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44.副ギルドマスター

 魔白金すり替え騒動から2日間が経過した。

 結局中央ギルドから見つかったという連絡はなく、プヤットが帰ってくる日を迎えた。



「アルス君、プヤットとはまずあたしたちが話すから、その間にプヤットを鑑定してみて。スキルを把握しておいた方がいいかも」


「ベルちゃんは宿に残っておいた方がいいかもですね。あんなことしてくる人に目をつけられたら……」


 おれたちはギルドに行く前に打ち合わせをし、ベルは宿で留守番ということになった。




 中央ギルドに到着し、要件を伝えるとすぐに個室に通された。

 すぐに身なりの整った男性が入ってくる。


「君がアルスか。そちらの二人は?」


「あたしたちはアルス君の専属とその補佐よ。あなたこそまずは名乗ったらどうなの」


「これは失礼。私のことを知らない田舎者が来るとは思ってなかったよ。(サブ)マスターのプヤットだ。バレルの田舎者は目上の人に敬語を使うように指導をしていないのか?」


 レクチェがプヤットの気を引いているうちに鑑定をする。


 ステータス

 名前 プヤット 

 スキル 

 政治       B/B

 アイテムボックス C/C

 ?? 


(見れないスキルがあるな……)



「それでプヤット様は今回の件はどう説明なさるおつもりですか?」

 メープルも話に加わってくる。


「私が魔白金欲しさにすり替えを行ったと? そんなことするはずないじゃないか」


「なら魔白金はどちらに?」


「これだろ?」

 プヤットが空中に手をかざすと真っ黒な空間が生じる。

 そこに手を突っ込み、何かを取り出した。


 おれはその光景に驚き、見入ってしまう。


「アイテムボックスを見るのは初めてのようだね。誰かに盗まれないように私が預かっていたんだ。ここが一番安全だからね」

 取り出した魔白金を机の上に置いた。


「なら、わざわざ魔銀を返したのは何でよ」


「それは、ギルド内で盗まれることを心配してダミーとして入れておいたんだよ。それを受付嬢が勘違いしてしまったんじゃないかな。ところで君たちこそ来るのが早すぎじゃないか? バレル領を出発すると連絡があった日から3日後には到着していたと聞いたよ。私も君たちには魔白金を直接返せるよう日程を調整して急いで視察から戻って来たんだがね」


「……。それでもだましたのは事実でしょ」


 一筋縄ではいかない相手のようでレクチェの旗色が悪くなってきた。


「君たちは私を悪者にしたいようだな……。もちろん迷惑料だったか? その程度払ってやるから少し静かにしていろ。私はこれからアルスと話をする」



 プヤットはおれの方を向きなおし、交渉を持ちかけてきた。

「それでだ。この魔白金を私に売ってくれないか。以前は1kgあたり大金貨2枚でと言っていたが、大金貨3枚で買おう。全部売ってくれるなら白金貨3枚は約束する」


(白金貨3枚ということは……3000万円か)

 正直少し売ってもいいかなと考えてしまう。


「いい条件だが、今回は売らないことに……」


「そう結論を急がないでくれ」

 プヤットはまだ魔白金をあきらめない。


「もし私に売ってくれたら、君には専属の受付嬢を用意しよう。こんな敬語も使えない獣人風情じゃなく、もっと美人で有能な子をつけてやろう。もし君が望むなら性奴隷でもいいぞ。私のコレクションを譲ってやろう」


「……おれにはメープルがいるから」


(なんだか、身体がおかしい。頭がぼんやりして思考が回らない)


「君はまだCランクだったな。Bランク試験で融通を聞かせてやってもいいぞ。持っているスキルといい君はバレルなんかで終わる冒険者じゃないだろう」


 断ろうと思っているのにうまく言葉にできない。

 自分の意思が揺らいで、消えていく。


「こうやって私と会えたのも何かの縁だ。君も冒険者として成功したいのだろう。このプヤットに協力して王都でのチャンスを手にするんだ」



 代わりにプヤットに言われたことがが頭の中に強く残る。

 さっきの誘いがえらく魅力的なものに聞こえる。


「…………。おれは……」


 ビリッ


 はっ


 隣にいたレクチェがおれの背中に雷魔法を撃ったようだ。

 その痛みで頭の中のもやが一気に晴れた。


「アルス君どうしたの? ぼーっとして」


「あぁ。ちょっと疲れていたみたいだ。プヤットさん、魅力的な提案ですが、今回は遠慮させていただきます」


 プヤットは一瞬鋭い目つきになったが、すぐに平静を取り戻した。


「そうか。分かった」

 そう言い残し、部屋を出ていった。



「アルスさん大丈夫ですか? 途中目から光が消えたように……」

 メープルが心配そうに顔を覗き込んでくる。


「どうしたんだろ。途中から思考が回らなくなって……レクチェの雷魔法で目が覚めたって感じだったんだけど」

 おれ自身もさっきのことは理解できていない。

 寝不足でもないし、旅の疲れももうほとんどない。


「ごめんね、急に魔法を撃ったして。アルス君の様子があまりにも変だったから。たぶんプヤットのスキルだと思うけど……。アルス君あいつのスキルは見れた?」


「持っているのは政治とアイテムボックスとあと1つ。分からなかったスキルがあるから、それかもしれない」


「もしかしたら意図的に隠しているのかも。あいつは要注意ね」


 おれとメープルはレクチェに同意し、ギルドから帰ることにした。




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