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俺はリア充にはなれない  作者: 木偶乃坊
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高校生活において、入学してからの1ヵ月、2ヶ月はとても重要だ。

その期間にクラスでの仲良しグループやお調子者ポジション、いじられ役は大体決まってしまう。

後々のイベントでポジションが変わることはあるが、その期間でこれからの高校生活が決まるといっても過言ではない。

うちの高校は、1、2年はクラス替えはなく持ち越しで3年になるときにコース選択といった形でクラス替えが行われる。

よって最初がより大事なのだが、1年での、グループ作りから出遅れた俺は高校2年生の春、一人で昼食をとっている。

しかし、別にぼっちというわけではない。

「希嵐、一緒に飯食おうぜ!!」

そういいながらおれの前の席にどかっと座ったのは鳴海聖哉(なるみせいや)だ。

「あぁ、別にいーぜ。」

鳴海とは、小学校からの腐れ縁でよく絡んでくる。

リア充の鏡のような人間で、コミュ力が高く、背も高く顔もいい、成績優秀で運動神経抜群、信頼も厚く常に周りに人がいるような奴で、正直、小学校からの縁でなければ自分とは一生関わることがないような人間だ。

「今日はいつもの騒がしいやつらと食わなくていーのか?」

「ん?あぁ凜華たちのことか?あいつらはたしか先生に用事があるって職員室いってるよ。」

当然、鳴海のような完璧超人リア充が毎日一緒に俺と飯を食うわけではなく、いつものリア充グループがいないときにたまによってくるぐらいだ。

別に人と一緒に食べるのが好きという訳ではないが、こうやってたまに話ながら食うのは悪くない。いや、悪くないというより、相手がどんな話題でも面白くできる鳴海なので結構楽しくも感じる。

「あ、希嵐さー、あれ、お前の名前使わせてもらったから。」

「あれってなんだよ、きちんと主語をつけて話せよ。」

「俺さ、昨日女の子に告白されたんだよね。」

「いきなり話とびすぎだし、あと何気に自慢してくんなイケメン滅びろ。」

「それでさ、断ったんだけどなかなかしつこくてねぇ。あまりにしつこいから、俺には吉良希嵐という大事なやつがいるんでむりですってゆったの。」

「おい!フルネームで呼ぶな!!てかなにゆってんだお前!?」

「そしたらさ、その子が泣いて走っていって、その先に工藤先生がいたんだよね。」

「工藤先生って…おいお前、もしその子が昨日のその事言ってたら…!」

その時ピンポンパンポーンと、校内放送のチャイムがなった。

「えー、2年2組の鳴海聖哉と吉良希嵐、放課後、進路指導室まで来なさい。」

工藤先生の声の放送を聞き終えて鳴海のほうを見ると鳴海は舌をペロッとだして誤魔化すように笑っていた。

「おい、工藤先生だぞ。しかも、まさかの呼び出しだぞ。どーすんだ。」

「えー、いくしかなくね?」

笑いながら鳴海はいうが、これはなかなかキツイ。

工藤先生は俺らの担任で生徒の面倒見もよく、まだ20半ばぐらいのキレイな人ですごくいい人だ。

しかし、これはほとんどの生徒が気付いる事だが、あの人は腐女子である。

休み時間、男子生徒同士が楽しげに遊んでいるのを恍惚とした表情で見ているのがなんども目撃されている。

さらには、怪しいと思った生徒は進路指導室に呼び出され、できているのかいないのかをしつこく聞かれるらしい。

「まじで、めんどくせーことしやがって。なんか奢れよ。」

「え、なんで?」

「てめーが元凶なんだろうが!!」

楽しげに笑っている鳴海に少し呆れてしまう。

部活に入っていない俺にとっては放課後は、ラノベや漫画を読み漁れる最高の時間なのではやく解放してほしいのだが…。

「ま、呼ばれたからにはいくっきゃないでしょ。いかなきゃ駆け落ち!?とかあの人だと言いかねないぜ?」

「絶対に言うわ…。本気でやめてくれよ…。」

テンションただ下がりな所でチャイムがなった。

次の授業の5分前のチャイムだ。

「うげ、全然飯食えてねーわー。」

「なんでお前はそんなに軽いんだよ…。もう俺には午後を乗り切るための体力はねーよ。」

「やめて、吉良希嵐のライフはもうゼロよ!!ってやつか。」

「どーでもいーし、フルネームやめろ。」

「へいへーい、じゃあまた放課後なー。」

そういって鳴海は自分の席に帰っていった。

すでに鳴海は周りの席のやつらの話題に入っていってる。

…まじでなんなのあいつ。もう、本当に俺のライフ0だよ…。

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