37.耳かき
「ふぅぅぅぅぅ、いきかえるぅぅ」
ダンジョンから帰った後の風呂はたまらない。
お湯につかり、転生してからのことを思い浮かべる。
こっちに転移してから約3カ月が経過した。
最初は山の中でボアに襲われ、どうなることかと思っていたが、バレルの街に来てからの冒険者、家庭教師生活は楽しい。
家ではメープルがご飯を作ってくれ、レクチェとトレーニングする日々。
二人ともかわいいし、おれを好きでいてくれることも嬉しい。
まだ、結婚がどうとかはあまり考えれてないけど……。
ベルもおれの生徒としてはもったいないぐらいよくできた子だ。
努力も欠かさないし、魔法に対する姿勢はこっちも見習いたいぐらいだ。
来年までしか、教えれないことは少し残念だが、おれのできる魔法は全部教えてあげたいと思う。
そんなことを考えながら風呂に浸かった。
風呂から上がると、リビングにはだれもいなかった。
(レクチェもメープルも寝たかな? おれも寝るか)
2階にある自分の寝室に行き、ベットに横になる。
コンコン
「アルスさん入ってもいいですか?」
どうやらメープルが部屋に来たようだ。
「あの……腕の治療を……」
「あぁ。ありがとう頼むよ」
ワンピースタイプのパジャマ姿も魅力的で思わず目で追ってしまう。
「お隣座ってもいいですか?」
メープルが隣に座ると甘くて優しい香りが鼻をかすめる。
おれはメープルに腕を差し出すと、腕の火傷の部分を優しく撫でながら回復魔法をかけてくれる。
ほのかに温かい感じが伝わってくる。
メープルの優しい雰囲気も相まって、気持ちが安らぐ。
「腕の治療はおわりです。でも火傷はここだけじゃないですよね?」
「するどいな。両足も同じようにやられたよ」
「やっぱり。ここに寝て、傷を見せてください」
ポンポンっとメープルはベットを叩く。
おれは言われるがまま横になり傷口を見せる。
「これで全部ですね。もう隠したらダメですよ」
「メープルには隠し事はできないな。ありがとう」
「……アルスさんだいぶ疲れてる様子でしたけど、ちゃんと休んでますか?」
「休んでるつもりだよ。ちゃんと夕方には帰ってきて夜は寝てるし……家庭教師も午後だけしかしてないよ。最近は修業の時はちょっと無理したけど、まだ大丈夫だよ」
「それは休んでるとは言いません。ちゃんと休まないと……よければアルスさんを癒してあげたいなって……耳掃除しませんか?」
「耳掃除?」
「そうです。アルスさんは人に耳かきされたことはありませんか?」
「最近はないな。小さい頃はどうだろう?覚えてないけど」
「ちょっとお試しでもいいのでやってみませんか?」
眠気も覚めていたのでメープルの誘いに乗ってみることにした。
耳かきはメープルの部屋でしてもらうことになった。
メープルの部屋には初めて入る。
家事の出来るメープルらしく、小物類もきっちり並べられており整理整頓の行き届いた部屋だ。
「では始めましょうか。アルスさんはベットの方にお願いします」
言われた通り、ベットの方に移動していると後ろの方でシュルルっと音がする。
メープルの格好を見て驚く。
メープルはパジャマを脱ぎ、白のベビードール姿になっていた。
ところどころ透けており、煽情的な姿に思わず見とれる。
「あんまりじっくり見ないでください……」
恥ずかしがるメープル。
「すまん……」
「じゃあ、始めましょっか……わたしの膝に頭をお願いします」
「こ、こうか?」
メープルのやわらかい膝に頭をのせると顔の正面にもふもふの尻尾がやって来た。
「そうです。尻尾は優しく抱くだけにしてくださいね。ビクッてなると危ないので」
おれは許可が下りたのでメープルの尻尾を抱きしめる。
(もふもふで気持ちいい)
「では左耳から始めますね」
おれの耳に耳かきが入ってくる。
カリカリ、カリカリ
「どうですか、痛くないですか?」
おれは頷く。
「よかったです。リラックスしてくださいね」
カリカリ、カリカリ
耳元でささやかれるのもゾクゾクする。
「では奥の方にいきますね」
ゴリゴリ、ゴリゴリ
耳かきをされているはずなんだが、頭の中をほじられている感じで変な気分だ。
力が抜けてふわふわする時間で気持ちがいい。
ゴリゴリ、ゴリゴリ
「お耳ふうしますね」
フゥー
「はーい。左耳は終わりです。反対向けますか?」
おれはもぞもぞと右耳を上にする。
こんどは背中に尻尾が当たり、正面にはメープルの身体が来た。
さっきまでは尻尾のモフモフで意識をそらせていたが、今度はそうもいかない。
ベビードールが目に入り、意識をせずにはいられない。
どくどくと心臓の音が聞こえる。
「右耳はじめますね」
カリカリ、カリカリ
「意外と耳かきも気持ちいいでしょう。たまにはアルスさんもゆっくりしないといけませんよ」
カリカリ、カリカリ
「ひゃっ。アルスさんの息がおなかに当たって……」
「すまん。悪気はないんだ、耳かきが気持ちよくて……」
「ビクッってなっちゃうのでできるだけ当たらないようにお願いします」
カリカリ、ゴリゴリ
「こっちのお耳は梵天で仕上げましょうか」
ふわふわの綿毛が入ってくるようだ。
ふぁさふぁさ、ふぁさふぁさ
「アルスさんどうでしたか?」
「気持ちよかったよ。そのまま寝ちゃいそうなくらいリラックスできたよ。もう動きたくないぐらいだ」
「ぇ。それなら……このまま眠っちゃってもいいですよ?わたしを抱き枕にしてもいいですから……」
おれは迷う。
(もう動きたくないが、甘えてもいいのか……)
結局メープルに甘えてしまい、そのまま寝かせてもらうことにした。
「アルスさん、少し頭を貸してもらっていいですか?」
メープルの両手に導かれ、胸に顔をうずめる形で抱きしめられる。
ドクン、ドクン
メープルの心音が聞こえる。
「わたし専属を賭けた決闘の時のお礼をちゃんと伝えてなかったので……あれはほんとにうれしかったです。あの時から、アルスさんの専属以外は嫌だなって思うようになって、もしまた同じようなことがあっても、ベルさんのように守ってほしいです……」
「もちろん守るよ。おれもメープル以外が専属になるのは嫌だから」
「うれしいです。これからもよろしくお願いします」
おれはメープルを抱きしめそのまま眠りについた。
翌朝
「ねえ、アルス君からメープルの匂いがするんですけど?」
ちょっと怒りモードのレクチェから問い詰められるのであった。
耳かきASMR最高ですよね。
いつも寝るときに聞いてます。
【レーズンサンドからのお願い】
少しでも
「面白い」
「続きが気になる」
「メープルに耳かきされたい」
と思っていただけた方
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作者のモチベーションが爆上がりして、執筆速度が倍になります。(当社比)




