陰陽師力を得る
プロローグ~後鬼獲得編~
「オッシャー。」
「前鬼ゲットしたで~。」
「ふぅ~」
「でも、もう気の力全くないわ~!」
「親父さん、後鬼明日でいいよねえ。」
と威主那に聞いた。
「何をふざけた事を言っておる。」
「このまま後鬼を屈服させないと前鬼すら支えなくなるんじゃぞ。しっかりせんかい。」
と威主那に怒られてしまった。
(どうしよう、何も出ないぞ!)
と思っていたその時、
後鬼の護符が何もしていないのに宙に舞った。
「「「何!!!」」」
三人が驚く!恰も手に取れと言わんばかりに時流の前に飛んできた。
時流は、覚悟を決め後鬼の護符を手に取る!
すると何をしたわけでもないのに護符が激しく光後鬼が目の前に現れたのである。
体格は前鬼とは全く違い人と余り変わらず180cm程で二本の長い角が額にある青鬼である。
また、また、びっくりして三人が驚く
「「「何だって!!!」」」
そんな声にお構い無しに後鬼が話始める。
「我を満足させてみよ!」
「無理であるなら全て諦めて去るがよい!」
「しかし、そうするならば前鬼も主に付き従う事はないぞ!」
(くそ~。どうしよう!まさか連戦になるなんて考えてなかったからなあ。気力はないし)
と考えていると、後鬼が口を開いてくる。
「どうした、何もせんのか?」
「情けない小僧じゃのう。」
(カチーン!)時流は額に青筋を出してキレた。
「誰が小僧だよ!」
「お前の方がチビで華奢じゃないか!」
時流は身長187cmありトレーニングを詰んできたおかげでガタイもよかったからだ。
「ほう、口だけは達者のようじゃのう。」
「それで、どうするつもりなのじゃ!」
時流は体力は残っているが後はどうすることも出来ないと思っていた。
だがどうしても最強の式神が欲しかったので言葉を発する。
「僕は、もう気の力は前鬼に使い果たして全くない。」
と威張って言う。
「へッ」
と近くで聞いていた威主那と道影が言う。
続けて
「まっ、まさか前鬼に全気力を注いだのか?」
「後鬼が居るのに何を考えとるんじゃ!馬鹿者が」
「絶好のチャンスなんだぞ!」
「もうダメじゃ!ちょっとは期待しておったのに!ふぅ」
時流は親父達に文句を言う。
「十二神将も集めることが出来なかったクセに外野が文句言ってんじゃないよ!黙ってろよな!」
そして、時流は後鬼に向き言葉を発するのであった。
「後鬼よ。僕は、前鬼と後鬼を使役する事を目標にこれまで自分を高みにまで持ってきた!」
「後鬼よ。僕は、今答えたように闘う為の力が全てない状態だ。だが言わせてもらうぞ。僕はお前を欲しいのだ。」
「後鬼よ。僕に使役されろ。」
なんと見事な歌舞伎ぶり、いや我が儘である。
後鬼が、それを聞きつけて大笑いする。
「ハッハッハッハッハッ」
「馬鹿げた事を言う者が居たもんじゃわ!何もせずに我を手に入れたいとな」
「ハッハッハッハッハッ」
笑っている側から僕が割って入る。
「まあ、そうだよな!後鬼よ僕がどれだけお前が欲しいか証明しよう!」
と言った途端に素手で後鬼に殴りかかる。
「馬鹿者が、素手で敵うわけないじやないか!」
「最強の式神なんだぞ!死ぬ気か辞めてくれ!」
威主那が叫ぶ!
僕はお構い無しに全力で後鬼の頬を殴りつける。
「いた!」
(なんて硬いんだ)
後鬼の顔はピクリとも動かない顔色も(まあ青くてわからないが)変わらない。
しかし、後鬼は何も言わなくなって僕を見ている。
(くそう)
そう思いながら殴り続ける。
顔面、身体、急所と言う急所を寸分違わず攻撃していく。
人ならば死に至っているほどである。
(何処かに弱点はあるはずだ)
と自分に言い聞かせ攻撃を続けた。
全ての急所を攻め終えた時に無言で後鬼が動く!
後鬼の動きは早く目で追うのがやっとで拳が顔面目掛けてきた。
僕は今まで鍛え上げてきた事もあり身体が勝手に動き拳を交わす事ができた。
(やった、交わした!こんなも…)
と考えてた瞬間に腹に激しい痛みが走り身体が[く]の字に曲がった。
後鬼の拳がめり込んでいたのであった。
口から嘔吐したが倒れない。
「まだ、まだ、」
僕は気合い十分である。
言った途端に後鬼は(ニヤリ)と笑って!
何も言わずに、数発殴りけてきた!
僕は膝を着くことなく耐えていた。
一瞬隙が見えたので腹に
「ウォー。」
と叫びながら殴りかかる。
その姿勢を見て後鬼の動きが止まった。
「フッフッフッ!この苦戦している中で少しの隙を見逃さず攻撃を仕掛けるか!しかも急所を寸分違わずにな!」
「その何時如何なる時も諦めない心しかと確かめさせてもらった。」
「我も主と認めようでないか。」
(勝ってないが認めてくれたのか?)
と思った途端に力が抜けて膝から崩れ落ちる。
仰向けになり、前鬼と後鬼に一言だけいう。
「ありがとう。これからよろしく頼むね。」
そのまま意識が途切れていく。
後鬼がそれを見て言う。
「まだ、まだ、だが面白いよのう。」
前鬼はその言葉に
「遊びよって、力も抜き急所にも一発も入れてなかったではないか!」
「そう言うでない。我が本気で殴れる訳なかろう!」
と言って護符に戻り時流の胸の上にそっと載った。
それを見て親父達は
「なんと、使役してしもうたわ。」
とびっくりしなが喜んでいた。
僕は最強の式神を手に入れたのであった。