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4.ダンジョン

 ギルドの前では仕事を終えたメープルが待っていた。


「すまない、待たせてしまった。食事でもしながら話を聞かせてほしいけど、それでいい?」


「もちろんいいですよ。何か食べたいものはありますか?」


「せっかくだから、このボアの肉を食べたいな。持ち込みOKなところある?」


「それなら、近くにおすすめのお店があります。こっちです」


 店に到着し、店主にボアの肉を渡し、おすすめされたステーキと煮込みを注文した。

 料理を待つ間にメープルにギルドのことを尋ねる。


「この街のギルドはどんな依頼が多いんだ?」


「そうですね―山での薬草採取系か、ダンジョンのモンスター素材関係の依頼が多いと思います。ボアの肉は人気なので飲食店からも多く依頼がきますから」


「このあたりのダンジョンはどんなモンスターがいるんだ?」


「この辺にあるダンジョンはギーロ山のダンジョンだけですね。地下10階層までしかないので難易度は低めです。出てくるモンスターも低階層ならボアやゴブリン、コボルドが多いです。下の階に行くほどモンスターは強くなって、最下層付近だとワイルドボア、ホブゴブリンが確認されてます。アルスさんもしかしてダンジョンをクリアしようと思われてますか?」


「あぁ、魔法の修業がてらダンジョンクリアを目指そうかと思っている」


 おれの話を聞いてメープルは驚き、慌てた様子で言った。


「ぜーーーーったいに、やめてくださいね!ギーロ山のダンジョンはギルドが管理していて、勝手にダンジョンクリアすると重罪になります。このバレル領もダンジョンの魔石やモンスターの素材がないとやっていけなくなります」


「わかった、わかったから落ち着いてくれ。山から初めて街にでてきてほんとに何も知らないんだ……すまない」


「わたしも最初に説明しておけばよかったです……最下層にはダンジョンコアを守るボスがいて、倒すところまでは大丈夫です。ダンジョンコアにさえ触れなければ、ダンジョンは維持されますから」


「不用意にダンジョンコアには触れないようにするよ。他にも、ダンジョンでのルールがあるのか?」


「そうですね。アルスさんにはダンジョンの常識を1~10までしっかりと教えますから、トラブルを起こさないでくださいね」

そうしてボア料理を食べながらメープルにダンジョンやモンスターに関する常識を教えてもらった。


 料理も食べ終わり、

「そういえば、アルスさんはボアの解体を依頼されてましたけど、あのボアはどこで……?」


「おれはギーロ山からこの街に来たんだが、その道中にな。最初は苦戦したが、今はボアぐらいなら魔法で倒せる」


「えぇっ!通常、ダンジョンの外にはモンスターは出ないはずです。モンスターが地上に出るときは、ダンジョンに何らかの異変があるとき……ギルドマスターに報告に行かなくちゃ。アルスさんも同行してもらえませんか?」


「わかった。急ごう」

 急いで会計を済ませ、冒険者ギルドに向かった。





「メープルおかえりー。デートはどうだったー? って、どしたのそんなに慌てて」


「はぁっ、はぁっ。レクチェ、ギルドマスターはどこ?急ぎの報告があるの」


「2階のギルマス室にいると思うけど…その慌て方はかなりやばいやつ?」


「わからない。でも、緊急案件になるかもです」

 レクチェに返事をしながらギルドマスター室へ急ぐ。


「モラードさん、急ぎの報告があります。ダンジョン外でモンスターが発見されました」


「なんだとっ。ダンジョンの異変か? だが、ダンジョンに潜ってた連中から異変の報告なんて受けてないぞ」


「いえ……ですが、昨日こちらのアルスさんがギーロ山で見かけたと……」


「アルス? あぁ、期待のルーキー君か。本当か?勘違いってことはないのか?」

モラードは疑惑の目を俺に向ける。


「アルスだ。よろしく頼む。山から下りるときに間違いなくボアに出会ったんだが…」


 モラードは頭を抱えながらぶつぶつと呟く。

「ダンジョンに異変はないが、モンスターが外で発見された……。異変に気付いていないのか……わからん。まずは確認からだな。レクチェはまだいるか?それとアルス、お前たち2人でダンジョン周辺とボアを発見した付近の調査を頼みたい。」


「おれは大丈夫だが、レクチェも一緒に行くのか?」

 心配しながら言うと


「心配してくれてありがとっ。でもあたし自分の身は自分で守れるから大丈夫。ギルマスはしっかり残業代つけてよね」


 おれはこっそりレクチェを鑑定して、驚いた。


ステータス

名前 レクチェ

スキル 

身体能力強化 C/A

短剣     C/B

? 

(間違いなくおれより強いな……)


「調査の結果次第だが、もしもの場合は緊急依頼を出すから、メープルはその準備をしておいてくれ」


「わかりました。アルスさん、レクチェ、気を付けて」



 おれとレクチェはすぐに準備を整え、調査に出発した。

 レクチェが先導し、おれがついていく形でダンジョンに向かう。


(速いな。さすがは身体能力強化C。ついていくので精一杯だ)


「アルス君、さっきわたしのスキル見たよね? どうやったのかな?」

レクチェがおれに問いかける。


「なんのことだ? 人のスキルなんてどうやって見るんだよ」


「ホントかなぁー。あたしそういうの、なんとなーくわかっちゃうんだよね。乙女のスキルは秘密だよ」


 そういいながら、レクチェはさらに速度を上げていった。


初ブクマありがとうございます。

めっちゃ嬉しいですね。

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