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古代兵器

轟音と共に空が割れた。爆煙の中、次々と撃ち落される軍用ヘリコプター。混乱と焦燥が兵士たちの顔に色濃く浮かぶ。彼らの動揺を振り払うように、司令官が荒々しい声を張り上げた。


「狼狽えるな!奴らだって、そう簡単に攻撃できるわけがない!」


司令官の声が辺りに響き渡る。


「ここには――遺産の秘密があるんだ!」


その言葉を聞いたリオンの胸がざわめく。


「遺産の秘密……?」

「しかし!」


一人の兵士が口を開く。


「共和国は例の技術を闇に葬ろうと――」

「黙れ!」


司令官が鋭い声で遮る。


「それは国としての建前だ!今は秘密の奪取が最優先だ、ついてこい!」

「ハッ!」


兵士たちが声を揃え、司令官の指示に従う。彼らは爆風を避けるように身を屈め、校舎へと向かっていった。


その時だった。


爆煙の向こうから誰かが呼んでいる気がした。柔らかく、それでいて確かに響く少女の声。


「……ついて来て」


リオンは目を見開いた。幻覚か、あるいは夢か。しかしその声は現実感を伴い、心の奥底に直接響いていた。


「どうしたの、リオン!」隣にいたカミラが腕を掴む。


「行っちゃだめ!危険だよ!」


リオンは振り返らずに答える。


「彼女が……呼んでいるんだ」


頭の中で響き続ける声。その声の主が思い浮かんだ――天使のような、長い金髪と澄んだ青い瞳を持つ少女の姿。


「おい、お前、止まれ!」兵士がリオンに気づき、声を張り上げた。しかし、リオンの足は止まらない。


「くそっ、子供は撃ちたくないんだが……」


兵士が銃を構えるが、ためらっている。


その瞬間、空を切り裂くような音と共に真紅の戦闘機が現れた。鋭い軌道を描いて飛び込むと、軍用ヘリコプターを次々に撃ち落としていく。そのうちの一機が制御を失い、リオンの前方に墜落した。


「くそっ、応援はどうなっている!?」


兵士の苛立つ声が上がる中、ユリウスはコックピットの中でその鋭い目つきを微笑ませる。


「勝敗が見えて来たな」


校舎の中、リオンは声に導かれるまま進んでいた。

銃声と爆音が遠ざかり、暗い廊下を抜けると――隠された通路が姿を現した。


「ここは……?」


通路の先には広い空間が広がっていた。冷たい光が床や壁を照らし出し、研究施設のような雰囲気を漂わせている。中央に鎮座していたのは、円盤型の機械だった。


「これに乗って、戦うのよ」頭の中に再び響く声。


「どうして俺が……」リオンはつぶやく。


「それは――あなたが決めること」


その言葉と同時に、外から銃声が一層激しくなった。争いがエスカレートしているのは明らかだった。


「俺に止める力があるなら……!」


リオンは決意を固め、円盤型の機械のコックピットに飛び乗った。

機械が唸りを上げ、液晶画面が明るく点灯する。その画面に映し出されたのは――ハーケンクロイツ。


「……これが、秘密!?」リオンの顔が苦悶に歪む。「戦争は終わったんだ。なんでこんなもののために……!」


円盤は徐々に動き始め、校舎の壁を突き破り外へと飛び出していく。その姿を見た連合軍の指揮官が驚きの声を上げた。


「あれは……間違いない、ヴィマナだ」

「ヴィマナ?」


兵士が聞き返す。


「ああ、かつてナチスが戦争を逆転させるために開発したとされる古代兵器だ」


円盤・ヴィマナは空高く浮かび上がり、赤い戦闘機がその姿を捉えた。コックピットの中でユリウスが低くつぶやく。


「古代の超科学……黙示録のラッパが鳴らされたか」


ヴィマナの重力に圧されながらも、リオンは必死に操縦桿を握りしめていた。外の景色を見据えると、真紅の戦闘機が接近してくる。


「俺たちの平穏を脅かす奴は――みんな敵だ!」


叫びと共にヴィマナが唸りを上げる。その戦いは、やがて世界の運命を大きく揺るがすことになるのだった。


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