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22.人間魔力タンク

 次の家庭教師の日になり、バレル子爵邸を訪れた。

 魔法を初めて成功させた日以来、二日日ぶりになる。


 いつも通り部屋に通されると勉強しているベルがいた。


「ベル様は勉強熱心ですね。切りの良いとこまで終わったら始めましょう」


「先生また敬語に戻ってる。先生は私より上の立場なんですからってこないだ言いましたよね」

 ツンとした態度をとるベル。


「ごめんごめん。意識的に敬語を話すようにしていたから癖になっちゃったみたいで……気を付けるよ」


「分かったならしっかりお願いします。ところで今日は何をするんですか? 次の魔法ですか? ……それとも魔法回路の拡張ですか?」

 頬を赤らめながら質問をしてくる。


「まだ、ベルに次の魔法は早いかな。今日やるのは基礎練習だよ。魔法は撃つだけが上達のコツじゃない。魔力の伝達や加える大きさ、スピードとかの練習も大事な練習なんだ。ベルはまだ魔力量が少ないし、水弾(ウォーターバレット)を4発ぐらいで魔力切れしちゃうから、工夫して練習しないとね」


「分かりました。で、魔力拡張は?」


「……最後の方にしようか。できるだけ見ないようにするから」


「いえ。大丈夫ですよ。私のためですし是非お願いします」


 成長する効率を考えたら魔力拡張はどうしても外せなかった。

 まだベルの魔力回路は狭いし、魔力量も少ないからすぐに拡張することは期待できない。


(また、あの雰囲気になるのか……。ベルは生徒だし、そういう対象ではないが……整った顔してるし、ちょっとエロいけどおれが我慢すればいいだけ)



「まずは、魔力の循環からやってみようか。ベルは自分の心臓のあたりに魔力を感じれるかな?」 


「うっすらと感じることはできます。このあたりですよね」

 左胸のあたりに手を当てる。

「そうだね、そこから魔力を少量出して、左手、左足、右足、右手の順に移動させる。ゆっくりでいいからやってみようか」


 ベルの魔力は左胸からゆっくりと動き始め、左手、左足と動く。

 言葉でいうのは簡単だが、まだ魔力に慣れていないベルにはかなりの集中力を必要となる。


 途中身体に力が入ったり、無意識に身体が動く。


「ベル、力を抜いて。身体の中を魔力が通り抜けるイメージを常に持っておくんだ」


 わかったと力強く目を見て答えてくれる。


 この間よりベルが授業に真剣に取り組む姿を見て、自分が先生と認められたことを実感し少しうれしくなった。



「よし、1周できたね。魔力が止まったり、身体の力みとかがあったとこは分かった?」


 真剣な表情で答える。

「分かりました。途中魔力が詰まった感じがして、それをどうにか動かそうと……」


「まだ回路が狭いのもあるみたいだね。今更だけどお手本を見せようか……このぐらいの魔力だったら感知できるかな?」


「たぶん大丈夫です。先生の左手から魔力を感じますけどあってますか?」

 少し自信なさげに答える。


「あってるよ。これを右回り……、左回り……とこんな感じで滑らかに移動させる」


「早いです。さすが先生です。私ももう一回してもいいですか?」


「やってごらん」


 ベルはさっきよりも滑らかに魔力を循環させてみせた。


「こんな感じであってましたか?」


「だいぶ良くなってきたよ。次は逆方向にしてみようか」


◆◆◆◆


 魔力循環の練習の後は魔法を放つ練習だ。


 通常杖を使って魔法を放つが、おれはそれだけでは不十分と感じている。

 杖が無くても魔法が必要な場面はあるし、護身用でも手だけでの魔法の発動ができた方がいい。

 ダンジョンでモンスターと戦う際も両手が空いている方が動きやすいし出来るに越したことはない。



「次は水弾(ウォーターバレット)風弾(ウインドバレット)をしようか」


 ベルの表情がパァァァと明るくなった。


(できるようになった魔法を撃ちたくってたまらない感じかな)


「ベルにやってもらうのは三通り。杖と右手と左手で魔法を撃ってもらう」


「手で撃つんですか?」


 おれは手で魔法を放つことのメリットを伝える。


「なるほど。先生以外に手で魔法を放てる人を見たことが無かったので……でも先生の弟子って感じでいいですね」

 と納得してくれた。


「でも、私4発ぐらいで魔力切れ起こしちゃうから……魔力ポーションを飲むんですか?」


「いや、おれの魔力をベルに使ってもらおうかと思ってる。毎回ポーション飲んでたらお金もかかるから」


 ベルの魔力切れ対策でおれが考えていたのは、おれの魔力をそのままベルに入れるということだ。

 魔力量の多いおれなら、ベルの外付けバッテリーのような感じでほぼ無限に魔力を供給できる。

 これならベルの魔力が無くなっても魔法の練習ができるし、おれは魔力消費してさらに魔力量を増やせる一石二鳥だ。


 ベルは杖を使って水弾と風弾を放つ。

 この間より威力とスピードが上がってる。


「ベル。休みの間に練習してたな。よくなってるよ」

 とほめると、もっと見てくださいと言わんばかりに残りの魔力を使い魔法を放った。


「先生魔力が切れました……」

 少し顔色が悪く、頭も痛そうだ。


 魔力切れを起こすと、頭痛や吐き気が身体を襲う。

 ダンジョンに潜っているときなんかでは致命傷になる。


「嫌かもだけど手を握って」

 おれの手をベルに差し出す。


 おれは手を通してベルに魔力を送る。

 もちろん魔力酔いも起こってしまうが、仕方ない。


(きっとバレル子爵も許してくれると思いたい)


「ベル。酔いがさめたら次は右手、そのあとは左手で魔法を撃ってみようか」


「ふぁい。大丈夫れす」


 ベルはお酒にも弱そうだ。


◆◆◆◆


 魔力タンク作戦もうまくいき?魔力回路の拡張、最後は魔力を枯渇させて今日の授業を終えた。

 前回と同様に魔力回路の拡張でベルはヘロヘロになっていたが、何故かちょっと気持ちよさそうだった。


「先生今日もありがとうございました」


「ベル魔力切れ起こしてるから無理しないでいいよ」


「うぅぅ。頭が痛いです。でも魔力を増やすためなので……」


(これから何回も魔力切れになるから対策も探しておかないと……メープルに聞いてみるか)


 ベルの成長のためなら何でもしてあげたいなぁそんな気持ちになりながら帰路についた。


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