爛れた皮膚
燃えろ、燃えろ。全部燃えろ。
焼き尽くせ。何もかも。
大きな炎は怖い。
だけど、火は綺麗だ。
全て焼き尽くせば、きっと何も残らない。
醜い私は残らない。
「兄さん……」
私、綺麗になったでしょ?
真っ赤なの。
あかあかと燃える赤毛。
真っ赤な瞳。
兄さん好みの綺麗な赤。
綺麗でしょ?
兄さんの愛したあの女はあっけなく死んでしまった。
亡骸は家に保管されてたっけ。
でも兄さんももう興味を示さなくなったし、私の魔力を注ぐ必要も無くなった。
燃えてしまえ。
全部。
服も髪も皮膚も内臓も何もかも。
この家と一緒に。
「兄さんは私の兄さんだもの。あんたなんかに渡さない」
兄さんについてこんな田舎に来てしまったけど、私にこんな田舎は似合わない。
田舎臭い女は燃えている。
焼けて美味しそうな香ばしい匂いをさせている。
ただ、頭髪だけが異臭を発する。
この匂いは嫌い。
ねぇ、兄さん。
私もムゲットに行くわ。
とびっきり派手に着飾って、誰もが私を見ずにはいられないように。
それでね、兄さん。
私は国中に名を轟かすの。
兄さんみたいに。
真っ赤に染まった死神に、きっと私もなって見せるわ。
兄さん。
ほら、赤いドレスが似合うでしょう?
ねぇ、私。
綺麗でしょ?
今、そっちに行くわ。
だから、ちゃんと見つけてね?
夜の闇の中でも。