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8.緊急依頼③

 緊急依頼二日目

 朝は周り準備する音で目が覚めた。

 昨日は遅くまでハイブリッド魔法の練習をしていたせいか少し身体に疲れが残っている。



 準備された簡単な朝食をもらい食べ終わると、集合がかかった。


「今日は4~5階のモンスターを討伐する。3階までのマッピングはできてるから、それを頼りに潜る。モンスターパレードはなかったものの、通常のダンジョンよりモンスターの数が多いから囲まれないように気を付けてくれ。昨日の夜の見張りからもモンスターが出てこなかったと聞いた。おそらく今日で依頼は終わりと思う」


 依頼の終わりが近いことを知り、眠そうにしていた冒険者たちの間にもピリッとした雰囲気が漂う。


 緊急依頼は報酬が高額ではあるが、倒したモンスターや魔石等も追加の報酬に含まれるためだ。




 今日はリートさんが話を通してくれていたのだろうか、モンスター討伐のグループにすんなり入れた。


 3階まではDランクを中心にモンスターを討伐しながら進行した。

 主力たちは温存だ。


 途中ボアやゴブリン、ゴブリンファイター等もでてきたが、他の冒険者が奪い合うように倒してしまった。

 一応魔法が使えることも話したが、なおさら魔力をとっとけと言われた。



 4階に下る階段の前で小休憩となった。

 ここからはマップがない。

 この4階層まではDランクがメインで進行する予定だ。


 休憩中リートとサンビがやってきた。

「リートさん昨日はありがとうございました。えっと――何かありましたか?」


 ばつの悪そうな顔をしたサンビが話しかけてきた。

「サンビだ。リートさんからお前が魔法を使えると聞いてきたんだが……。おそらく次の階からはモンスターが増える。リートさんの魔力温存するためにも次の階から魔法でモンスターを倒してもらいたい」


 少し嫌味を交えて答える。

「分かった。おれも「Dランク」として経験をつんでおきたいので、全然かまわないですよ」


「なら、それで」

 サンビは一言答えると、逃げるように元の場所に戻っていった。


「あんまりいじめてやるなよ」

 リートはニヤリ笑った。



 小休憩が終わり、討伐が再開された。

 今度は前衛の剣士のすぐ後ろの魔法がすぐに放てる位置に配置された。


 4階層に下りると、すぐにワイルドボア4匹が襲い掛かってきた。

 ボアよりサイズが大きく、鋭くとがった牙に触れると、軽症では済まなそうだ。


 正面から突進してきた2匹は水弾(ウォーターバレット)で足を攻撃し、機動力を奪う。


「正面のとどめと、左の1匹は任せる」


 残りの1匹には、水と風のハイブリット魔法の練習相手になってもらう。

 前の2匹と同様に機動力を奪い、狙いやすくする。


 昨晩のリートさんの魔法を思い出しながらイメージする。

 水弾に風を纏わせて……加速させる。


 魔法はワイルドボアに当たるも貫通せず、弾かれる。


 慌てて普通の水球(ウォーターボール)でとどめを刺す。


(違うな。速度はあがってるが、威力が足りない……。水弾に風魔法を纏わせることはできてるが、何か足りてないのか?)



 ワイルドボアの討伐後休む暇もなく、次のモンスターが現れた。


「次、来たぞ。ゴブリンが数体。ファイターにアーチャー、シャーマンもいるぞ」

 前衛の剣士が叫ぶ。


 次の瞬間、ゴブリンシャーマンの火弾(ファイヤーバレット)が飛んでくる。


 俺は反射的に水防膜(ウォーターフィルム)を発動し防げたが、前衛の何人か被弾してダメージを負った。


「おい、大丈夫か。こっちで引き付けるから、今のうちに体制を立て直せ」


 そう叫び、ゴブリンの群れに向かって、水球(ウォーターボール)を連発する。


 勢いよく放たれた魔法は、前の方にいたゴブリン達の頭部を貫き、一瞬で命を奪う。

 

 残りはゴブリンシャーマンだけになった。


 ゴブリンシャーマンは仲間を殺された腹いせか、おれ目掛けて火球(ファイヤーバレット)を放ってきた。


「ぐっ……」


 避けきれず水防膜で受けるが、完全にダメージを打ち消すことはできず、衝撃が身体を襲う。


 それを好機と見たか、ゴブリンシャーマンは再度火球を放つ。


(避けられない。――なら受けきるしかない)


 とっさに氷魔法を正面に広げて放ち、氷の盾を形成する。


 ドンッ。


 大きな音を立て二つの魔法が衝突するが、氷盾(アイスシールド)の防御力が勝った。



 必殺の魔法を防がれ、逃げ出すゴブリンシャーマン。


 慌てず後ろから水弾で急所を貫いた。



 戦闘が終わり、後ろを振り返ると火弾を食らった人も軽症で済んだようで、処置も終わっていた。


「助かったよ。アルスは強いな。ゴブリンシャーマンをソロで討伐するなんて実力はCランク並みだな」


「無我夢中で……とっさに防げてよかったよ」



 実際おれにとってもそんなに楽な戦いではなかった。

 水魔法だけでは押し切られていた。

 これより強い敵が出てきたとき、今の魔法じゃ……。


 頭の中はなかなか成功しないハイブリット魔法いっぱいだった。



 その後は先ほどの戦闘がいい刺激になったのか、何度も戦闘になるも、危なげなく5階層へと続く階段を見つけた。




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