表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/48

爛れた皮膚


 燃えろ、燃えろ。全部燃えろ。

 焼き尽くせ。何もかも。


 大きな炎は怖い。

 だけど、火は綺麗だ。

 全て焼き尽くせば、きっと何も残らない。

 

 醜い私は残らない。

「兄さん……」

 私、綺麗になったでしょ?

 真っ赤なの。

 あかあかと燃える赤毛。

 真っ赤な瞳。

 兄さん好みの綺麗な赤。

 綺麗でしょ?

 

 兄さんの愛したあの女はあっけなく死んでしまった。

 亡骸は家に保管されてたっけ。

 でも兄さんももう興味を示さなくなったし、私の魔力を注ぐ必要も無くなった。

 

 燃えてしまえ。

 全部。

 服も髪も皮膚も内臓も何もかも。

 この家と一緒に。


「兄さんは私の兄さんだもの。あんたなんかに渡さない」


 兄さんについてこんな田舎に来てしまったけど、私にこんな田舎は似合わない。

 田舎臭い女は燃えている。

 焼けて美味しそうな香ばしい匂いをさせている。

 ただ、頭髪だけが異臭を発する。

 この匂いは嫌い。

 

 ねぇ、兄さん。

 私もムゲットに行くわ。

 とびっきり派手に着飾って、誰もが私を見ずにはいられないように。

 それでね、兄さん。

 私は国中に名を轟かすの。

 兄さんみたいに。

 真っ赤に染まった死神に、きっと私もなって見せるわ。

 兄さん。

 ほら、赤いドレスが似合うでしょう?

 ねぇ、私。

 綺麗でしょ?


 今、そっちに行くわ。

 だから、ちゃんと見つけてね?

 夜の闇の中でも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ