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25.引っ越し②

 どうしてこうなった。


 最初はレクチェがおれの家に引っ越したがっていた。

 メープルはそれを止めようとしていたのに今は引っ越す派の方にまわってしまった。

 さらにレクチェだけ引っ越すのは絶対に許さないときた。


 話があまりにもこじれてきたので一旦、お風呂に入って、時間を置くことにした。


 今はおれがお風呂に入っている。

「はぁ~。疲れが取れる。やっぱりお風呂は毎日入らなきゃ」


 転生して以降一回も湯船に浸かる機会がなかったので約2カ月ぶりだ。


「風呂付きの家にして正解だったな。火と水の魔法が使えたらお湯なんてすぐ作れるし、もっと前から引っ越しとけばよかったなぁ~」

 おれは現実から目を背け、今はこのお風呂を満喫することにした。



 風呂から上がり今度は女性陣の入浴だ。


 待っている間におれはソファーで寝息を立てていた。


 ◆◆◆◆


【girls side】


 一方メープルとレクチェはお風呂に浸かり、真剣に話し合っていた。


「で、メープルは正直どうなの? あたしはアルス君に惚れちゃてるからもうこれ以上は引けないよ」


「わたしもアルスさんの専属として……」


「別に専属だからって一緒の家に住まなくてもいいじゃん。あたしはアルス君が好き。メープルはどうなの」


「わたしは……よくわからない。でもレクチェとアルスさんが一緒に住んでて、わたしだけが違うとこに住んでるのを想像したら、嫌だった」


「そっかー。アルス君これからいろんな人からモテそうだもん。今から意識してもらわなきゃ相手してもらえなくなりそうで……あたしはこのチャンスを逃したくない。メープルも一緒に住んで自分の気持ちを確認してみたらどう?」


「うん……。レクチェはいいの? わたしも一緒に住むのは嫌じゃない?」


「アルス君はそんなちっちゃい男じゃないよ。二人とも大事にしてくれると思う。二人でアルス君を支えよ?」


「結婚はまだ早いと思うけど……でもアルス君になら……」


「なら決まりね。お風呂あがったらもう一回アルス君にお願いしてみよっ」


「でも、このままだと断られそう。どうにかしないと……」


 ◆◆◆◆


「アルス君おーきーて」


「ぅうん」


「寝ぼけないでー。魔法で髪を乾かしてほしいなって、できる?」


 意識がはっきりして、二人が近くに来ていることに気づいた。


 ほんのりと上気した肌、ぬれた髪の艶やかな光沢、ほんのりと香る甘い匂いはおれの意識を強制的に引き付ける。

 風呂上りの薄着はメープルのメリハリのある身体、レクチェのスラリとした細身の身体をはっきりさせ、より煽情的に映る。


 おれは照れながらも、魔法で温風を出し、メープルとレクチェの髪を乾かした。

 レクチェの髪は細めでさらさら、メープルはレクチェよりも長めで、二人とも乾かすときに時折触れてしまった耳の肌触りがとてもよかった。



「尻尾もお願いできますか?」

 とメープルに言われたときは、自分の体内の血流が一気に早くなるのを感じクラっと来てしまった。


「ほんとにいいのか?」


「アルスさんだけですよ。前から触りたそうにしてましたので」

 と悪戯っ子のような笑みで言われ、そのまま流されてしまった。


「こんな感じか?」

 膝に尻尾を載せる。

 尻尾の毛の流れに沿って、手櫛を入れ温風で乾かしていく。


 恥ずかしさと気持ちよさが入り混じったような表情でメープルはうなずく。


 乾いていくとふっかふかの尻尾が現れる。

 思わず頬ずりしたい衝動に駆られたが、何とか理性が勝った。


「お、お茶ついできます」

 メープルはキッチンに逃げてしまった。


 レクチェからはジト目で見られ

「アルス君は尻尾大好きなんだ~」

 とからかわれてしまった。



 メープルがお茶を持ってきてくれ、それを飲んで落ち着きを取り戻した。


「さっきの話に戻っていいか?」


「うん、いいよ。あたしとメープルがこの家に住むのってアルス君はそんなに嫌?」


「嫌ではないよ。ただ……」


「男女が一緒に住むってところが引っかかるんだよね?」


「まぁ……」


「でもアルス君もあたしたちの好意に気付いているよね? 獣人が尻尾や耳を触らせるって意味を知ってる?」

「何か深い意味があるのか?」


「んー普通だったら絶対に触らせないってことだけ教えてあげる。アルス君ならあたしの耳毎日触ってもいいから」


「アルスさんどうしてもだめですか?」

 うるんだ瞳がおれの心を揺さぶる。


「……わかったよ。おれの負けだ」


「「やった!」」


 これから先のことを考えると少々頭が痛くなる。

 受付嬢の中でも人気の二人だ。

 他の冒険者にばれたら、嫉妬で恨まれること間違いない。

 恨まれるぐらいならまだいい、決闘を仕掛けられるのも覚悟しておく必要がありそうだ。



「二人とも、引っ越すにしても準備がいるだろ?ベットも無いし」


「アルス君のベットで一緒に寝るのはダメ?」


「ダメに決まってるだろ」

 レクチェの言葉にドキッとする。


「冗談だって~、……実はもうベットも用意してあるんだ」


「まさか……」


「だってアルス君なら断らないかなーって。先に注文しておいたの。お店に連絡したらすぐに持ってきてくれるよ」


(よく見ると皿も、コップも3人分おいてあるな)


「メープルの分も頼んどいたから、心配しないで。アルス君よかったらアイテム袋を貸してほしいんだけど……ギルドの寮においてある私物を運ぶのがちょっと大変で……」


「全部レクチェの手のひらの上か……一緒に住むんだから今後は事前に相談してくれ……」

 アイテム袋をレクチェに渡す。


「ほんとですよレクチェ。ベットのことは聞いてなかったです」


「えへへ、ごめんね。今後はちゅういしまーす」


 アイテム袋があれば荷物の移動もスムーズだ。

 二人の引っ越しはあっという間に終わった。


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