第5話 煽て愛でよ
こんにちは!こんばんは!村正です!(* ̄∇ ̄)ノ
先ずは更新遅れたことに対して深くお詫び申し上げます。
見捨てないで!ヽ(#゜Д゜)ノ
あれから一時間程歩き、地図に記された第2ポイントらしき場所に到着した。
そこは地図に描かれた絵と同じく周りは岩肌を除かせる崖に覆われ、砂利が広がる向こうにはここまで沿って歩いてきた川が流れていた。
「良い場所だな」
「長閑ですね~」
「.......」
俺達はこの風景に感嘆の吐息を思わず吐き出す。
一名グロッキー状態の者もいるが。
「さ、野営の準備をするか」
「そ、そうですね!」
「......」
回りを見渡しテント等を張るに適した場所を探す。
「あそこにしようか」
「そうですね」
「.......」
そこは砂利も少くテントを張り寝転がっても大丈夫そうであり、それでいて川からもあまり離れていない最適な場所であった。
「よし、俺は枝を取ってくるからシーナは荷物番をしていてくれ!」
「わ、分かりました!」
「.........」
俺は背負子に縛っていたアイテムボックスに入りきらなかった物をいれた革袋を外し地面に置く。
「よし、それじゃ行ってくる!」
そう言うと俺は来た道を戻り森に向かおうとした。
グイ
「うわっ!」
だが、その前に服を何かに引っ張られる。
「..ねぇ....」
「うっ!」
「ひぃっ!」
その声はまるで地獄から這い上がって来た亡霊のようであり、低く、まるで自分すらをも地獄に引き摺り下ろそうとしているようで、まぁ何を言っているのかと言えばそれだけ恐ろしい声だったのだ。
おいアウトレア、シーナがびびって悲鳴上げてるぞ。
「荷物の中に私を含んで無いよね?ねぇ?私頑張ったんですけど?労りの言葉は?さっきからまるで居ないかのような雰囲気はなに?ねぇ..」
怖い怖い怖い怖い!
俺の腰丈程しかない少女が出すオーラじゃないんだけど!?
「あ、アウトレア落ち着け!」
「..なによ....落ち着けるわけ無いでしょ!!」
あぁ、喚き始めた。
こうなったのもあのオークを倒した後の事だ。
まるでオークが消えたことを察したように動物や魔物が現れ始め、それを嫌がるアウトレアに全て任せたのだ。
気付けばいつの間にかアウトレアの表情が消え、言葉が少くなり、しまいにはとうとう喋らなくなっていた。
気味悪がった俺は極力無視し続けていたというわけなのだが。
「わ、悪かったって!少しやり過ぎたかも...」
「かも!?かもじゃないでしょ!!だいたいね!───」
このあと小言は数十分に渡り続けられたがシーナの介入により俺はなんとか逃げることで開放されるのであった。
「ふぅ~、何て怖さだよ。マジで邪神とか言われても信じるぞ...」
辺りを見回し良い長さの枝や草を見つけ背負子に乗せていく。
「はぁ、しっかしこの体慣れねぇなぁ~」
先のオークや山賊との戦いでも感じたことだが体のステータスが大幅に下がったことで体の動かし難さを実感していた。
まだ聖剣の意外な切り味で誤魔化して来ているが、このままだと戦いに追い付けなくなると感じている。
「まぁ、後から考えるしかないな」
そう思い枝拾いを再開発する。
一方、アウトレアの小言からユウヤが逃げた後、標的はシーナへと移り小言の嵐を今まさに受けている状態だった。
「─だいたいねぇ!シーナはあいつのこと庇いすぎなのよ!」
「は、はぁ~」
「あいつの何処が良いの!ステータスは弱いし変態だし慈悲もないし!───」
前にも聞かれた、何処が良いのか。それどころか今ユウヤさんにどんな感情を持っているのか。
ユウヤさんと一緒に居るアウトレアさんにどんな感情を持っているのか。
そういえば、あの言葉の意味って...
「あ、アウトレアさん水浴びしましょうか!汗かきましたしね!」
「....むぅ、そ、そうね。あいつが来ないうちに!」
話が長くなりそうだったので話題を強引に変える。
アウトレアさんは渋々納得したのか、回りを見渡し何も居ないことを確認してから下着だけになる。
しかし見ていて思うのはまるで。
「....なに?どうしたの?」
「い、いえ!ただ、アウトレアさんてまるでお人形さんのようですよね!」
「...え?」
(あ、いけない!)
「ご!ごめんなさい!悪気はなくて!えっと、そのかわいいと言う意味でえっと、」
「え、えぇ、だ、大丈夫よ...」
(あぁ、変な雰囲気に...)
「...ぁって...ど..」
ふと聞こえたアウトレアさんの呟きは川の音に流され、私に聞こえることはなかった。
薪などを大体拾い終わりアウトレアやシーナが居る場所に戻る。
「ただいまぁ~」
「あ、おかえりなさい」
「......」
(まだ怒ってんのか?)
「ま、テント張るか」
「あれ?ユウヤさんテントなんて持ってましたっけ?」
シーナの疑問に答えるなら持っていないだ。
だけど
「持ってないよ」
「じゃあ、どうやって?」
「作るんだよ、やってみる?」
「え、あ、はい!やってみたいです!」
「.......」
良い食いつきだな、アウトレアもチラチラ見て気になってるみたいだな。
背負っていた背負子を地面に下ろし、蔦と一際太く長い木の棒を取り出す。
「よし、それじゃあこの棒をまとめてそこに置いてくれ」
そう言うと持っていた棒をシーナに渡す。
「はい。」
「次に土台となるこの場所の邪魔な小石拾いだな」
「分かりました!」
数分してあらかた邪魔な小石の排除と整地を終わらせる。
「よし、じゃあアウトレア。そこの一番太い木の棒を取ってくれ」
「し、仕方ないわね...」
チラチラみて気になっていたであろうアウトレアに頼んでみる。
少し嬉しそうな顔をしてるな。良かった良かった。
「これ、どうするの?」
そう言うアウトレアを見ると、太い木の棒を肩に担ぐようにして持ってきていた。
「あ、あぁ。それじゃあ中心のここら辺に刺してくれ」
ドスン
「.....」
「これで良いの?」
「あ、あぁ、有り難う」
「また何かあったら言いなさい」
そう嬉しそうな顔をして言う。
本当にするとは思わなかった....
「ユウヤさん次はどうするのでしょう?」
「あ、あぁ、そこにある細長い棒を取ってきて。」
「分かりました!」
「ユウヤ、私は?」
「アウトレアは蔦を持ってきてくれ。その後シーナの手伝いもおねがいな」
「仕方ないわね!」
いやぁ、ここまでの食いつきとは思わなかったな。
「ユウヤさん持ってきました!」
「それじゃあ一本ずつ渡してくれ」
「はい」
シーナに渡された木の棒の端を先程アウトレアが刺した木の棒と交差するようにして斜めに立てていく。
「ユウヤ、持ってきたわよ!」
「おう、有り難うな」
「次は何かある?」
「俺が今立ててる木の端に一本ずつ小さい木を刺していってくれ」
「分かったわ!」
俺はシーナに渡された木の棒を立て終え、真ん中に立てた木と共に長い蔦で結ぶ。
その後にアウトレアが刺してくれた木の棒とその近くの木を一本ずつ蔦で結んでいけば簡易テントの骨組みの完成だ。
「よし」
「次は?」
どうやら機嫌は落ち着いたみたいだな。
「そこにある草をこれにくくりつけていくぞ」
そう言い骨組みのテントを指す。
その数分後、見事に簡易テントが完成した。
「ふぅ~、よし完成だ」
「凄いです!ユウヤさん!」
「そうか?」
「まぁまぁね」
「はいはい、二人共のお陰で上手く出来たな」
「えへへ」
「ふんっ」
二人共満足できたようで良かった。
「よし、それじゃあ暗くならないうちに食糧調達するか」
「ユウヤさん狩りでも?」
「ん?いや、釣りだ」
「っ!」
「つり?」
シーナは知らないのか。
アウトレアは前にしてみたいって言ってたからな。
細い蔦を選びしなる木の枝に括り、アイテムボックスから出した小さな骨を削って蔦の先に取り付ける。
「完成!」
「それで何を?」
「魚を取るんだよ」
「ユウヤ!私にもさせなさい!」
「わぁまて!落ち着け!まだ作るから!」
「早くさせなさい!」
その後三人分作り、シーナにやり方を見せると目を輝かせ三人で釣りをした。
「思った以上に取れましたね!」
「だなぁ~」
「ふん、ユウヤにしては上々ね」
「ありがとさん」
日がそろそろ落ち始めていたため焚き火の準備もあることから早目にあがったのだが、釣りの結果は上々で一人4匹は取れていた。
食いきれるのか?
「よし、焚き火の準備だが。シーナ、やってみろ。」
「わ、分かりました!」
「私は?」
「俺と魚のした処理だな」
「いやよ、何で私がそんなこと─」
「ならもうつりはアウトレア禁止な」
「なっ!卑怯よ!」
「つべこべ言わず働け~」
釣り禁止って言っても釣竿作るだけで良いんだけどな。
今日の分を下ごしらえしたときには焚き火はできていた。
その後焚き火に火をつけ、焼き上がった魚を食べたあと体を洗い夜番の番になっていた。
パチパチと焚き火からあがる音に川の流れる音を聞きながら見張りをしているとテントの方から起きてくる音がする。
この音は
「シーナか?」
「はい、よく分かりましたね?」
「感だよ」
そう言うとシーナがこちらに来る。
トイレじゃないのか?
「隣、良いですか?」
「あぁ、どうした?交代は未だだし、眠れないのか?」
「まぁ、そんなところです」
うーん、どうしたのか。
「ユウヤさんとシーナさんは、とある国から逃げて来たんですよね?」
「あぁ」
確かそう言う設定だったな。
「嘘、ですよね?」
「え、?」
あれ?
「いやいや嘘なんかじゃ...」
「....では、そう言うことにしときましょう」
何でバレそうになってんだ?まぁ確かによく考えればおかしいことだらけだけど。
勘が良いのか?
「すみません、詮索が過ぎました」
「....なぁ、シーナ。」
「はい」
「.......いや、何でもない。早く寝とけよ?明日は早い」
「...はい」
シーナはおやすみなさいとだけ言ってテントに戻って行った。
俺はあのとき何を言おうとしたのか。
人と触れあうことが少なくなっていたからか。
あぁ、とてもとてもそれは。
反吐が出る
翌朝、テントを解体し持てるものだけを持ち、俺達は地図に記された第三のポイントに向けゆっくりと歩きだした。
最後まで読んでいただき有り難う御座います!
いやぁ、疲れた。時間というものが長くなればと感じる。小学生のころ等は早く時間がすぎればいい等と思っていましたけどねw
それではこれからも応援のほど宜しくお願い致します!




