ヴァリスに報告 (ほんとに)
「・・・・・って事になったんだ」
「・・・・・・・・・・この話は他で絶対にするなよ」
「言う気はないけどなんで?」
「こんな話信じると思うか!?お前が初代勇者の子供でしかも襲ってきた敵だと思っていたのはあのイルティクスなんだろ。こんなこと話したらホラ吹きか与太話か疑われて終わるだけだ」
「ん?イルティクスって有名なの?」
「当たり前だろ!初代勇者と一緒に旅をして魔王を倒したパーティーメンバーだぞ!」
「えっ!そうだったの・・・・・それにヴァリスは初代勇者の話は信じてるの?」
「それは前にも言わなかったか?」
「えっ?ごめん、覚えてないです・・・」
「まぁ、言ってなかったかも知れないな。俺はまず神を信じていないからな。だが信じていたやつらは今まで「勇者様!勇者様!」と読んでいたはずなのに神が「勇者カイトと勇者オウカは強大な力を使い人々を襲おうとしている。止めるために我に力を貸してくれ」と、この世界の全員に言ったんだ。そしたら人が変わったように一気に「人類の敵なんか早く殺してしまえ!」とか言うやつらが増えたんだ」
「・・・・・」
「だが俺はそう思わない。なぜなら『本当に襲おうとしていたかがわからないからだ』。そうだろ?自分が実際に見て感じていないものを俺は信じない。だから俺は信じないんだ」
「・・・・・・そっか。ありがとう」
「お前のためじゃない。俺がそういうドワーフなだけだ」
「・・・・・」
「・・・・・」
そしてお互いに無言になってから少し経って
「じ、じゃあ僕は戻るね」
と言ってそそくさ帰るのだった。
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