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38.金属の正体

 ある日の夜にメープルから話があると言われて、3人でリビングに集まった。


「アルスさん、ミノタウロスからドロップした金属の鑑定結果が出たみたいです。」


「あぁ、そんなのもあったな」


 2カ月以上前のことだったので完全に忘れていた。

 以前レクチェとミノタウロスを倒した際に魔導書と一緒にドロップした金属だ。


 おれの鑑定では何も分からず、ギルマス達でもわからなかったため、王都のギルドに送って鑑定を依頼していた。


「あの金属、魔白金というそうです。白金がダンジョンで強い魔力を帯びることで生成される大変珍しいらしく、王都のギルドで買い取りたいと申し出がきてますが……どうしますか?」


「いくらで買い取り希望がきてるんだ?」


「魔白金1kgあたり大金貨2枚ですね。全部で10kgあったので白金貨2枚ですね。すごい金額ですね」


 あまりの金額のすごさにおれは飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。


 レクチェも金額に驚きながらもメープルに質問する。

「白金でも性能の高い武器に使えるんだから魔白金だと相当つかえるんじゃない? どんなのに使えるの?」


「えぇと、少ししか資料を探せなかったんですけど、魔白金は魔力の伝導性がかなり高くて、武器や杖にも使えるそうです。剣や杖の芯に使うことで、魔力のロスを大幅に減らしたり、魔法剣にもできるとありました」


「ふぅーん、かなり価値がありそう。もちろんどうするかはアルス君が決めていいけど、あたしは売らないほうがいいと思うよー。一度手放すと次手にできるのがいつになるか分からないしね」


「私も売らない方がいいかと。もちろんギルド職員の立場としてはあれですが、専属の立場からだと今は使わなくても、持っておいて損はないかと思います。アルスさんの実力なら冒険者としてもまだまだランクは上がりそうですし……。かなり貴重なのであとででも売りには出せるので……」


(金額に目がくらんで売りそうだったとは言えないな……)


「わかった。アドバイス通りに売らないことにするよ。メープル申し訳ないけど断っておいてもらえるか?」


「わかりました。明日王都のギルドに連絡してみます」



 ◆◆◆◆



 翌日の夜、昨日と同じように呼び出され、リビングに集合した。

 ただ、メープルの表情が暗い。


「アルスさん昨日の話の続きなんですが……ちょっと話が複雑になってまして」


「何かあったか?」


「王都のギルドに売らないことは了承してもらえました。ただ、防犯上の観点から護衛なしで送り返すのは無理と断られてしまって……送り返してほしいならAランクの冒険者をつけて送ることになるからその代金、金貨5枚を払え返事が返ってきました……」


「ほんとありえないよね。うちのギルマスも怒ってたし、でも護衛を付けないわけにも……。地方のギルドは王都のギルドにはなかなか逆らえないんだよね。今回のは、たぶんアルス君に取りにこらせて、その時にもう一回交渉しようと考えてるんでしょ」


「Aランクの護衛だと費用的にも法外ではないので送ってもらうならこの条件を飲むしか……」



(すぐに必要なものでもないから、いいんだけど……王都まで取りに行くしかないか)


「王都までどのぐらいかかるんだ?」


「そうですね。馬車を使って片道6日ぐらいだと思います。アルスさんもしかして王都まで行かれるつもりですか?」


「最速で往復しても12日かかるのか。時間があれば一度王都には行ってみたいけど、ベルの家庭教師もあるから、長期間街を離れるのは難しいな……」


「あたしが代わりに取りに行ってもいいけど、道中襲われた時がちょっと不安かな。ごめんねアルス君」



 そのあともいろいろな方法を考えたが答えを出せずにその日もお開きとなった。



 それから数日後、メープルから話があった。


「アルスさん。王都に行けますよ。モラードさんからバレル子爵に魔白金の件で連絡を取ってもらったのですが、家庭教師を少しお休みしてもいいと許可をいただけました」


「本当か? 魔白金のこともあるけど、一回王都に行ってみたかったんだよ」


「ただ、その件がらみで子爵からもお願い事があるみたいで、良かったらこの後子爵邸に一緒に来てもらえませんか?」


「もちろん構わないよ」



 子爵邸に着くと、すぐに客間に通された。


「アルス先生、話は聞いてるよ。王都のギルドに荷物を取りに行かないといけないとか。ベルもここ最近魔法漬けの生活だったから少し気分転換をさせてやりたいと思っていたんだ」


「そういってもらえると助かります。2週間ほどあれば戻ってこれるので、すみませんがその間は家庭教師をお休みさせていただきます」


「了解した。で、ギルドには連絡したんだが……こっちからもお願いがあるんだがいいかね?」


 何をさせられるのか不安になる。

「どんなことでしょうか?」


「そんなに心配しなくていい。その王都への旅にベルを同行させてほしいのだが……どうだろう? 旅の費用はこちらで持つ。もちろん同行するギルド職員二人の分もだ」


「ベルさんも一緒にですか?」

 おれは思わず聞き返してしまう。


「何か不味いことがあるのか?」


「いえ、しっかり護衛をさせてもらいます」

 おれは子爵の有無を言わさぬ態度に押され、了解するしかなかった。




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