本戦第四試合
「き、気を取り直して第四試合、ユキ選手対ベル選手!」
呼ばれたので試合会場に行くと相手の選手はウォーミングアップを済ませて待っていた。
「・・・・・」
なんか無言でにらまれてる気がする。顔が全く動いてないからわからないけど。ちなみに相手の見た目は青に近い紫色をしていて、小顔で小柄な女子だった。手には小手をはめていていつでも攻撃ができる体制になっているようだ。
僕は手に何も持たず、自然体で構えているように見えない態勢をとっていた。
「・・・・・」
相手が少しくらい油断か怒って集中力をかければ儲けものと考えていたけど全くの無反応だった。
「第四試合開始!」
そして試合が始まると一気に詰め寄られ、相手が殴りに来た。その手をそっと反らして背中にポンと手を一瞬置いた。
「・・・!」
その事に気づいた相手が少し怒ったらしく殴り方に躊躇がなくなりはじめて、この状態で当たったら普通の人なら死ぬくらいの痛さになっている拳を避けたり反らしたり抱え込んで背負い投げ擬きをしていると、
「・・・」
息が切れてきたらしく少しの間攻撃が止まった。
「早くそいつを倒せ!主人がお怒りだ!」
そう声が聞こえた瞬間、ビキッと言う音が聞こえた気がしたと思ったら目の前にベルがいた。
「くっ!」
流石にこのスピードは不味いので少し本気を出して避けたが、どんどん攻撃が苛烈になっていく。だが、
「・・・・っ!」
「どんどん辛そうにしてる?・・・・・・・まさか!」
そう考えて攻撃を避けながら首もとを見てみると
「やっぱりか・・・」
そこには首輪がついていた。なんとか強くなっていく攻撃を避けながら詠唱を始めた。
「・・っ!!」
もう少し、もう少し、かすりはじめた。もうちょい、直撃を食らいそうになるが致命傷は意地で避けた。よし!
「魔法を破れ魔法破壊!」
首もとにある首輪をさわり、発動させるとパキンと言う甲高い音をたてて首輪は壊れた。
「降参できる?」
「・・・・降参」
「ベル選手の降参によりユキ選手の勝利!次は準決勝です!」
当たりが熱狂に包まれるなか。静かに泣いているベルを見られないように、僕の体で隠しながら退出したのだった。
僕が退出してすぐに
「すぐにあのものを追え!主人に知られる前に!」
そして事態は動く。
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