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ラストバトル  作者:
1/6

ラストバトルー1

全てを呪い滅する存在。

そのために一度壊れかけた世界。

一人の聖女が救ったその世界に、今また危機が訪れていた。

そして今、災厄の原因たる魔の存在に挑む者たちがいた・・・。

「さあ、行こうか」

最終決戦を前に、緊張の欠片も見せる事なく、彼女はゆるい口調で微笑んだ。

気を抜かれた仲間たちが、つられて笑顔で口々に同意を示す。

血の気の多い男が意気込んで歩きだし、皆もそれに続く。

嬉しそうに続こうとした彼女の腕を、俺は意識せずに掴み、引き止めてしまっていた。

ん、と振り返る彼女の顔を見て、内心、ひどく慌てる。

表には全く現さずに、俺は自然に(極力そう見えるように)、口を開いていた。

「約束しろ」

まっすぐに彼女の大きく、透き通った瞳を見つめて、低く告げる。

何を、と言いたげな彼女に、口を挟む隙をあたえず、俺は続けた。

「生きて帰れたら、俺と結婚」

呆気にとられた表情の彼女。

しまった、結婚って飛ばしすぎか。

さらに焦るが、やはり顔には出さない。

しかし彼女は笑った。

花のような笑みだった。

「わかった、結婚式は盛大にね」

そして可笑しそうに噴出した。

「約束だぞ」

予想外にあっけなく通ってしまった勢いの告白に、思わず念を押す俺。

笑いながら彼女は、俺を促し歩き出す。

「うん、約束」

楽しそうな彼女の横顔を目に

「老後は縁側でお茶な」

と俺は付け足す。

「あははは、それ採用!!」

笑いすぎて涙を浮かべる彼女と俺に、先に行った仲間たちから声が飛ぶ。

「何してんだ、早く来いよ」

呆れたような声音に、顔を見合わせ二人で笑い、揃って駆け出した。

彼女の腰で、剣が鳴る。

全力でそれを振るう時は、もう間もなくだった。



生きて帰れたら、結婚。

しかし例え生きて帰れたとして、彼女がそう長くない事を、既に俺は知っていた。

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