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18.決闘

 おれはバレル子爵邸からの帰り、報告がてらにメープルに会いに行った。


「……けんな、……よ」


 ギルドの中が何やら騒がしい。


 中に入ると冒険者の一人が受付で暴れている。


「メープルちゃんはどこだよ。俺の担当にだったのに急に変わるなんて聞いてねーぞ」


「まぁまぁ落ち着いてください」

 暴れている奴を職員が諫めている。


「アルスとかいうやつの専属になったと聞いた。おい、おまえそいつを連れてこい。そいつよりも俺が強いって証明すればいいんだろっ」


(ターゲットはおれかよ……)


「ブル、落ち着けって。お前じゃアルスには勝てねーよ。あいつの魔法見たことないだろ、あれは相当なレベルだぞ」


 新ダンジョンで一緒にもぐっていた冒険者も止めようとする。


「ふざけんなよ。ぽっと出の雑魚に俺が負けるわけないだろ。こないだスキルを貰ったって聞いたぞ。そんなルーキーにあと少しでBランクの俺が負けるとかありえねーだろ」


 しかし、ブルという冒険者の怒りは収まらないようだ。


「大体、黒鉄たちもミノタウロス相手にボッコボコにされて、一太刀ぐらいいれられるだろうが。いつからこの街の冒険者は腰抜けしかいなくなったんだよ。俺があのとき街にいればサクッと解決してやったのによぉ」


 ブルはギルド中央の椅子に座り、酒を飲みながら文句をたれている。

 もしかしておれが来るのを待っているんだろうか。


 ギルドの入口でおれが出ていくかコッソリ帰るか迷っていると、それに気づいたレクチェが大声で話しかけてきた。


「アールースくんっ。お疲れさま。メープルなら今は席外してるよー。それとも決闘を受けにきたのかなー」


 ギルドにいた人の視線が一斉におれに集まった。


(遅かったかー。レクチェにしてやられたな)


 でかい巨体を揺らしながら、ブルという冒険者が近づいてきた。

 上背があるせいかかなり威圧感がある。


「お前がアルスか?」


「多分君の探してるアルスで間違いないよ」


 その瞬間ブルのこぶしが強く握られる。


 間を測ったようにレクチェが止める。

「ストッーープ。ここで始めるのはやめてね。迷惑にならないように裏の訓練所でやってもらうから」


 ここまで来て逃げれるわけもなくおれはブルとギルドの裏に移動した。

 もちろん中にいた人全員も一緒についてきた。

 久々の乱闘にみんなも浮足立っているようだ。


 移動をするとレクチェは審判のようなことをし始めた。


「ブルさんが勝ったら、アルス君はメープルの専属を解く。アルス君が勝ったらブルさんは迷惑料としてアルス君に金貨1枚、ギルドに金貨1枚を支払う。あと怪我はいいけど命に係わる攻撃はしないこと。これでいい?」


「はぁ?なんでおれが負けたら金払わねえといけね-んだよ」


「それならアルス君に戦う得が無いでしょ。他に何か出せるものがある?奴隷にでもなるの?それとも勝つ自信がないの?」

レクチェもかなりキレているみたいだ。


「俺が勝つに決まってるだろ。わかったよ。その条件でいい」

レクチェに煽られて納得するブル。


「アルス君もそれでいい?」


 おれがうなずくと決闘がはじまった。


 お互いに距離を取りおれとブルが向き合った状態だ。


  魔法を警戒してか、一気に距離を詰め仕掛けてきた。

 ブルは背中の大剣を構え、おれに斬りかかってくる。

 言うだけあって、剣の振りは中々のものだ。


(こいつ、完全におれを殺しに来てるな。暴れてるときに確認したステータスは大剣B/Bに筋力強化C/C。大剣にさえ気を付けていれば……)


 おれはその場から動くことなく、氷盾(アイスシールド)で剣を弾く、弾く、弾く……


 キィン、キィン、キィン


「ほらほら、攻撃して来いよ」


 防御一辺倒なおれに、優勢ととれていると思っているのか煽りながら大剣を振り下ろす。


 無言でひたすら相手の攻撃を受け止めてやる。


◆◆◆◆


 何度弾かれても負けじと力任せに大剣を振るブルだったが、途中から体力が尽きたのか動きが鈍り始めた。


「さっきまでは強気だったのにもうへばったのか?まだ20分しかたってないぞ」


「はぁ、はぁ……守ってばっかかよ。腰抜けが」


「攻撃しないであげただけだ。もう力は十分に出せたか?」


 開始直後に比べると明らかにスイング速度が落ちていた。


「そんなノロマな剣に当たるやつを見てみたいね」


「なんだとぉぉぉぉ」

 再度切りかかってくるブル。


 振り降ろす剣を水刃(ウォーターカッター)で迎え撃つ。


 バキィィィン


 大剣はブルの手からすり抜け、真っ二つに折れた。


「なっ」


 その隙におれはブルの喉元に氷槍(アイスランス)を突き付けた。


「まだやるか?」


「まd、ぐっぅ」


 ブルは一瞬戦うそぶりを見せたが、氷槍の先端を喉に刺すとあきらめた。


「……まいった。くっそぉぉ」


 そう言ってブルは走り去っていった。


「アルス君、お疲れ様。カッコよかったよ。もう少しボッコボコにしてもよかったけどっ」


「まったく、やってくれたな、レクチェ。そしてしっかり自分も稼ぎやがって……」


「これでメープルに変な虫がつかないんだからアルス君にも得だよ。あとで金貨はギルドの口座に振り込んどくね」


「分かった。――メープルに用事があって来たんだけど、どこにいる?」


「案内するよ。今度からこっちの専属用の受付を使ってね」


 受付の横の通路を通され、小部屋に案内された。




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