エピローグ
僕は、盗賊のアジトから出て直ぐシンラさんの娘さんを助けたことを伝えにギルドに向かい、ギルドにたどり着くと顔がやつれているシンラさんがいた。シンラさんに娘さんを助けたことを伝えると
「本当か!」
すごい剣幕をしながら僕の首を絞めてきたので
「ほほほ本当ですぅ・・・・」
声と顔をガクガク震わせながら答えた。その後離してもらってから娘さんとハイエルフの子と獣人族の人達が待っている場所に連れていくと、シンラさんは
「おい嘘だろ!?何でこんなところに王族がいるんだ!」
心臓が飛び出そうなほどの大声を聞きながらふと恐ろしいことに気が付いた。
「えっ?王族がいる? それはどういう事ですか?シンラさん」
正直意味がわからないのでシンラさんに訪ねた。
「ん?・・・あぁ、君は知らないのか。まぁ仕方がない。普通はこんな話知るわけないからなぁ」
丁寧に詳しく話してくれたシンラさんの話を更に纏めるとこう言うことだった。
・ 今日から一ヶ月前にハイエルフの王様と王妃が来るはずだった。
・ それに会わせて、獣人族の王様と王妃も来るはずだった。
・ その事は、人族の王様とその時に王様の護衛をしていたシンラさんだけでその情報は邪魔や敵などが入りこまないように秘匿されていた。
・それなのに何故か情報が漏れて、ハイエルフの王様と王妃と獣人族の王様と王妃を迎えにいくと、そこには、いかにも争った形跡と、重症をおったハイエルフの王様と獣人族の王様がいた。
・それに気が付いたシンラさんは、傷ついた王様二人を王城に運んでから傷を治してから事情を聞くと、突然目の前に現れた二人の人族のうち一人が魔法を詠唱して獣人の王様達に放ち、もう一人がハイエルフの王様達に剣で攻撃した。
・咄嗟に持っていた大盾を剣で攻撃している一人にぶつけて止めて、詠唱している方に走ったが間に合いきれずに身体を盾にして、かばった結果、シンラさんが気絶し、その間に攻撃してきた人族は逃げた。王族がいるという話を知っているのは、王様とシンラさんしかいなかったために、シンラさんは王様の話を吹聴したとされ、貴族や王にシンラさんは首にさせられた。
・ そして途方に暮れてさまよっている間にたどり着いた、王都から離れているこの都市。エリックで面接に受かり、下級騎士をやっていたらしい。
要約しても長い話を聞いたあとに一番ビックリしたことは
「シンラさんって王様の護衛をしていたんですか!?」
「もう昔の話だよ・・・今はここで働いているただのシンラだからね」
そう照れながら頭をかいてそういった。
「いまはそんな話よりも頼み事がある。このアイテムを王都にいるハリスと言う男に届けてくれないか?」
手渡されたのは、深い青色の水晶と手紙だった。
「これを・・・ですか?」
「あぁ。この手紙と一緒に水晶を渡せば、あいつは気が付くはずだからな。気づかなかったら一回殴ってから路地裏のミリーって名前を出してくれないか。そしたら流石に大丈夫なはずだ」
「えぇ・・・・?殴りたくはなのと路地裏の話は気になりますが分かりました。では今から行ってきます。」
「・・・やっぱりちょっと待ってくれ」
「何ででしょうか?」
「今日は疲れているから、明日に疲れを残さないために休んでくれ。だから行くのは明日にしてくれ。」
「急ぎではないんですか?急がなければならないはずですから今からでも行きますが・・・」
「急ぎではあるがそれでお前が倒れたらもっと大変だ。だから万全の状態で頼みたい」
「・・・そういうことなら分かりました。ではエマを連れてきてから帰りますね」
「少し待ってくれ」
突然話を止められたので理由を聞く。
「何でですか?」
「ちょっと一緒に連れていって欲しい方がいるんだ」
「どなたですか?」
「・・・・それが、ハイエルフの王女様なんだ」
連れてこられたのは、盗賊のアジトの中で僕の事をジーーっと見つめていたハイエルフの女の子だった・・・
僕は困惑した。
「なぜこの子を連れていってほしいと言われたのでしょうか?」
「あぁ、それはだな・・・あの盗賊に捕まっていることを証明するためと、ハイエルフの王女様が自分からついていきたいといっているからなんだ・・・・」
「そうなんですか」
「それに、ハイエルフの王様の子であると証明しやすい、絵本にも出てくる、ハイエルフやエルフでも珍しい精霊魔法と精霊の目と言う2つのスキルを持っているのを自慢されていたのを聞いたしな。その2つをお持ちであれば王族の証明ができるし証言の信憑性も証明できるはずだ。」
そう説明されて、なるほど。盗賊に捕まっていたと言う事の証明をしなきゃただの怪しい奴らになっちゃうしな・・・・あれ?そういえば
「その件は分かりました。その話とは変わりますが皆さんの寝る場所は有るんでしょうか?」
「それなんだがな・・・・まさか俺の娘を助けにいくと、そこに王様達が捕まっているとは思ってなかったからな・・・・皆が頑張ってくれたお陰で、ギリギリ部屋の用意が間に合ったん、だがな・・・・」
いきなり言葉を詰まらせたシンラさん。
「どうしたんですか?」
「あぁ・・・・ギリギリだったから部屋数が二人足りなかったんだ。 一人は家族だったから、同じ部屋でも何も言われなかったんだが、この方の親は王様だから、まず狭い部屋に泊まらせようとしていること事態が普通は駄目なんだが、今は更に王女を一般と同じ部屋にするのは不味すぎるからどうしようかと考えていてな・・・・この方が別にいいとも言ってくださったんだが、色々と考えに考えた結果・・・・・・」
「考えた結果??」
「お前に頼むことになったんだ。 頼む」
「えっ! ?何でですか! そうなった理由が分かりませんよ!」
「そういわずに頼む! この方からの了承も得ているから」
「えっ?了承うけているんですか?」
「あぁ。 なぜかはわからないがお前さんと一緒いいといわれているからな」
「今のお話は本当なのでしょうか?」
疑って王女さまに聞いてみた。
「本当に良いのですか?今はあれですが、移動中は野宿になりますし、ぼ・・・私のようなものとともになりますが・・・」
「うん。確かに了承した。問題ない」
「・・・・分かりました。ではしばらく準備になりますので参りましょうか」
「分かった」
「あっ! お名前を伺っておりませんでした」
「マリナ」
最後に一言名前だけ呟いて教えてくれた。その後、エマと会わせると何故か二人とも、威嚇し出したのであわてて止めると言うことが多々あったしたけど、それ以外は順調だった。
そして時間が過ぎて、王城に行く日になった。この都市から出発しようとすると、シンラさんがこちらに来た。
「頼んだよ。必ず渡してくれ」
「分かりました。必ず届けます」
短く言葉をかわして出発したのであった。