17.バレル子爵
子爵邸への道中、使いの人が話しかけてきた。
「お前、俺のことを覚えているか?」
おれはそいつの顔をじっと見て、思い出した。
「もしかして、教会で神託を受けたときにいた……」
「おっ、覚えててくれたか。良いスキル持っていたから俺も気になっていたんだが、大活躍してる噂は聞いてるぞ。旦那様もこないだのダンジョンの話を聞いて興味を持ってたよ」
「いえ、それほどでも……」
「俺のことはサイルと呼んでくれ、平民だから敬語はいらないよ。旦那様の依頼を受けるなら会うことも多くなるし、仲良くしてくれ」
「アルスだ。これから世話になることがあると思う。よろしく頼む。バレル子爵のところって他にはだれかいるのか?」
「旦那様に奥様、娘のベル様、息子のルーベン様それと常駐する使用人があと3人だな。みんないい人だから大丈夫だよ」
「心配なことがあって……礼儀が……」
「大丈夫だって……」
そんな会話をしながら子爵家に向かった。
バレル子爵邸は冒険者ギルドより少し小さいサイズで、庭もあり管理が行き届いているようだ。
おれは到着後すぐに客間へと案内された。
絵画や花の飾られた客間の椅子で緊張しながら待っていると、身なりの整った男性が入ってきた。
おれは慌てて立ち上がり、頭を下げる。
「私はクート・バレル。そんなに緊張しなくても大丈夫、君のことはモラードから聞いてる。この間のダンジョンの件は大活躍だったそうじゃないか。街の長としても君には感謝しているよ。今回来てくれたということは依頼の件、受けてくれるということでいいのか?」
「はい。是非受けたいと思ってます」
「そうか、頼むぞ。妻と娘、息子を紹介しよう。入ってくれ」
クートさんが合図をすると、奥さんと娘が入ってきた。
「こっちが妻のオリヴィエ、娘のベル、息子のルーベンだ。ベル、これから魔法の先生になってもらうアルス先生だ。しっかり勉強して立派になるんだぞ」
「お父様、分かってます。バレル家の一員として恥じない魔法使いになりますわ」
「アルスさん、娘のことよろしくお願いしますね」
「精一杯努力させていただきます」
挨拶が終わり、今後の打ち合わせになった。
打ち合わせはクート、執事長のトール、おれで始まった。
内容はベルのスキルについてと授業の時間、おれのスキルの確認だ。
魔法の水と風のスキルを持っており、最大値もAと将来性もある。
授業は週に月火木金の4回、時間は午後にしてもらった。
最初のうちは家の庭で練習することにした。
給料はすでにギルドに払っているらしく、毎月ギルドの口座に振り込まれる形だ。
おれのスキルに関しては、ステータスプレートの確認と魔法を見せることになった。
また、ベルともう一度顔を合わせの時間も同時にもらった。
一応鑑定をしておくためだ。
「初めまして、ベル様。冒険者のアルスです。自己紹介のために魔法をお見せします」
水弾、水球、水刃など魔法を的に向かって放った。
もちろんかなり手加減をしている。
最後氷球を空に放ち、水弾でバラバラに砕き雪を降らせ、魔法の披露を終えた。
魔法へのあこがれが強いのか、その翡翠の色をした目をキラキラとさせていた。
「アルスのようにわたしも魔法を使えるようになるかしら……」
少し不安げな少女の顔がとても印象に残った。
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鑑定したベルのステータスです。
ステータス
名前 ベル・バレル
スキル 魔法(水E/A、風E/A)
料理(E/C)
精神力(E/B)




