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47.追跡

 おれたちは20階層のウルフを倒した後、地上に戻った。

 王都のダンジョンはボスのフロアの次の階層に特殊なアイテムが設置してあり一瞬で地上に帰還できる。


 到達した階層がギルドカードに記録されており、自分が到達した階層から探索を再開できる。

 大銀貨1枚を払う必要はあるもののダンジョンで野営をしなくてもいい、これが王都のダンジョンが人気の理由だ。




 宿に戻ると先に戻っていたメープルが出迎えてくれた。

「お疲れ様です。ダンジョンはどうでしたか?」


「今日は20階層まで行ってきたよ。まだ浅い階層だったから、宝珠も一つだけだな」


「わたしのほうも魔法の指導書見つけはしたのですが、どれも高価なわりにあまり詳しいことは書いてなさそうでした」


「ちなみにいくらだったんだ?」


「あったのは火、水でそれぞれ金貨3枚です」


「そうか」

 おれが気落ちしているとレクチェが会話に入って来た。


「本は高いから仕方ないね。魔法も師匠から教わるのが普通だから……アルス君も魔法大学とかで勉強してみたいの?」


「魔法に詳しくなりたいし、興味はあるな。ただ今すぐにというわけじゃない。魔法大学はゆくゆく考えるよ」



 ◆◆◆◆


 次の日もおれたちはダンジョンに向かった。


 今回はおれもレクチェも手加減なしにガンガン進んでいく。

 20階層より先からは上層に比べてモンスターのランクも上がり、出現する数も増えていくが、問題はない。


 敵が出てきても足を止めないラン&ガンスタイルでどんどん奥まで進む。

 ベルも何とかそのスピードについてくる。



 40階層のボスであるオーガも一蹴し、41階層の転送装置の前にいる。

 ここから先はベルのレベルでは危険だと考え、戻ることにした。


 おれのアイテム袋はモンスターの素材と、ドロップでパンパンになっている。

 小さめの宝珠も十分な数がドロップしており、依頼を受けたモンスターの素材もすべて集め終わっている。



 ギルドに戻って、依頼の報告と素材の売却を行った。


 依頼とモンスターの素材を売ると金貨15枚ほど稼げたのでメープルを含めたみんなで湧けようかと話しながら宿に戻っているときだった。


「レクチェ」


「うん。分かってる。つけられているよね」

 レクチェは険しい表情をしながら小声で答える。


 いつから後をつけられたのか?

 昨日はベルのサポート、今日はダンジョン探索に夢中になっていたため周囲への警戒が甘かったようだ。


 こちらが気付いたと相手に感づかれないように気を付けつつ、レクチェと話を続ける。


「何人いる?」


「右後ろの建物の陰に一人。あとは……人通りが多くて気配が掴めないなぁ」


「すぐに攻撃してくる感じではなさそうだけど……このまま宿に連れていくわけにもいかないよな」


「人通りのないとこまで行って、捕まえる?」


「ベルもいるからあんまり危険なことは……。ただ、他に方法もないよな……」


 あまり良い策ではないが、おれたちは道を変更し、人気の少ない方に向かって移動し始めた。

 途中ベルが宿から遠ざかっていることを不思議がっていたが、おれとレクチェの表情を見て、察したようだ。


 おれは移動しながら周囲に電波探知(ソナー)を放ち人数と配置を確認する。

「レクチェ、ベル三人だ。右後方に一人。前方の建物の陰に一人。左の屋内に一人。そこの開けた場所で迎え撃つぞ」


 二人とも了解と頷き、指定した場所まで移動する。


 互いに背中合わせの態勢で身構え大声をあげる。


「かくれんぼはここまでにしようか。用があるなら出てこい」


 隠れている三人に動きはない。


「こっちは場所も把握できてる。姿を見せたらどうだ」


 左後方、ベルの正面の男が動く。


 ベルに向かって何かを投擲する。

 それにいち早く気付いたおれは、防御魔法を発動する。


水風膜(アクアベール)


 水の層と風の層を交互に重ねた水防膜の応用魔法で全員を囲む。


 しかし敵の投げた物体は防御魔法の手前で地面に落ち、大量の煙を出し始めた。


 煙で視覚が遮られている中、電波探知(ソナー)で位置を把握しようとするが、見つからない。

 逃げられてしまったようだ。


「二人ともけがは無いか?」


「大丈夫です」「大丈夫よ」


 二人ともけがは無いようで安心する。


「メープルが心配だ。急いで宿に戻ろう」


 おれたちは慌てて宿に戻ると、メープルは何も危害を加えられておらず無事だった。


 メープルに事情を話し、そのまま今後の話になった。


「誰がおれたちを狙っているんだ?」


「このタイミングなら、プヤットじゃない? 魔白金を狙っているか、断られた憂さ晴らしか」


「それ以外考えられないよな……。魔白金をスミスに預けているがあっちは大丈夫だろうか」


「それは心配いらないよ。あの店の顧客はAランク冒険者とかの有名な人が多いから、下手に手を出したら後で捕まるだろうし」


「ならあそこが一番安全かもな。ただ、そこに隠れてるわけにもいかないし……」


「そうだね。もういっそのことバレルに戻る? アルス君の魔法なら、建物の多い王都より、塀の外の平原の方が周囲がひらけていて迎え撃ちやすいし」


「それもありだな。メープルとベルはどう思う?」


「私は先生の決定に従います」


「わたしもおんなじです。王都でしないといけないことはもう済みましたし、スミスさんのところに残りの材料とお金を渡したあとなら帰るのもいいと思います」


 二人とも帰ることに異論はないようだ。


「なら、明日の朝スミスさんのところに行った後、帰るプランで行こう。今日中に準備を済ませて明日すぐ出れるようにしておいてくれ」


 おれたちは準備を済ませ、早めに眠った。


 念のため、おれとレクチェは交互に睡眠をとり、襲撃に備えていたが何も起こらず朝を迎えた。


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