飯どうする?」
夜中にのんびり歩いて進んだ距離はたかがしれてたが、腹だけは空いたようだ。
「サン以外に燃費悪いなあ~。僕はまだ大丈夫だけどなあ。」
(まあ散々修行を積んで来たからなあ。3日は食べなくても大丈夫なんだよなあ。しかしそうもいかないか。)
『質問 ここら辺で食べれる物を探したい。』
『回答 マップ&サーチ継いで探す物を言えば確認できます!』
(なるほど)
「マップ&サーチ食べる物」
「お~!出てくる出てくるここに矢印キノコか!川に魚!ウサギ!鳥!よし罠を仕掛けるか。」
てきぱきと罠を仕掛けていく。魚を捕るために銛のような物を木から作りあげていく。サンにはキノコの場所を教えて採ってきてもらう。
流石に、罠の方は捕れていなかったが、川で魚を捕るのはサーチで居場所を特定して銛で突き刺す事を続けていたので外すはずがない。慣れている事もあって捕っては弦に通し十匹になったので止めてサンの処に戻った。
サンも言われていた場所を探してキノコを沢山集めてきていた。
「サンお疲れ様~!魚捕ってきたよ。」
と右手で持っている弦に通した十匹を持ち上げて見せた。
「お~。大量だなあ!早く焼いて食べよう!こっちはこのぐらいだ。」
と袋を持ち上げて揺らして見せた。
僕達は河原に陣をとることにした。
火をおこすことにした。まず大きめの石をコの字に囲むように置き火を燃やしても大丈夫なようにする。小枝と少し大きめの枝を探してきた。そして火を点けようと弓を作り擦り始めた。
「シリュウよ。何をしているんだ?」
「何って、火種を作ってるんだが何でだ?」
「そりゃないでしょ!『ファイア』ほらね。」
って魔法で点けてくれた。そうだった魔法があったんだなあ。
(あれあれ、僕まだマップ&サーチ以外使ったことないぞ!試してみたいなあ。)
(こそ~としてみようかなあ~。魔法一覧)
と心の中で唱えた。大量の呪文一覧表が表れた。しかしマップ&サーチが白い文字なのに対して攻撃魔法は少し黒い、使えるのか?
「『ファイア』、あっ!やっぱりでないわ!まあいいか今のところはサンがいるからな。」
魔法はサンに任せる事にした。
(本当に適当な男だよなあ!まあそこが僕の持ち味だよな。)
と自分で思ってニコニコしてしまった。
魚を棒に差し焼きながら、ちょっとした休息をとるのだった
「サン達はあそこに何をしに来てたんだい?まさかあのレベルが判らない魔物のいるダンジョンに入る為とか?」
「ダンジョン?あんなところにダンジョンなんてないだろ!見たことも聞いたこともないぞ!」
「確かに瓦礫が一杯で人1人通るのがやっとって感じだったもんな!普通気づかないか!」
「あんなところに、ダンジョンが有ったのか?誰も知らないって事はまだ荒らされてないってことだなあ!宝箱が一杯あるかも知れないな!」
「そうなんだ、僕が居たのは『B6』だから最低6階は有るって事だよ。しかもミノタウロスがでてきたんだよ。・・・・」
(嫌な事、思い出した。)
苦笑いをしなが素に戻る。
「で、ダンジョン行くにしてもレベルが低すぎるって思うんだけどね!」
「そう、そうだよ。実はなセイジに言われてレベルアップをしに来ただけなんだよ!」
「そうなんだ。レベルアップか!僕もしなきゃいけないんだろうなあ!」
「当たり前じゃないか!このまま『Lv.1』とか有り得ないぞ。シリュウ、ゴブリンですら倒せないだろ!」
「ん~。ゴブリンとか魔物と戦った事ないからなあ!」
「はあ?もしかして冒険者じゃないのか!」
「冒険者ってそんなのになった記憶はないですよ。」
「呆れて何も言えないよ。それでダンジョンに入るなんて無謀にも程があるよ。」
サンはため息をつきながら首を振っている。
(仕方ないじゃないか!出てきたところがダンジョンだったんだから。まあいいか。)
「僕としては生きてる物を殺すのは出来れば避けたいんだけどなあ!」
「なんだ、冒険者志望じゃないのか!それこそなんでダンジョンなんだよ。変わったやつだなあ!じゃあなんで稼いでるんだ?お金ないだろ。親が金持ちとか。」
「おい、おい、なんでそんな発想が出てくるんですか?コの格好見たらそんなのでないでしょ!そうです、僕は文無しですよ。簡単に儲けるには魔物の討伐しかないのかなあ?」
「まあ、利益から考えたらそうなるなあ!後は武器や防具を作って売るとか。最近は悪魔払いとかがあるかなあ!」
「今なんと?」
「悪魔払いの事か、こんなの普通の魔法使いでも出来ない職業だからなあ!辞めとけ辞めとけ、この世界に数人しか居ないって言われてるんだからな!」
「僕多分出来るわ!ウフ」
「気色悪いなあ。まあ最近取りつかれる人がたまにいるみたいだからなあ。お金は多分沢山貰えるぞ。今から行く村にも確か村長の娘がどうとかって噂を聞いたことあるぞ。試しに行ってみるか?」
「当然、生き物を殺さずに儲かるならやるしかないでしょ!」
「いや、生き物って魔物なんだぞ!人に害をもたらすから懸賞金が出てるんだし!しかも魔物の核も売れるしさ!」
「まあ、まあ、そう言わずに悪魔払いしたらレベルアップするのかなあ?・・・すればわかるか!ムフ」
「だから、その笑い気色悪いって。」
と雑談から、仕事を見つける事が出来たのである。しかも出来る人がほとんど居ないときたのだから美味しい限りである。
5日ほど旅をしたころで村が見えてきた。雰囲気が何かおかしい!村全体に黒い霧のようなものがかかって見えるのであった。
「サン、この村なんかおかしいなあ。」
と真面目な顔して、サンに言うと
「はあ、何言ってるんですか。活気のあるいい村じゃないか。」
(なんだサンにはこの黒い霧のようなものが見えてないんだ。まさかここで見鬼の力が発揮されているとはウフフやはり出来るかも。)
「サンさあ、この黒い霧見えないんだね。じゃあ対応出来ないわ!」
「何、霧が張ってるのか?」
「ああ、村を覆っているよ!人に影響あると思うんだけどね!って事で、サンは村の外でお留守番ね。悪魔に操られる可能性あるからね!」
「なにっ!1人だけ楽しい事しようと思って。」
『ゴチン』サンに拳骨を食らわす。
「サンの為を思って言ってるんだ!悪魔払いが済んだら呼ぶからそれまで、静かに待ってろ!いいな!」
「わかったよ!全く人に拳骨して生き物を殺すのは・・・とか言ってるんじゃないよ!痛いなあ!」
とブツブツ言いながらもサンはこの場所に陣をとることにした。
僕はというとボロボロの雑巾のようなものを羽織っている感じなので物ごいの感じなのでもってこいである。
サンをおいて1人うつ向きながら村に入って行った、人の様子は普通である。
村の奥へと進んで人通りの多い場所の隅に腰掛けた。
「マップ&サーチ」200人程度の村でほぼ全員灰色であった。
その中から1人こっちに近づいてくる。
「君ここで何をしているんだい?見ない顔だね。しかもなんだい服がボロボロじゃないか!」
「僕はシリュウ、旅をしていたんですが魔物に襲われてやっとの事で逃げてきたんですよ。何もかも落としてしまって困ってるんですよ。」
「ふっ、文無しかい!宿に泊まることすら出来ないのにどうするつもりだい?」
(ヤバイ、コイツ色が灰色から黒に変わってきてる。嫌な予感しかしないぞ。)
「お~い。こっち来てみろよ。」
(嫌だなあ~こっちの奴らは自分より弱いとすぐ虐めたくなるのかよ。)
「なんだ、ジューイどうかしたのかい?』
と2人の友達らしき男女が駆けてきた。
「ゲイーラ、ムール、
コイツ、シリュウってんだ、なんか魔物に襲われて全財産無くしたらしいんだ。飯も食ってないだろうから『恵んで』やらないか!」
「「『恵む』んだな。」」
来たばかりの2人がまたするのかと悪い笑みを浮かべながら商店街の方に走っていく。
残ったジューイが笑いながら僕が居なくならないように見張っているかのように言う。
「もうすぐしたら食い物がくるからな楽しみにしておけよ!クックック」
5分もしないで2人が手に肉マンらしき物をもって戻ってきた。
「ほら、肉マンだ。腹減ってるだろ?俺たちも食べるからお前にもやるよ。」
と言いながら自分達は肉マンを食べ始めた。僕にくれると言っている肉マンは持ったままにだ。
(何がしたいんだコイツら)
「う~ん、コイツは旨い!頬っぺたがおちそうだ。」
「本当に美味しい。こんなに美味しいなんて。」
「なんか、あげるの勿体ないですわね~。」
(なんだ、どうしたいんだよ。まあ腹は減ってないからいいけどさ!)
「でも、こいつ何も食べてないからあげないとなあ。ゲプッ」
「なあ、シリュウ食いたいよなあ。」
(くそ、そう言う事かよ!媚びて食べ物を下さいって言わせたいのかよ!ふざけてやがる。人を蔑み馬鹿にしたいだけなのかよ!そんな事しか楽しみないのかよ!ガキどもが!)
「食いたいって言えよ。そしたらやるからさ!」
「僕は大丈夫ですから、お腹空いてるならみんなで食べられて下さい。」
と丁寧に断った、すると激怒したのは3人のほうだ。土下座させてでも食べたいと言わせるつもりだっのが即座にいらないと言われたのだから。3人で話あっているそして言葉使いからして今までと違う口調で言ってくる。
「おい、シリュウ。俺達が食い物を『恵んで』やろうって言ってるのに断るのか?」
「いえ、いえ、あなた方が食べると言っていたから遠慮させてもらったのですよ。何か間違っていますか?」
「いや、お前が食べたいって言えば良かったんだよ!」
「意味がわかりませんが?」
「何偉そうに言ってるんだよ。ほらよ!」
と僕の目の前に放り投げ捨てた。
「僕にこの土まみれになった肉マンを食べろと言ってるのですか?」
「お前にあげたんだから、ほら食べなさいよ!」
「「そうだ、そうだ!」」
(コイツら、なんでこんなに強気なんだよ!確かに3人共Lv.3だから僕よりも強いと思ってるんだろうなあ。はあ面倒だなあ。もしかしたら悪魔の霧のせいってこともあるからなあ。ふうどうしたもんか!)
「食べろって言ってるだろ!」
ゲイーラが肉マンを手に取り僕の口に押し付けてくた。手段を選ばずに無理やり食べさせようとするなんて非道な事である。僕はゲイーラの手首の関節を極めて座った状態から投げ飛ばした。
「お前ら何か勘違いしてるよな。確かに3人より僕はレベル低いさ!だがスキルが低いとは限らないんだぞ!それに飯をくれる好意事態は有難いことだが強要する事ではないとおもうぞ!」
と言いながら僕はゆっくりと立ち上がった。そこへゲイーラの親が投げ飛ばされたのを見て走ってやって来た。
「ゲイーラ、どうした?なんで投げられてるんだ?コイツに何かされたのか?」
「父さん、コイツに食い物を『恵んで』やろうとしたらいきなり投げられたんだ。」
「なんて子でしょ!『恵んで』もらいながら暴力を振るうなんて」
(この子にしてこの親か、まずはどうしてこうなったか自分の子にだけ聞いて把握するなんて有り得ないぞ!しっかり考えろよ。まあこのものごいみたいな格好の時点で僕の言葉を信じやしないか!)
「貴様聞いてるのか?」
と突然殴りかかってくる。その右手を外から内側に流しながら手首を極め投げ飛ばした。呆然とするモゲルであったが直ぐに立ち上がり体制を立て直した。
「貴様何かやってるな、レベル1のくせにこんなことができるはずないからな!」
(どうしようかな~。こんな事しに来たんじゃないんだけどなあ。)
「そこの人達何をしていますか?」
遠くから声をかけてくる人がいる。村長の娘、ジュンであった。
(やった~。お助け人きたる~。)