42.王都
王都は遠くからでも、その姿を確認できた。
周囲は高い城壁に囲まれており、簡単には侵入できない作りになっている。
門番のチェックも厳しいようで、入るために行列ができている。
今回はバレル子爵のおかげで貴族用の入口から入ることができるため並ぶ必要がない。
おれたちは貴族用の入口でステータスプレートの確認と鑑定スキルでのチェックを受け王都へと入った。
「着いたな」
「着きましたね、先生」
「さっそく王都のギルドに行きますか?」
「いや、今日はやめとこう。ギルドは明日、今日はもう日も暮れてるし、宿でゆっくりしよう」
「なら、宿に向かいましょうか。一応王都のオススメ宿も調べてますけど、そこでいいですか?」
「そこお風呂あるのー?」
「ある部屋もあるみたいですが、やっぱりお値段が……」
「アルス君、どうする?」
レクチェが期待を込めた目でこちらを見る。
「おれも風呂有りの生活に慣れてるからそっちの方がいいけど……ちなみにいくら?」
「一番安いところで2人部屋で1泊金貨1枚です……。バレル子爵が払ってくれるといってもあまり使い過ぎは……」
「おれのお金もあるからそこから出してもいいよ。部屋が空いてるか確認しに行こうか」
「お客さま申し訳ございません。ただいまお風呂付きの部屋は1部屋しか空いておりません。どうなさりますか」
「だってさ」
後ろにいるレクチェたちに伝える。
「通常の部屋だったら?」
「そちらの方でしたら空室があります。今空いている部屋は風呂付の部屋が1部屋、通常の部屋が5部屋、スウィートが1部屋空いております」
「スウィートは何人部屋なの?」
横からレクチェが質問する。
「スウィートでしたら、ベットは全部で4台、お風呂も付いており、金貨3枚を頂戴しております」
「ならそこにしまーす」
「え? レクチェそれはちょっと……」
「大丈夫だよ。お金はダンジョンで稼げばいいし。あとアルス君一緒に泊まる約束覚えてるよね?」
おれの耳元で囁く。
「ベルはその部屋で良いのか? やっぱり嫌だよな男と一緒の部屋なんて……」
「その部屋が良いです。お金はあとでお父様に払わせてもいいのでその部屋にしましょう」
ベルは食い気味に主張する。
「……レクチェも稼ぐの手伝う約束だからな」
「分かってるって」
「その部屋でお願いします」
「ありがとうございます。ではご案内します」
案内された部屋には大きな風呂にベッドルームが二つ、リビングには大きめのソファもある。
「アルスさんほんとにこのお部屋で大丈夫ですか? お金が……」
心配そうにメープルが聞いてくる。
「今ギルドの口座残高わかるか?」
小声で尋ねる。
「引っ越しで少しお金を使ったので金貨10枚ほどだったと思います」
(バレル子爵から預かっている金貨の残りが8枚だから……うん、ダンジョンで稼ごう)
「何とかするよ。メープルは気にしないで」
アイテム袋を整理していると部屋を見て回っていたレクチェとベルが戻って来た。
「あたしアルス君と同じ部屋で寝るねー」
「レクチェさんずるいです。私も一緒の部屋が良いです」
あわててベルも主張する。
どういうことか聞くと、寝室は二つに分かれており、それぞれベットが二つづつおいてあるそうだ。
「おれはソファで寝るから好きに部屋を分けていいぞ」
「それはダメですよ。アルスさんも疲れてるのに、私たちだけベットなんて……」
「アルス君約束覚えてるよね? 次はあたしと同じ部屋だったよね」
レクチェは例の約束を持ち出してきた。
「先生約束って何ですか?」
ベルはちょっと怒ったトーンでおれに聞いてくる。
「……ちょっと前にね。レクチェも今回は許してくれないか?」
レクチェは不満そうな顔をしながらも了承してくれた。
結局部屋は男女で別れ、女性陣3人で2台のベットで眠った。
次の日、朝食を済ませたおれたちは王都の冒険者ギルド、中央ギルドに向かっていた。
昨日は到着した時間が遅く、人通りは多くなかったが、流石は王都、並んでいる店の活気がすごく、人だかりができている。
(いろんな店があるな、あとで寄らせてもらおう)
「おいっ!ちゃんと働け」
道に怒鳴り声が響く。
荷物を運ぶ獣人が店主に怒られているようだ。
獣人の首元には首輪がつけられている。
「あれは?」
おれがそうつぶやくと、メープルが答えてくれた。
「奴隷ですね。アルスさんは奴隷を見るのは初めてですか?」
「そうだな。……ああいうのはあんまり見たくないな」
「奴隷の使用には賛否がありますけど、あの方のような犯罪奴隷に関しては厳しく扱われますね」
意外にもメープルがあっさり答える。
「奴隷にも種類があるんだな」
「そうです。この国バレンシア王国は奴隷制を許可してますので、労働力に使われることが多いです。犯罪を犯してその刑罰のために奴隷に落とされると犯罪奴隷、借金のために売られる一般奴隷に分かれます」
「アルス君奴隷に興味あるの?」
「いや、初めて見たから、少し驚いただけだ。足を止めてごめん。行こうか」
おれたちは中央ギルドに向かった。
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