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9.緊急依頼④

 想定より4階層のモンスターのレベルが高かったため、当初の予定と多少の変更があった。


 5階層に向かうのはBランクのリートとCランクの黒鉄のキズナ4人とDランクの荷物持ち2人。


 4階層に残り、マッピングとモンスター討伐を行うのがCランク3人と残りのDランクとなった。


 1人でゴブリンの小集団を倒してことで実力を認めてもらえたが、残りの魔力を心配され4階層に残ることになった。


(まだまだ余裕と言ったんだけど……)


 リートさんからは耳元でボソッと

「シャーマンに対して氷魔法使ってたな?まさかデュオだったとは……。ハイブリットの習得も時間の問題か―」

 と言われた。




 4階に残ったおれは、ハイブリット魔法を習得するため、ワイルドボアやコボルドを練習相手に討伐しまくる。


 リートがしていた水と風のハイブリットだけじゃなく、氷と風、水と氷も試したがどれも成功はしなかった。


 ただ、風を交えた魔法の方が成功しそうな感覚があった。


 ハイブリッド魔法は思うようにいかないが、4階層で倒したモンスターの数はすごいことになっていた。

 なんと全体の半分をおれの魔法だけで倒していた。



 あれからゴブリンシャーマンのような強敵は出現しなかったものの凄まじい戦果をあげた結果、4階層のリーダー的な扱いを受けることになった。




 4階層のマッピングが終わるころ、かすかだが声が聞こえた気がした。

 他の人に聞いても、モンスターの鳴き声ではといった反応だ。



 謎の声が気にはなったが、予定通り5階層のメンバーとの合流地点に向かうことになった。

 合流後は地上に向かい、街に戻ることになっている。



 合流地点の階段付近に近づくにつれ、やはり何かの声が聞こえてきた。


「に……ろ。……だ」


 今度は他の冒険者たちにも聞こえたようだ。


「合流地点に急ごう」


 階段に到着すると、サンビの声がはっきり聞こえた。


「ミノタウロスがでた。おれたちじゃ勝てない。逃げろ!!!!」


 仲間の一人がボソッと呟く

「ミノタウロスはBランクモンスターだったよな……。早く逃げないとおれたちじゃ何も……」


 冒険者たちの緊張感が一気に高まる。


「おれは5階層を見てくる。他のみんなは地上助けを呼びに行ってほしい。ギルマスのモラードならどうにか連絡を取れば……。迷ってる時間は無い。早くっ」


「いくらアルスでもミノタウロスは……」


「それでもこのまま5階層の奴らを見殺しにはできない。Bランクのリートさんもいるから何もできないってことはないはず。そっちは任せたぞ」


 おれは階段を駆け下り5階層へ向かった。



 階段の下には、黒鉄のキズナが丁度逃げてきたところだった。


「おい、早く逃げろって。聞こえてなかったのか」

  リーダーであるサンビは血だらけで、その肩には意識のない仲間が担がれていた。

 他二人も足を引きずりながら走っている。


「あぁ、ちゃんと聞こえたぞ。他の仲間は指示通りに地上に向かった。お前たちこそ大丈夫なのか?」


「無事とは言えないな。おれは右腕が動かねぇ。多分折れてる。他の奴もミノタウロスの攻撃を受けて……。お前も早く上に逃げるぞ」


 このままサンビたちと逃げようと思ったが、リートが見当たらないことに気づいた。


「リートさんは一緒じゃなかったのか?」


「あの人はおれたちを逃がすために、ミノタウロスの気を引いて5階層の奥へ…」


「じゃあ、今ミノタウロスと一人で戦ってるのか」


「時間を稼いだら、うまいこと逃げると言っていたが……どうだろうな。おれたちはミノタウロスに対して何も出来なかった。動きもパワーも今まで戦ってきた敵とは比べらんねえ。おまけに持ってる両刃斧は炎をまとっていた」


(そんな相手とリートさんは渡り合えるのか……)


「おい、早く行くぞ」


「おれは……リートさんを見てくる」


 助けに行くことを決意し、5階層の奥に向かった。


「あ、おい――」




しばらく走り続けると重低音な声が奥の通路から聞こえた。


「こっちか」


 通路の先は広い空間になっており、体長約3mのミノタウロスと対峙しているリートがいた。


「よかった。生きてた……」


 全身ボロボロになりながらもミノタウロス相手に時間を稼ぎ、何とか生きている。


 ミノタウロスはおれにはまだ気づいておらず、ボロボロのリートに追撃する。


 リートは、水防膜を発動し防ごうとするが、ミノタウロスの攻撃を受けきれず、近くの壁まで吹き飛んだ。


 急いで駆け寄り、リートの身体を起こす。


「リートさん、右腕が……」



「……アルスか。何で来たんだ早く逃げろ。これ以上俺は耐えられそうにない……」


 そのままリートは意識を失った。



 出血の多い右腕を氷魔法で止血し、持っていた回復ポーションをリートの全身にかける。



 ミノタウロスはリートを治療してることに気付いたようで、とどめを刺しに突っ込んできた。


 おれはミノタウロスに向け、氷球(アイスボール)を放ち、こちらに注意を向けさせる。



 覚悟を胸に秘め、おれはミノタウロスと対峙した。


更新が遅くなってしまいました。すみません。

先日もブックマークしてくれた方がいまして、とてもありがたかったです。

私の自己肯定感を爆上げさせてください。お願いします。


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