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異世界で騎士をはじめました。  作者: ダージリン
第一章 異世界
13/26

目覚め。のち、吃驚仰天

遅くなりまして申し訳ないです。

そして文章短くて又も申し訳ないです。

こんな不定期更新ですが、読んでくださっている皆様本当に有難うございます。

これからも頑張りますのでよろしくお願いします。


 

「・・・ん」


 耳に届く微かな鳥の鳴き声。何処からか漏れる光。それらが鈴蘭を覚醒へと誘った。

 ――ふぁあー・・・朝?


 まだ完全に覚醒仕切らない彼女の視界はボヤけている。

 正直まだ眠い。温もりを手放したくない彼女は起き上がらず、ベッドの中でもぞりと身じろぐ。


 ――とんっ・・・


「・・・?」


 おでこに何か硬いものが当たった。

 何だろう・・・?


 眠気でぼーっとする頭で考えてみるが、それすら億劫に感じ、とりあえず触ってみた。

 触れてみると、それは暖かい。私はその温もりを求めてそっと暖かいそれに頬ずりをした。


 ――とくん、とくん・・・ 


 規則正しい音は私に安心とまどろみを与え、覚醒しかけた瞼を重くする。

 深い闇に沈みかけたその時、身体全身に振動が走った。


 私ではない。これは自分自身が揺れているのでなく、頬を伝って起こった振動。

 どうやら、私の頬に触れている何かが揺れているのだろう。


 そんなことをぼんやり考えていると、頭上から声がした。


「お前、大胆だな」


 笑いの混じった、テノールの声。すとんっと私の中に響くそれには聞き覚えがあった。と、それを認識した瞬間、私は深い闇から這い上がった。眠気は弾丸の如く飛び去り、訪れたのは体中の血液の逆流。


 サッと血が引いたかと思えば、今度は身体が燃えてしまうほどの熱をもつ。

 私は驚き過ぎて、パクパクと口を鯉の様に開閉していた。


 それを見ていた彼はまたクックッと喉を鳴らして笑う。そう、先程の振動はこれだったのだ。私が頬をすり寄せた正体。私に腕枕をして隣で寝ていた、

 ・・・上半身裸の変態、もとい殿下。


「うぎゃあああああああああ――――っ!!?変態がいるぅ―――っ」


 やっと出た声は寝起きの所為か掠れていた。私は叫ぶと共に跳ね起き、ベッドから飛び降りる。肩を怒らせ、フーフーっと鼻息荒く呼吸する私を見て、またもや殿下が笑いだす。


「っくくく・・・可愛いな」


 唐突に言われた言葉に私は顔中、いや、全身真っ赤に火照った。目を細めて言う彼の声音は何処までも優しく、甘く、色気むんむんだったのだ。


 黙れっ!異性に耐性の無い私に色気を振りまくなっ!そんなもの振りまいたところで何も返ってこないぞっ!!


「う、う、うるさいっ! 変態っ 何であんたが一緒に寝てんのっ!!」


 吃りながらも何とか振り絞って出た声に少しホッとした。私の問いに、上半身を起こした殿下は小さく欠伸をし、前髪を掻き上げる。

 そんなちょっとした仕草でさえ絵になる。私は舌打ちしたい衝動に駆られた。当然、内心では心置きなくしていたが。何よりこんな変態に少しでも魅入ってしまったのが悔やまれる。


 そんな私の心の葛藤に水を差すように、殿下は淡々とした口調で答えた。


「何でと言われても、これは俺のベッドだ。寝ていて当たり前だろ」


 何だ、それは。私が求めている答えと違う。

 少し冷静を取り戻し始めた私は、さも当然のように言い切る彼を睨んだ。


「誰のベッドかを聞いたんじゃない。何故私がアンタと一緒・・に寝ていたのか、その理由を聞きたいの」


 そう、この際誰の寝床なのかはどうでもいい。私が知りたいのは一緒に寝ていたという点だけだ。


「何だ、覚えてないのか?」


 殿下は少し目を見開いて私に問うた。

 私はというと、眉間に皺を寄せて、少し寝癖の付いた頭を傾げる殿下を凝視している。


 昨日、一体何が起きた?


 私は朝一番、回転しづらい脳みそを洗濯機の如く掻き回し、記憶を探った。

 


 

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