勇者の証
勇者の証を受け取った俺たちは、衛兵たちに連れられて城を出ることになった。
「ここからまっすぐいけば城門です。勇者殿、お疲れさまでした」
「ああ、ありがとう」
衛兵たちと軽く挨拶かわす。俺たちはその場を立ち去り、城門へと向かった。
城門へと続く通路を歩いていると、突然目の前に黒い影が現れた。よく見ると、ボディーチェックをしていた時の黒子だった。
とりあえず、俺は軽く挨拶をしようとした。だが、黒子は突然ダガーを抜き、俺に飛びかかってきた。
「マジかっ!」
俺は、すぐに後ろに飛んだ。その瞬間、隣にいたサヤが俺の前に出た。
黒子がダガーを振る瞬間、サヤは、ダガーを持つ手首をつかみ、そのまま投げ飛ばした。
「何だ、こいつは」
とりあえず、一難去ったかに思えた。
だが、投げ飛ばされた黒子は、軟体動物のように体を動かし、サヤの後ろに回り込んで首を抱え込むと、彼女の首にダガーを突き付けた。
「よこせ! 勇者の証を! さもなければ、この少女を殺す!」
「何者ですか!」
メイデンは、構えを取った。彼女は今、沈黙の像のせいで魔法が使えない。だが、ヒロ式が使えるので攻撃はできる状態だ。
「おい、黒子! お前、いったい何者だ!」
「よこせといったはずだ!」
サヤの首にダガーが当たる。
「マスター、本体がどこかにいます」サヤは、声を上げた。
「本体?」
俺は、周囲を確認した。