6(ひかり) スーパースターズ
というわけで、始まりました、ミニゲーム。
10分一クオーター一本勝負。
VS一年一組。
相手チームのキャプテン――我らが星野珠実さんと同じ中学出身でバスケ経験者だという道重幸子さん――曰く、優勝候補の一角。
それはそうでしょう。高校生女子のクラスマッチに霧咲さんと藤島さんの二人を同時投入なんて。下手なバスケ部だって蹴散らせそうじゃないですか。
当然のように、我らが一年二組は、押されっ放しです。
開始3分。スコアは4―12。8点のビハインド。分速4点のペースでシュートを決めてくる藤島さんが止まりません。
というか、なにゆえ藤島さんのマークが私なんですか。
「誰がマークしても変わらないからね」
とは星野さんの言。なるほど、と唸らせる説得力。要するに私は捨て駒ってことです。
一応、藤島さんにボールが回ったときは、近い人がディフェンスの援護に来てくれることになっているのですが、焼け石に水、象に蟻です。
「タイム!」
タイムアウトを取る星野さん。ちなみに、バレーのタイムアウトは30秒ですが、バスケでは1分あるそうです。
「とにかく、あの大きいのをどうにかしないと勝てない」
落ち着いてください、星野さん。あなた試合前にもまったく同じことを言ってましたよ。
「はい、たまみー!」
「なんだね、ミカミカ」
「私とひかりんのマークを交換しましょう!」
「ミカミカがあの大きいのをマークして、ひかりんがあの眼鏡女をマーク、か」
宇奈月さんのせいで『ひかりん』呼びがクラスに定着しつつあります。なんだかな、です。
「けど、いくらミカミカでも、あの大きいのは止められないんじゃないか?」
なお、我らが一年二組で最も身長が高いのは165センチの宇奈月さんです(次いで星野さんが161センチ)。147センチの私が言えたことではありませんが、たとえ宇奈月さんでも180センチ超の藤島さんの相手は厳しいでしょう。
「もちろん藤島っちがシュートモーションに入ったら無理だよ。でも、だから、そうさせなきゃいい」
にこにこっ、と宇奈月さんが笑みます。星野さんには伝わったのか、よし、と頷きます。
「あっ、それと、たまみー。ついでにポジションも交換していいかな。私がシューティングガード、ひかりんがポイントガード」
「ひかりんが良ければ」
「私は構いませんよ」
「オーケー。それじゃあ、今言った通りに変更! どうにかして追いつこう!!」
おー! と唱和。
さてさて。どうなることやら、です。
<バレーボール基礎知識>
・バレーのコートとネット
中学生以上の大会のバレーコートは、9×18メートルの長方形です。
その長方形を正方形二つに分けるように、ネットが立ちます。
なので、自軍コートは9×9メートルです。
この、自軍コートの正方形を囲むラインのうち、
ネットの真下に引かれた、自軍コートと敵軍コートを分けるラインを、センターライン。
ネットと直交するラインを、サイドライン。
ネットと平行するラインのうちセンターラインでないほうを、エンドライン、と言います。
また、自軍コートのうち、ネットから3メートル以内のエリアを、フロントゾーン。
それ以外の後方エリアを、バックゾーンと言います。
両ゾーンの境目には、ネットと平行に、アタックラインという線が引かれています。
その他、ネットの両端に、サイドラインの直上であることを示すアンテナという棒を、床と垂直に取り付けます。相手コートに返す際は、このアンテナとアンテナの間の空間を通さなければなりません。いわゆる『ポール回し』は、バレーボールでは反則になります。
ネットの高さは、
小学生:2.0メートル。
中学生男子:2.30メートル。
中学生女子:2.15メートル。
高校生〜一般(男子):2.43メートル。
高校生〜一般(女子):2.24メートル。
高校生の都道府県予選では、それぞれ2.40センチ(男子)、2.20センチ(女子)で行われることもあります。