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最弱勇者は最強魔王  作者: 村正/正宗
第一章 勇者になる
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第1話 求め求められ

こんにちは!こんばんは!

短いですが(序章より短いってどういうことだよ!!)最後まで読んでいただけると嬉しいです(*´-`)

誤字脱字があればご報告お願い致します(_ _,)/

「ハァ、終わったか。今回は少しは骨が折れたかな....」


目の前には青く輝く粒子が空に上るようにして、しかしそれは天に届くまでに消えてしまう。そんな光が立ち上っていた。

これはゲームキャラ特有の消滅の仕方であり、この世の者ではないことを明白(あからさま)にしている。


「今回の勇者はどうだった?...ジン」


俺の言葉に反応し、王座のあった台の後ろから出てきたのは、この世界の勇者(・・・・・・・)だ。


先の勇者とは違い、始めから何か能力が飛び抜けていたわけでもなく、加護などあるはずもなく、その状態から人々に勇者、或いは人形兵器とまで呼ばれるほどになり、この俺、魔王(規格外)と粗互角に戦える程にまで上り詰めた規格外の男だ。


まぁ、そんなことを返事が来るまでに考えていると勇者が口を開いた。


「なーにが骨を折っただ、実力のこれっぽっちも出してねぇじゃねぇか。」


 出会い頭に言われた言葉を俺は直ぐ様に反論する。


「実力見せたよ!?召喚したし、攻撃も防いだし!」

「どれも息をするくらいに当たり前にできるだろうがよ!全く、最後の攻撃は含まれねぇのがやっぱ規格外だな。」

「あ、....って規格外はお前もだろ!?」


ふざけた会話は何時もの事だ。この時間が一番心地よく感じられるのは皮肉なものである。


彼、ジン・オーディコナとの出会いは先の勇者との出会いと似ている。だが戦う意志は根本的に違っていた。平和ボケした少年等とは違う。

彼は命をかけて俺に戦いを挑みにきた。しかも仲間など誰一人として連れずに、彼から溢れる力に納得はしていたが、単独で魔王城に駆け込むなど普通は自殺行為だ。

戦いは(ほぼ)丸一日に及んだ。

久々の力を出せる戦いだったからね、楽しかったんだ。

まぁ冗談はさておき戦いの末俺は彼となら友達になれると思った。

いや、楽しかったからとかそんな(よこしま)な気持ちで思った訳じゃないよ!?戦ってるときに、聞いてもないことをどんどん喋ってきね、悪意ある人間でないと思ったわけだよ。で、色々お話したら案の定仲良くなり今では一緒に飯を食い、共に力を出しあってるくらいだ。物理的にもね。


最近は他の魔王を討伐しに行っていたため、久し振りの再開だ。

数日前、特急(鳥)で手紙が届き急速に伝えたいことがあると書いてあったため、汚くないはずの自部屋を掃除したりして待って居たところに丁度先の勇者等が現れたというわけだ。


「で、急に手紙寄越して話したいことって?」

「あぁ、実はな、この前ダンジョンの魔王を倒したんだけどそのときに神託みたいなのが聞こえてよ、何かどっかの世界に飛ばされるらしいんだわ。」

「ぇえっ!?それじゃあ俺の相手は誰が.....で、いつなんだ?」

「もうそろそろのはずだ、俺が魔王を倒したのが二日前で、神託では二日後って言ってたし───」

「え、もうすぐなの!?一戦、一戦しよう!」

「あぁ、そのつもりで急いできた...んだが。わりぃ、もう時間みたいだ。」


気付けば、いや、その前から急速に高まる魔力に二人は気付いてはいた。

足元を見れば二人を、部屋全体を飲み込む程の魔方陣が展開され浮かび上がり、幾何学模様が何重にも重なり、辛うじてその意味を(二人が)理解できる膨大な数の呪文が羅列している。

そしてそれらは徐々に光の輝きを強め、その魔方陣の発動が間近であると語っているようであった。


「まぁなんだ、またそのうち俺より強いやつが現れるさ。」

「いつだよ...全く。お土産持ってこれたら持ってこい。」

「ふっ、わぁ~ってるよ。」


展開していた魔方陣が動き出し、放出される魔力の膨大さに風が生まれよりいっそう輝きを強める。




【強きものよ、武を極めし者よ、魔王を討ち滅ぼし者よ。我が世界での悪を滅せ。】




機械のようで、しかしして人のようでもある。しかしそこには不思議と威圧があり、然れど気品もあり、圧倒的な力を感じさせられる。




【ゲート】




その声に連動し魔方陣はその役目を果す。


光が消え、風が消え、音が静まり風によって動いていた衣類の擦れる音が、静まり返った部屋に唯一音を残す。



「フッ~、何であいつが行っちまうんだよ....ユウヤ。」




そんな部屋に残されたジン・オーディコナの声が溜め息と共に響き渡った。

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