遂に異界へ
プロローグ~現世での戦闘・・・
そして異世界へ~
目が覚めると、
「あれ、ここ何処だっけ」
周りを見渡すと神殿の中であるとこに気づいた。胸には護符が無造作に二枚重なってあった。
「あ~、昨日前鬼と後鬼の式神を僕の物にした
後に疲れはてて寝ちゃったのね。」
他人事のように独り言を言っていた。
「さてと、家に戻って寝るかね。」
今起きたばかりなのに帰って寝るつもりなのだ。
起きて神殿を出ようとした時に対面から威主那が入ったきた。
「やっぱりまだここに居たか、もう夕方だぞ!」
驚く事にもう1日程寝ていた事になる。ちょっと驚いていると。
「早速だが、依頼が来たからさっさと片付けてこい。」
というのだ。
(なんで、護符を手にしたばかりなのに)
と思っていると、
「わ・か・る・よ・な!散々『護符を手に入れるまでは、仕事はしないよ。』とかヌカシテ仕事サボりやがって、もうその言い訳は通らないからな‼️」
(そうだったなあ、)と思って苦笑いをしてみせた。
「はい、はい、」
「『はい、』は一回でいいんじゃ!馬鹿者」
(あちゃ~。火に油を注いでしまった。)と思いつつも悪かったと反省をして
「ごめんなさい!」
「まあいいわ、で依頼内容だが旧家の屋敷で霊らしき物が出るらしい。ちょっと行って確認して実際に居るようなら払ってこい。」
「なんだ、誰でも出来る事じゃないですか。僕じゃなくてもいい」
言いかけた途中で威主那に拳骨された。
「これからは、簡単とか難しいとかで仕事させる訳じゃない!依頼があったらその都度空いている者が対応するんじゃ!いいな」
「は~い」
「伸ばすんじゃない」
「はい!では父上行ってきます」
と駆け出して神殿をでた。と思いきやまだ場所聞いてなかったことを思いだし扉から顔だけを出し、
「ところで、父上・・・場所は?」
「奈良だ。駅まで行けば車で迎えにくるそうだ。」
と言いながら電話番号と名前を書いた紙を渡してきた。
「では、親父さん行ってきます。」
いつもの口調に戻り神殿かはでてその足で奈良に向かったのであった。
京都駅から電話連絡し奈良駅に着くロータリーまで行き電話すると既に迎えに来ており
「時流様ですね。依頼人の小暮といいます。今日はよろしくお願いします。」
と丁寧に行ってきて車の後部座席のドアをかけてくれて待っている。
僕は、その仕草を見て素晴らしい人だなあと感心しながら進められるがままに後部座席に乗りシートベルトを絞めた。
「では、参りましょう。」
と小暮さんは言って車を走らせ自分の屋敷に向かったのであった。
一時間ほど走った頃小暮さんが
「もう着きますよ。」
と優しい声で言ってくれた。
屋敷の前に車を停めた。
「ではよろしくお願いします。」
と言いながら屋敷に受け入れようとしてきたが僕がそれを手で制して止める。
「外からでも十分霊が確認出来ます。かなりの悪霊ですねえ。」
僕は見鬼(霊体が見える体質の事)であるので全て見えてしまっていた。
初めてなので最強の式神、前鬼と後鬼を呼び出して悪霊退治をすることにしたのである。
胸の護符入れから二枚の護符を取り出し左手に持ち、右手で晴明印を画き
「前鬼、後鬼、時流の名の元に命ずる。でませい。」
小暮さんは見えてないようだが、前鬼と後鬼が現れた。そして前鬼が不思議そうに口を開く。
「主よ、何故呼び出したのだ。主だけでも問題ないと思うのだがな!」
「それはそうかも知れないが、初めての仕事なので速やかに方をつけて名を売ろうと思ってね。」
「「…………」」
前鬼も後鬼も呆れているようだ。
無言で屋敷に向かい悪霊を払っていった。
全て払ったので、時流の前に戻ってきた。
「全て払ったぞ。後は結界を張るだけだ。問題ないだろうな。」
と言った途端に護符へ変化し手元に戻った。
それを護符入れに戻し、時流が結界を張っていく。
「臨、兵、闘、者、皆、陳、烈、在、前、」
九字を切る事で結界を張った。
「小暮さん、全て払い結界を張りましたのでもう大丈夫ですよ。」
小暮さんは何が起こったのか全くわかっていない様子である。
「え!もう終わったんですか?」
「はい」
来てほんの数分しかたっていないのだ、心配して当然の事である。
「もし、この先霊的なことで不都合がありましたら無償で徐霊させて頂きますから。とりあえず結界を強化するってことでこの護符を鬼門に貼っといて下さいね。」
(まあ必要はないと思うけどね。)
と初めての仕事を無事に終えたのであった。
それから、数ヵ月が過ぎていった。
ある時、晴明神社の近くにモノノケが現れたと噂が流れてきた。
散歩をしていた人がピンク色のスライムが居たというのだ。
それを聞いた親父が僕の処にきて
「時流よ、ちょっと見てこい!」
(おい、おい、自分で見てくりゃいいんじゃないか)と言いたかったが、
「解りました。ちょっと見てきますよ。」
と言いながら外へ出ていく。
すると出て直ぐにピンクの物体がプヨンプヨン揺れているのを発見する。
「マジか~。本当に居るのかよ。」
と愚痴をいいながらよく見える処まで近づいてみた。スライムらしき物体も僕に気づいたようで動きが大きくなっている。
「見つけた~。見つけた~。見つけた~。」
「ん~何を見つけたんだ?」
と思ったが、どうでもいいことなので攻撃をしてみた。
「ナウマクサンマンタ バサラタンカン 不動明王の業火よ焼き尽くせ。」
スライムは業火に包まれた。がその直後に炎はスライムによって掻き消された。
「何が起こった?彼のようなモノノケが業火を消すだと。次だ、 雷帝の名の元に雷よ権限せよ。インダラヤソハカ!」
諦める事なく僕は雷帝印を組スライムに放った。
がヤハリスライムには全く効かないのであった。
こうなっては、前鬼と後鬼を喚ぶしかない。
「前鬼、後鬼、時流の名の元に命ずるでませい。」
前鬼と後鬼がかなり険しい顔をして現れたのである。
「主よ、このモノノケは強すぎるぞ!我ら二人でも勝つ事は敵わぬであろう。」
などと言ってくるのだ。
「いや~。貴方達最強だったよね!負けるなんてあるんですか?負けない為に鍛えに鍛えて貴方を手に入れたのに意味無かったと?」
そんなとんちんかんな事を言っている僕を後目に前鬼と後鬼はスライムに立ち向かっていく。
前鬼と後鬼が権限してからスライムの動きが更に良くなったように見える。右へ左へフットワークをしながら前鬼と後鬼を避けて僕目掛けてくるのだった。
数分は避けながら攻撃していたのだが時間をおう毎にスライムが速くなっていった。
「クッ。」
一瞬何かが足に絡まったのである。スライムの残骸だ足にまとわりつき動けないのだ。
(ヤバイ!今来られたら!)
なんて、当たり前である、来ないわけがないそうする為の残骸、罠にかかった獲物を逃す筈がないのである。
スライムが僕目掛けてやって来る。それを見た前鬼と後鬼が間に割って入る。
「「主よ。我らが時間を稼ぐ早く脱出して逃げられよ!」」
と言った瞬間に前鬼と後鬼がスライムに呑み込まれた。
無念といった表情をしているように見えた。
その直後に僕もスライムに呑み込まれたのである。
「ギャー!」
と叫びながら暗闇に落ちたのであった。
~~~~~~~~~~~~~~
直後、目の前が激しく光に包まれた。
「ギャー」
と叫んでいた処で目の前にミノタウロスが現れたのであった。その叫びながら目の前に僕が現れたのだ、ミノタウロスの方も眼を見開いて"ギョ"っとしていた。
そして今に至っているのだ。
目の前に斧が刺さっており、僕は漏らしもう死ぬしかないと思った時である。
「ある」
???何も動かない時が止まったのである。
そこに、声が聞こえてきた。
「やあ君、大丈夫かい?本当に困るんだよね~。召喚されたわけでもなく。俺が呼んだ訳でもないのに。突然やって来るとか非常識っしょ!こんなこと神を始めて何千年かなるけど初めてだよ!しかも何でレベル1のくせにこんなレベルの高いダンジョンなんかに現れるの?さっきの奴らといいどうなってやがる。」
と勝手な事をほざいている。
「えっ?神様なんですか?」
「そうだよ。この異世界を任されてる神のジョアンだよ。」
「この異世界って、他にもあるって事ですか?」
「あるよ。まあ基本的にどの異世界に行っても似たような感じなんだがね。」
「ってか。どうやってここに来たんだ?さっきの奴らは異世界と聞いて『そうなんですね!』とか言ってダンジョン駆け抜けて行くし。」
「僕の他に誰か来てるんですか?」
「ああ、二人もいたぞ!かわいい女の子だったぞ。しかも、ステータス覗いたからわかるがお前と違って100倍は強かったなあ。なんで同じレベル1でこうも違うもんなのかねえ。強いのがわかったからお前みたいに時を止めなくてよかったしなあ。」
「やはり、今時止まってるんですよね。」
「見ての通りだよ。転移そうそう死なせる訳にいかないんでな。で話戻すがどうやって来たんだ?」
僕は、現世でスライムを退治しようとしてスライムに呑み込まれた先がここだったと神様に伝える。
「じゃ何か?スライムのくせに異世界転移させる力があったって事か?なっ馬鹿な!たかが下等な魔物風情がか。ナイナイ。」
「そんな、信じて下さいよ。」
「まあ、信じてあげるよ。悪い奴には見えないからな。しかし、こんなとこに出たら今のままじゃ生きて出られないわなあ。」
「そんなあ、神様どうにかしてくださいよ。あっさっき会った人僕より100倍強かったんでしょ。じゃ僕のステータス?を100倍にしてくれるってのはどうでしょうねえ?」
「ん~そうだなあ。そのくらいしてもまだギリギリなんだがそれでいくか。」
「へっ!それでもギリギリなんですか?じゃあ、マップを見れるようにしてくれるのと、敵と見方がわかるようにしてくださいよ。」
「ほう、なるほどな。マップとサーチの魔法を使えるようにしたらいいのじゃな?」
「魔法。魔法ってゲームとかにでてくるやつですか?」
「ゲームは知らないが、こっちでは普通やで」
「神様~。お願いします。全ての魔法使えるようにしてください。」
と頼み込んでみる。ダメ元だが言わないと損する気がしたのだ。
「いいぞ。この異世界の魔法全て使えるようにしてやろう。次いでだ解らなかったら回答をしてくれる機能も着けてやるぞ。」
(おお、言ってみるもんだ。)
と心の中で思ったのだった。
「では、ステータスを100倍にしてやろう。上昇率も100倍にしとくから頑張れば強く成れるよ。上げたからちょっと見てみ!」
ステータス
レベル 1
名前 シリュウ
性別 男
年齢 15歳
HP/MP 6500/2000
体力 5000
耐久力 5000
知力 100000
魔力 100000
※※※ ※※※※※※※
「みたいな感じだ。」
「ん~。神様※※※この部分ってなんですか?他のは色もないのにここだけピンクだし!」
「それがなあ。俺にも解らんのじゃ。」
と神様も解らないステータスがあるらしい!
(どうなってる僕のステータス。)
と思っていると神様が
「では、これでいいな?まあ2、3回なら呼んだらきてやるよ。」
と言って消えていく。それと同時に時も動きだした。まずは逃げなければならない!
ミノタウロスの居る方と反対にダッシュした。
『ドカッン!』
壁にメリこんだ。
(どうなってるんだ?)
(あっ!100倍になったってことは、100メートル10秒で走れるんで今は100メートル0.1秒で走れるって事か。)
「マップ、サーチ、」
と唱えると目の前にマップが現れ赤、黄色の逆三角すいがクルクルと回っている。
「赤色が敵だと言ってたなあ。それを避けながら行けば脱出出来るだろ。」
ダンジョンマップの上にB6と書いてあるのに気づかない僕は敵に会わないように、壁にぶつかり破壊しながら攻略していった。
攻略を始めて早3日、
「やっと、F1だ。出口に着けば出れる。」
3日も走るとさすがに壁にぶつかる事もなく走れるようになっていた。
身体は頑丈になっていたので何もなっていないが、衣服はかなりボロボロになっていた。
そして念願の出口に到着したのである。
「やっと出れた。ふう。」
と思うと急に眠気が襲ってきたのだ。
近くに大きな木があったので凭れかかってそのまま寝てしまった。