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翡翠の王冠  作者: 電動
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第8話 -嵐の前-


 ……次の日

 今日はマリンが昼寝をしているため、部屋にはマーリンと竜の親子の3人がいた。


 「ふむ、お腹がすいたね」


 ゾーイから奪ったパソコンをいじるマーリンが呟いた、

どこで使い方を覚えたのかはわからないが、インターネットで騎チャンネルを見ていた。


 「ドラコもお腹すいた!マーリン何か作って!」


 マーリンの横に座ってパソコンを見つめるドラコも元気な声で言った。


 「マリンと違ってボク料理は苦手なんだ、ママに頼んでみたらどうだい?」


 「はぁ?」


 これもまたゾーイから奪った漫画をベッドに寝転がって読んでいるモルドレットこと、モル。

 とにかく暇な三人だった。


 「ママお腹すいた!何か作って!」


 「断る、めんどくさい……コンビニとかいうとこで買ってこればいいだろ?」



 「雨が降ってるから外には出たくないのさ、傘も無いしね」


 この日は朝からずっと雨が降っていて傘をまだ買ってないマリン家には外にでるすべがない。


 「ならヒスイに作ってもらえ」


 「わかった!ドラコ行ってくる!」


 ドラコが裸足のまま飛び出していった。


 「…………」


 ガチャン!

 30秒もしない内に帰って来た。


 「いなかった~…」


 実は居るが面倒くささを察して出なかっただけだ。


 「ふむ、よし」


 マーリンが指をパチンと鳴らすとTシャツにジーパン姿だったモルがメイド服に変わった。


 「なっ…!てめぇ!何の真似だ!」


 「何か作ってくれたら戻してあげるよ」


 「ママかわいい!」


 「バカが、こんなもの脱いじまえば……あれ?」


 どれだけ引っ張っても脱げない、引っ掛かっているわけでもないのに何故か脱げない。


 「さぁどうする?一生そのままでいたいかい?」


 「くっ……」


 はぁ……とため息をついて台所へとぼとぼと歩いていき、冷蔵庫を開けて何が作れるかを考えてみる。

 何も言わない……それはそうだ、冷蔵庫の中には何かの絵が描かれている謎の袋(冷凍食品)と飲み物がいくつも入っているだけで、モルにはこれが何なのかさっぱりわからなかった。


 パタンと扉を閉じてベッドに戻り、再び漫画を読み始めた。

 ドラコもベッドに寝そべってモルの読んでいる漫画を覗きこんだ。


 「ママ~ごはんは~?」


 「しらん、俺は忙しいんだ」


 ……その後、帰って来たアリスに食材を借りて、起きたマリンに『夕飯』を作ってもらったとさ。


 

 ……ヒスイの部屋

 ヒスイはドラコのインターホン連打攻撃を受け流し、ベッドに寝転がってツマホで騎チャンを見ていた。


 ヘクター

 「新人戦のメンバーが決まったらしいが、アルフレッドの他に誰がでるんだろうな」


 バイロ

 「今年は目ぼしい奴がいないからな、わからん」


 ヘクター

 「ちなみに団体戦には今年も我らが『妖精』アイリーンちゃんが出場するよ!」


 リドリー

 「仕事しろ」

 

 ヘクター

 「はい」


 目ぼしい奴がいない……言われても別にムカつきはしないが少し悔しくはある、アルフレッドが有名すぎて他の奴らが目立たなかった。


 ヒスイ

 「今年は面白いもんが見れるかもな」


 ヘクター

 「え!?お前が書き込みしてるの初めてみたぞ!ていうか誰がでるか知ってる感じか?」


 ゾーイ

 「期待が……!高まる……!!」


 ヘクター

 「あれ?ゾーイって実家に帰ったんじょなかったのか?」


  ヒスイはツマホを机に置き、ふっと笑うと昼寝を始めた。


 ……キャメロット、王の執務室

 

 「……以上5名で新人戦に臨むつもりです」


 資料を読むアーサーの前で新人戦のメンバーを報告するアルフレッド、やはり優等生、完璧な姿勢だ。

 窓際にはレムが立っている。


 「ふ~ん、ヒスイにマリン、トリスタンの息子とお前は知っているが、こいつはどんな奴なんだ?」


 資料を1枚手に取り、アルフレッドに見せる。

 『ファリス・フォスター』age.16……6地区居住、治癒魔法師。添えられた写真には、緑色のボサボサな髪をした、いかにも体調の悪そうな女性が写っていた。


 「2年前、騎士学校の実習で6地区の『モーラ大森林』に行った際、崖から落ちた私をちょうど薬草を取りに来ていた彼女が治療してくれました……折れた足をほんの数分で使えるようにしてくれたのには本当に驚きました、王室治癒魔法師並の彼女のサポートがあれば我々のチームの耐久力は格段に上がると思われます」


 「へぇ、そいつは凄いな……いいだろう、ご苦労だった」


 「……アーサー王、少し質問してもよろしいでしょうか?」


 「いいぞ」


 「……マリン・パーシバルについてですが、彼女からは異質な何かを感じます、彼女は王の推薦で入隊してきたようですが、いったい何者なのですか?」


 アーサーは椅子に深くもたれた。


 「それに気づくとは流石だな、確かにあいつには少し『人とは違う』部分があるがお前が気にするような事ではない」


 「しかしチームのリーダーとしてはメンバーの特性等を知っておく必要があると思うのですが……」


 「知る必要はない」


 どうやらあまり知られたくない事のようだ。

 まぁマリンの年齢は本当に適正なのかどうかというのはかなりグレーな所で、それをアルフレッドが知ってしまうと、真面目すぎる彼は考えを改め兼ねない。


 「わかりました……それともう一つ、『モル』という女性をご存知ですか?」


 …………。


 返答は無かった、しかしモルという女性がマリンと同じく何か特殊な事情の持ち主だという事はわかった。


 「失礼しました、余計な詮索をしてしまったようです」


 「いや、いいんだ……だが彼女らの事にはあまり首を突っ込まない方がいい」


 「……気を付けます、それでは失礼します」


 胸の辺りに拳をつくり、敬礼してから部屋をでていった。


 「ふぅ、全く……真面目すぎるのも難儀だな」


 「お疲れ様」


 白髪の少年、『マーリンレムナント』通称レムが口を開いた。


 「そう言えば結局大将戦の方はどうなったの?」


 「あぁ、やはり情報通りツァーリカは『カーネル』を使う可能性が非常に高い、だからこちらも……」


 「そっか、ワコクはどうかな?」


 「ツァーリの情報をワコクに噂として流してある、それで向こうが探りを入れてきたら、こちらの情報をさりげなく教えてやるのさ、それでワコクからも同等レベルの戦力が投入されれば例えカーネルが出てこなかったとしてもうちだけに批判が集まるということはないだろう」


 「キミにしては小賢しいやり方だね」


 「うるせぇな、とにかくこれで準備は整ったってわけだ……さぁ祭りの始まりだ」

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