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27.ベルの成長

 引っ越ししてから月日も経ち、ちょっと特殊な生活にも慣れた。

 朝起きたらメープルが朝食を作ってくれてるし、夜はレクチェと短剣や魔法のトレーニングに励んでいる。

 最近は魔法の威力が高くなりすぎて、家の塀を壊しそうになったので、以前倒したオークのドロップ品である魔封じの腕輪をしてから訓練をしている。


 時折レクチェがベッドに侵入してきたり、メープルとお風呂場で鉢合わせするハプニングがあったものの、まだ一線は超えていない。


 家庭教師の方も順調だ。


 ベルは手を抜いたり、さぼったりすることなく魔法の練習に取り組んでいる。


 魔法を教え始めて1カ月、今日はベルの成長を見るテストをする予定だ。


 ◆◆◆◆


 ベルはおれが用意した氷の的に向かって、水弾(ウォーターバレット)風弾(ウインドバレット)を放つ。


 距離は約30m、最初のころは届かなかったこの距離でも今では楽々と当ててしまう。

 杖を使わずとも、かなりの精度で魔法をコントロールできるようになった。


「先生、どうですか?」


 胸を張って自信のある表情で評価を聞いてくる。


「合格だ。次の魔法に進もうか」


「やったー!」


 成長したベルの魔力量は増大し、弾系魔法程度じゃ魔力切れを起こさなくなった。

 家庭教師が休みの日も練習を継続している証だ。


「お手本を見せるよ」

 おれはベルに見せるため手に水球(ウォーターボール)を出し、留める。


「弾系魔法との違いは、加える魔力の量が多いこと。慣れるまでは少し溜めを意識すると大きさをある程度出せるよ」

 前方の的に放ち、命中させる。


「やってごらん」


 ベルはさっき見た魔法をイメージし、水球を作る。

「水球、できた! あっ」


 パシャン


 ベルの杖の先に水球ができたが、喜んだせいで集中力が途切れ、放つ前に球体が維持できなくなった。


「うん。できてるよ。次は前に放つとこまで集中力を維持して」


 ベルの2回目の挑戦は成功した。


 基礎トレーニングがしっかりできてるためか、魔力操作が滑らかだ。

 他の新しい魔法もあっという間に習得してしまうことだろう。


「できました! 次は素手ですよね?」


 ベルの成長速度にはおれの教育スキルの影響も大きい。

 教えたらすぐにできるようになるのだ。

 すぐに魔法を習得できるようになるため一歩間違えると、自分は天才だと勘違いしてしまう。


 魔法を覚える過程の苦労が無ければ、新しい発見やオリジナルの工夫ができない。

 そこを注意して魔法を教えるようにしている。


「おれの水球との違いは分かる?」

 そう言ってもう一度、水球を放つ。


「……威力もですけど、スピードですか?」

 少し迷いながらも気付いてくれたようだ。


「正解。弾系よりも遅くなってしまうのは仕方がないけど、スピードが出せないと避けられてしまう。次からはそこを意識してやってみようか」


 ベルは新しい魔法を覚えたことがうれしいようで、水球や風球(ウインドボール)をどんどん放ち、あっという間に魔力を空にしてしまった。


 ◆◆◆◆


 おれの魔力を注ぎ入れ、落ち着いた後


「すみません。はしゃぎすぎました……あんなにすぐ魔力切れしてしまうなんて」


「おれは全然かまわないよ。今日はもう一つ新しいことを教えようと思っていたんだけど……できそう?」


「もちろんやります!」

 と元気に答えてくれた。



「今から教えるトレーニングは日課の練習でもやってほしい。するのは二つの属性の魔力を混ぜるトレーニングだ。まずお手本を見せるから、おれの魔力をしっかり見ておくように」


 おれは体内で水と風の魔力を混ぜ始める。

 混ざった魔力を体内で循環させる。

 ハイブリット魔法の基本練習だ。


「水と風の魔力を混ぜるんですね。やってみます」


 魔法が撃てるようになってからはとんとん拍子で上達しているベルは自身満々で魔力を練り始めた。


 異なる魔力を混ぜるのは意外に難しく、そう簡単にはいかない。

 流石のベルでもまったくできなかった。


「これ難しいです。思うように混ざらない……」


「そう簡単にはいかないよ。焦らなくていいから、今度続きをしようか。魔法のスピードと魔力のハイブリットは今月の課題だな。じっくりやっていこう」

 おれはそう言い今日の家庭教師を終えた。


(ハイブリットが簡単に出来たら、ちょっとへこむな。おれも時間かかったし……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ベルの現在のステータス

 ステータス

 名前 ベル・バレル

 スキル 魔法(水D/A、風D/A)

 料理(E/C)

 精神力(D/B)


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