↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

本当に”勢い”な短編

夜空に煌めく星よ、この星の空まで導いて

作者: 和琴
掲載日:2026/09/09

私は目を開ける。 周囲はもう夜方、冷えた風が吹き付ける山脈の峰。


暗闇の中、下から近付く、不思議な光の反射を覗くと、綿毛のように浮く、空より軽い鉱石の波がはっきりと見える。 


地上に広がる星空を眺め、私は微笑んだ。

ついこの間まで、ここでは大雨が降っていた。じめじめとした足音が星たちに近付く私の足元から響いた。

意識するだけで、空腹が腹の肉を引き裂くような感覚を覚えた。

もう三日間、まともなものは何も食べていなかった。すばしっこい灰色の動物を、口にしたぐらいだった。

決死の思いで降りようとした道は、土砂が崩れて降りれず、ただ奇跡的に誰かが来るのを待ち望んでは、もう居られなかった。

軽い気持ちで、親に黙って山を昇ることが、これだけの孤独と苦しみを、私に与えてくるなんて思わなかった。

それでも私がほほ笑んだのには、理由があった。


それは、空飛ぶ鉱石の童話だ。

その鉱石の群れに乗って、空に進んでいく少女が、宝物を見つける。そして、魔法で地上に帰還する。 そんな童話。


自分では、どうしていいか分からなくて、そんな童話でも、命をかけてみようと思った。地面で丸まりながら、そんなことを考えていたら、星たちは斜面を登って、私の目の前に近付いてきていた。


一瞬逃げようと思い、振り返り走ったけれど、親からつけてもらった大切なリュックが鉱石に引っかかり、地上が、1人、2人分…もう着地出来ないぐらいに遠く離れて行って、怖くて目を閉じた。


しばらく目を閉じていると、体が上がっていく感覚がなくなって…目を開けるとそこには大きな岩たちが、ふわふわと浮いていた。


リュックにそのまま引っ掛かっているのも怖かったので、真下に来た瞬間に、体をゆすると、星たちが割れて、私は白い霧の中、大岩の上に落ちた。

その上にあった、草の実の様なものをがつがつと食べると、すぐに体が動かなくなって、眠くなってきた。

周りを見渡しても、魔法使いもいなくて、ただ薄暗い空間に沢山の光があるだけ。

魔法なんてなかった、でもお腹の痛みは、少し引いていた。それでよかった。


”寝る子は育つ”


そんな母の言葉を思い出しながら体の力を抜いた。

「来世はいい子にそだつから、許してね。お母さん」


手足がしびれて、もう尾っぽすら重くて動かない。 


…暫くして目を覚ました。夢だったのか、私は地面の上で眠っていた。

死んだと思ったのに。ふと見慣れた赤レンガの家が目に入る。


窓に飛び乗って入ると、お母さんが泣いていたので、舌で舐めた。

驚いたように見たお母さんに、一言鳴きかける。「にゃーん」(ただいま)って。 

乾いた入れ物に水が注がれ、鉄の食べ物入れにカラカラと食事が注がれたのを見て、家の中のカーペットにゆっくり飛び降りた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。