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6.緊急依頼①

 集合場所にたどり着くと、ちょうど出発するところだった。


 先頭の方を見てみると、レクチェのそばに数人の冒険者がいる。


(あれがBランク冒険者とCランクパーティ黒鉄のキズナか)


 移動が始まると黒鉄のキズナの一人はレクチェをデートに誘っているようだった。

 レクチェはその誘いを上手にかわしつつ、笑顔で対応している。


(あのかわいい顔と整っているスタイルでモテないほうがおかしいか)

 なんてことを考えながらおれも集団についていく。


 移動が始まると、特にやることもないのでこそこそと参加者のステータスを鑑定していった。


 今回の緊急依頼の参加者は約40名。


 バレルの街のダンジョンは下級レベルのため、上級ランクの冒険者は多くはない。


 常駐している最高ランクがCランクパーティらしい。


 今回はたまたまバレル子爵の依頼でBランク冒険者が街にいて、協力を要請したそうだ。


 参加者の中で頭一つ抜けていたのはやはりBランクの冒険者だった。

 少し年配な気もするが、そのぶん経験があるということだろう。


ステータス

名前 リート

スキル 

魔法(水C/B 風C/C)

教育 C/C


(魔法(水C 風C)のデュオか……魔法を使っているところを見たいな。参考になるかもしれない)



 黒鉄のキズナは4人パーティで剣士が多く集まっていた。

 リーダーの名前はサンビ。スキルは長剣C、信望D。

 信望は人から信頼されやすくなるスキルのようだ。


 他のメンバーも長剣C、短剣C、大盾Cのスキルを持っており近接系が揃っている。

 メンバーの年齢も若く、伸び盛りのパーティのようだ。


 他はスキル構成から考えるに黒鉄のキズナ以外のCランクが3-4人、Dランクが大半で、Eランク冒険者が数人のようだ。


 新ダンジョンの難易度も分からず、このメンバーで行くのは不安が大きい。

 ただ、一刻を争う状況で他に戦える冒険者もいない。

 モラードさんとしても苦渋の決断だったに違いない。


鑑定をして回っていると、時間があっという間に過ぎ、新ダンジョンに到着した。


 ダンジョンのすぐ外には、ゴブリンやボア、角の生えた大きめの兎 アルミラージが数体いた。


 少し離れた場所で集まり、持ってきた物資類をギルド職員に渡す。


 黒鉄のキズナのリーダーサンビが張り切って集団の前に出てきて指示を出し始めた。

「今からダンジョンに入る。Cランク、Dランクでダンジョン入り口付近のモンスターを討伐してくれ。ある程度数が減ったら、おれたち主力とCランクがダンジョンの中を進んでいく。Dランクはダンジョン1-2階のモンスター討伐。Eランクはレクチェさんの指示に従って、テントや補給物資の整理から始めてくれ」



 みんなが準備を始め、各々武器や防具の装備を装備し、ダンジョンの前に集まっている。


 おれもその集団に混ざり、討伐開始の合図を待っているとサンビが近づいてきた。


「おい、お前。聞いてなかったのか?Eランクはこっちじゃねーぞ。あっちで道具の整理だ」


「一応Dランクなんだが、討伐に参加したらダメか?」


 サンビはいら立ちを隠さず、まくしたてる。

「嘘つくなよ。お前昨日ギルドで登録してた初心者君だろ。剣もなし、防具もなしでどう戦うんだよ。さっさとあっちで手伝いしてこい」


 サンビの騒ぎ始めた様子に周りもざわつき始めた。

 どうしたんだとリートもやってきた。


「どうした。なんかトラブルか?」


「いや、大丈夫だ」 

 おれはそう返事をし、道具の整理に向かった。

(実際Dランクではあるものの装備なしの初心者なのは間違いでもないから仕方ないか)




 サンビの合図でモンスターの討伐が始まった。


 ダンジョン外のモンスターはすぐに倒され、ダンジョン内部に進行していく。


「おーい。こいつらの処理も頼む。ボアは夕飯にしておいてくれ」


 道具整理が終わった後のEランク冒険者の仕事はモンスターの解体、魔石の取り出しだ。


 見よう見まねでやってみるが魔石の位置がわからない。

 おまけに太い血管を傷つけてしまい、血を浴びる。


 さっき光景を見ていたレクチェがにやにやしながら近づいてきた。

「あーあ、アルス君やっちゃったね。せっかくだし、解体のコツを教えてあげる」


「いいのか? 助かるよ」


「いいのいいの。メープルからも頼まれてたんだ」


 レクチェの指導は、分かりやすかった。

 食べられるモンスターは素早く血抜きをして洗い、内臓を取り出す。

 この処理をしとけば、鮮度が落ちにくくなる。


 魔石は基本身体の中心部にあるから、そのあたりを押さえてみて、見つけるそうだ。


 何体か解体をしているうちに、コツをつかみ、徐々にだができるようになっていった。




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