第一章 新天地 第13話 雑技団演舞
やっと雑技団が開催されました。
そして、雑技団の公演初日が、スタートしたのであった。
雑技団団長のアンが観客の前にでて挨拶を始めた。
「皆さま今年も我がアン雑技団は戻って参りました。今回より演目を増やしておりますのでヒヤヒヤ、ドキドキ、しながら楽しんで要ってください。では開催いたします。」
綱渡りから始まった、ミゼルとサーシャが綱の両端に立ち最初にミゼルが演技を行い、次にサーシャが演技を行っていく、そして、最後に2人が内側に寄っていきミゼルが縦の開脚をし綱の上に座った、そこへサーシャが肩に手を置き倒立をしそこで止まってみせる、場内のお客から拍手がチラホラ起きる、大半のお客は墜ちないかとドキドキしながら見守っている。その状態を把握して、サーシャが次の行動に移る反対側の綱に降り立ったのである開脚をしていたミゼルも立ち上がり観客に向かい一礼をした。
「わぁ~!」「ヒューヒュー!」「いいぞ~姉ちゃん!」「フォフォフォ!素晴らしいのう!」
(おっ!今の笑い声は)とシリュウが声の方を向くとマンホールのところにいたおじいさんがいた。
「おじいちゃん来てくれたんだね!」
と下から声をかけた。
お年を召した方々がこっちを見て知らない顔なので返事をしてくれない。シリュウにしても変装をしているのでわかるはずもないのである。
(あちゃ~変装してるからわかるわけないか!まあいっか来てくれたからね。後でこっそり会いに行こうっと。)
「では、綱渡りの最後の技を披露致します!新技となるので目をしっかり開けて御覧ください!」
とアン団長の掛け声と共に上にいる2人が綱を上下に揺らし始めミゼルが宙を舞う、そして一呼吸空けてサーシャが宙を舞った。
「キャー!」「落ちたぞ~!」
と場内から勘違いの声が上がった。それもそのはず下には落下防止ネットが敷かれているわけではないからである。
そこに、一閃の光の如く女性が現れ空中にてミゼルをキャッチし地面に着地、更にジャンプしサーシャもキャッチして地上に着地したのであった!
「御覧戴けたでしょか!うちのニューフェイス疾風のメイで~す!以後お見知りおきを!」
(メイっていつ名前決まったんだよ。)と思いながら紹介をされたのでミゼルとサーシャを両肩に乗せたまま観客に挨拶をするのであった。
すると会場から拍手喝采となったのである。さすがはアン団長人の心を掴むのが上手いと思ったシリュウであった。
さて、雑技は次の剣舞へと移行するのであった。
「さて、続きましては我らの美人姉妹剣士達による剣舞を堪能ください。ではどうぞ!」
三女のラティアが現れ青竜刀を扱い華麗に舞いその後二女のサティアが現れ西洋の剣にて力強い舞いを行いその後長女のミディアが日本刀で舞って見せた。
少しづつ演舞の研ぎすまれていくのを感じている観客はミディアの剣舞を見ている最中は息をすることも出来ないくらい静まりかえっていた。ミディアの剣舞が終わったとたんに場内から割れんばかりの歓声が上がったのは言うまでもない。
「さあ、うちの美人姉妹剣士達の演舞はいかがでしたでしょうか?」
「団長すごいぞ!」「相変わらず息を飲んだわよ!」
などの歓声のなかアン団長が割って入る。
「さあて、ここからが何時もと違いますよ~新人メイちゃんがまたまた登場いたしま~す!彼女は今度は何をやらかしてくれるのかなあ~ではメイちゃん宜しくお願いします。」
そこに、雑用のリクゴウとシュバルツが台に乗せた岩を持ってきて置いたのであった、その前に陸奥之神義光を左手に持ちシリュウが歩いてやって来た。観客に一礼を行った後、岩と向き合って対峙した。シリュウが構えをとった瞬間観客から何も聞こえなくなった。
「チン」
刀を納めて音だけが鳴り響いた。
「なんだよ、何も起こらないじゃないか!」「新人だから期待したのになあ!」
などの観客席からの声が聞こえてきた。アン団長は観客席に向かって
「何方かお手伝いして貰ってもいいですかね!何もないと思った方がいいので宜しくお願いしますね。」
そう言いながら観客に指差して指名していった。そして、ステージに上がった3人に声をかけるのであった。
「この岩はですね。まだ斬られた事に気づいてらっしゃらないのですよ。あなた方の力で教えてあげてくださ~い!ちょっと押してあげるだけなのでお願いします。」
といい岩を触るように指名を出した。観客はアン団長が失敗したのを補う為のアドリブだと思い笑い出した。指示を受けた観客もやはり笑いながら岩に近づいていき岩に手をかけたその瞬間押した方向に勢いよく滑って落ちた。その後残りの部分も気づいたかのように失くなっていく。切断面は顔が映るほど洗礼されており観客全てがあっと驚いたのであった。
「ワー!ワー!」
アン団長が言った事が全て本当の事であったことを悟ったのであった。しかし、それを納得いかない輩もやはりいるのである。
「アン団長~そんな大岩斬れるわけないでしょ!最初から斬ってあったとかさしかもあの姉ちゃん動いてないじゃんか。もし本当ならもう一度見せてよ。」
「あなた方酔ってらっしゃいますね。私の雑技団はたねの有るような物はお出ししません。どうしてもというのであればメイちゃんもう一度お願いしていいかな?」
僕は裏からOKの合図をだした。
「岩はどうなさいますか?あなた方の選ぶ物でいいですわよ。」
「選んでいいのかい?そりゃ強気だねえ、では遠慮なく町の門の外にデカイ岩あったよなああれでどうかな?まあ持ってこれるならの話だけどなあ。ギャハハハ」
町の住人でなくてもなの大岩のことは直ぐにわかる門をガードするためにわざと置いてあるのだから持ってこれるような大きさではないのだ。
「あなた方はあのガードの為にある岩を持ってこいと言うのですか?」
「持ってこれないのなら仕方ねえなあ。ギャハハハじゃあ門の外で一ヶ所斬って見せてくれればいいよ。ギャハハハ」
「あなた方大概にしなさいよ!いくらなんでも大きすぎるわよ。」
そこにシリュウが一言言う。
「アン団長、いいですよ!ニコちょっと外に行きましょうか。」
「シリュウ君、はっ、メイちゃん大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ!剣術に大きさは関係ないので閲覧している観客の人達は壁から見てもらえれば安全なので酔っている方達だけきてもらいましょう。」
「姉ちゃん止めるなら今のうちだぞ!ギャハハハ誰も手伝ってくれないんだからな!ギャハハハ」
「まあ、見てて下さいよ。アッ、先に確認しとかなくて大丈夫ですか?後で変なこと言いっこなしですよ!」
「まあ、そう言うならちょっと確認してやるか無駄だろうがな。」
と言いながら酔っている客は触って確認した。
「いいぜ、姉ちゃんまあガード用の大岩だからな魔法でだって壊せやしないぜ。ギャハハハ」
「じゃあいいですね。あなた方は私の後ろにいてくださいね。ニコ」
シリュウは大岩の前に立ち構えをとる。「チン」またもや刀が鞘に納まった音のみが響いた。
「姉ちゃん終わったんかい。ギャハハハ今回は何処を押せばいいのかな?ギャハハハ」
「今回はすいませんが、危ないので私が自分で触りますね。」
「何が危ないのでだ馬鹿じゃねえのか!ギャハハハ」
「では、行きますね。」
シリュウが鞘で地面を「トン」つついた途端にズルズルと道を挟んで滑り落ちていった。ゴゴン50メートル四方はある大岩が見事に分断されたのであった。
酔っていた客達は腰を抜かして座り込んでいる。
「これで、納得いきましたか?ニコ」
「ああ、納得したよ。」
酔いも覚めたようで震えながらシリュウに答えている。
「アン団長~もう5分下さね~!」
「いいわよ~!どうするの?」
「元に戻します。ニコ」
といいながらズレた反対側に立った。
「せーの!」
端から蹴りを一発元の方に戻って行く。蹴ったシリュウは既にそこには居ない上空を舞っていたのであった。
「さあ、ここだね。」
大岩が元の位置になったときにシリュウは掌体突きしてみせた。
ピタッ!大岩は何事もなかったかのように元のままになったのであった。
「さあ戻りましょう。まだメインイベントが残っていますよ。」
これにはアン団長もちょっとびっくりしたが、直ぐに立ち直り
「さあ皆様テントに戻りましょう。」
ワイワイ言いながら観客はテントに戻って行くのであった。
「さあ皆様、メイちゃんの演舞が本物だとわかって頂けたでしょうか。」
大歓声がまきおこった。
「では、中断しておりましたがメインイベントを開催致します。テント上部オープン」
アン団長の指示のもとテントの上部が開けて空がみえだした。
「では、メイちゃんに再度登場願いましょう。」
「メイちゃん魔法も使えるの!」「メイちゃんすごいぞ!」「メイちゃんあなたに惚れました。」
等といろんな声援がかかってきた。そこへシリュウ登場
「綺麗な螺旋炎をご覧下さい。」
と言いながら呪文を観客に向かって唱える。
「ジュノン」
螺旋を描きながら観客向かって炎が飛んで行く。観客がキャーっと騒いでいるがお構い無しである。自分のところに来ていない人は慌てていない。叫んでいた人も炎が熱くないので、直ぐ様我に帰ってその美しい炎にみいっている。
「最後の演目の準備が整いました!我が雑技団きっての魔術師達による華麗な複合魔術をお楽しみください。」
とアン団長が進めていく。そこへマリー、ジャーミャ、ミリアの3人が現れテント上に雪雲を発生させ雪を降らしている。これを見ることで観客の気持ちを落ち着かせて終了である。外部でも雪が見ることが出来ることで宣伝にもなるのである。
「皆様、パワーアップしたアン雑技団はいかがてしたでしょうか?一週間行いますのでよろしければまたのお越しをお待ちしております。」
そこで、1日目が終了したのであった。
あの、観客の土産とするはずの大きさ岩ですが、ドタバタしたためプレゼント出来なかったのであった。
「アンさん、僕の知ってる人にあげていいですか?」
「お疲れ様シリュウ君、そのくらいいいわよ。今日はあの酔っぱらいのせいで上手く進行出来なかったからね。特別だよ。」
「じゃあ貰って行きますね。」
舞台の端に置いてある岩に向かい手を伸ばす。
「グラビティ.ダイス!」
瞬時に岩がサイコロの大きさまで小さくなってシリュウの手のひらに飛んできた。
「ちょっと行ってきます。」
そういうなり帰って行く客の中に突っ込んでいった。その中にじいさんを見つけ呼び止める。
「じいちゃん!」
「フォフォフォフォ、なんじゃな。嬢ちゃんさっきはすごかったのう!年甲斐もなく興奮したぞよ!フォフォフォフォ」
(ヤバい、変装解いてくるの忘れてたわ。)
「実はね、うちのシリュウ君からおじいちゃんが来てくれたからプレゼントをあげてほしいって言われたから渡しにきたのよ。」
とサイコロをじいさんに手渡した。
「昨日のマンホール小僧か。律儀な奴じゃの!しかしけしから~ん!自分でこんかい!フォフォフォフォまあいいか小僧より嬢ちゃんのほうがいいからの!フォフォフォフォ宜しく言っといておくれ!」
そう言いながら嬉しそうに去っていった。
シリュウが雑技団に戻ってみると大成功だったことに皆満足していた。
「1日目やっと終わったわ!この調子でガンガン行くわよ!」
この事で悪魔も全勢力で攻撃する事になったとはだれも知らない事であった。
襲撃まで後2日である。
遂に悪魔が攻めてきます。
拍子抜けしないように頑張って書きます。
見ていただいたかたありがとうございます。