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16.Cランク昇格

「こんにちは、アルスさん。先日はありがとうございました。アルピスさんがお洋服を持ってきてくださって……これもアルスさんからだって聞きました」


「買い物に付き合ってくれたお礼だよ」


「そんな……ありがとうございます。あ、そうです。アルスさん昨日のことでギルドマスターとレクチェが待ってるんでした。こちらにどうぞ」


 部屋に案内されると、モラードとレクチェが待っていた。


「とんでもないことやってくれたな。レクチェの話にのって許可した俺も悪いが、本当に最下層まで行くとは……。依頼料は浮いたが、本部からだいぶ怒られたぞ」


「アルス君、昨日のドロップとミノタウロスの角をだしてー。確認するんだって」


 おれは部屋の机にドサッと出した。


「これが言っていた正体不明の金属か。どうするギルドで調べてみるか?少し預かることにはなるが……」


「じゃあ頼むよ。あとは魔石とゴーレムからとれた金属は買い取ってもらってもいいか?」


「もちろん、買い取らせてもらう。あとで解体所のところにまとめて出してくれ」


「分かった。ならこれで……」


「まぁ、待て。重要な話が3つある。まずはアルスCランクに昇格だ。実力も実績も十分だ。レクチェからも報告を受けている。Cランク以上は本部の試験が必須だからここまでしか上げてやれないのを残念に思うが、お前ならすぐにでも合格できると思う。応援してる」


 レクチェは、おれに向かってピースをしている。


「2つ目は専属についてだ。本来はAランク以上の冒険者に専属のギルド職員をつけて、今まで以上にダンジョン探索の手助けをしてもらう制度なんだが……。これまでの実績とアルスの常識の無さを考えて専属をつけることにした。アルスの希望はいるか?」


(信用されてるのかされてないのか分からないな……。おれが関わったことがあるのは、メープルとレクチェ。どっちお願いするか……)


 困ってレクチェを見ると口パクでメープルと言っている。


「メープルでお願いしたい」


「分かった。あとでメープルにも伝えておく。最後の3つ目なんだが指名依頼についてだ」


「指名依頼?」


 おれが疑問に思っていると

 レクチェが補足してくれた。


「指名依頼っていうのは依頼者が冒険者を指名した依頼のことだよ。受ける受けないは自由だけど、普通の依頼より報酬が多いし、名誉なことでもあるからあんまり断る人はいないかな」


「まだ、まともに依頼を受けたこともないおれに指名依頼がきてるのか?」


「そうだ。依頼者はバレル子爵だ。内容はバレル子爵の娘に魔法を教える、要は家庭教師だな。リートが受けてようとしていた指名依頼だ。リートの怪我で、急遽その代役を探すことになって、リートと俺が推薦したお前に指名が来たってわけだ。話だけでも聞きに行ってみないか?」


「分かった。この後すぐ行けばいいのか?」 


「待て待て、そう焦るな。メープルに連絡を取ってもらって、そのあと子爵の家に向かってくれ。報酬についてもメープルが知ってるからちゃんと確認しておいてくれ」


 おれはコクリと頷いた。



 話を終え部屋から出ると、レクチェもついてきた。


「アルス君も専属持ちかー。メープルのこと大事にしてあげてね」


「あぁ、面倒はかけないように気を付けるよ」


「ちっちっちっ。そーゆー意味じゃないの。なんでギルドが専属つけるかわかる?」


「ただのサービスじゃないのか?」


「その面もあるけど、こっちよ」


 レクチェは手でハートを作った。


「専属になって冒険者と受付嬢が恋人になれば、ギルドのお願いを断りにくくなるでしょ? 冒険者のモチベーションも上がるし、受付嬢の将来的にも悪いことではないわ」


 おれは少し動揺しながら

「そんな意味が……断った方がよかったか」


「アルス君はメープルじゃ不満なの?あんなにかわいいのに」


「不満はないけどメープルに迷惑じゃ……」


「そこは大丈夫、メープルもアルス君のこと信頼してる。あたしもメープルにはアルス君の専属になってほしかったから……。メープルは受付嬢としては優しすぎるのよ」


「それならいいけど」



 そのまま1階にいるメープルにレクチェが話しかける。

「メープル、アルス君がメープルを専属にしたいって。いいよね?」


「え? わたしがアルスさんの専属……もちろんお願いします。でもアルスさんこそわたしでいいんですか?レクチェの方が可愛いし……」


「おれはメープルにお願いしたいと思ってる。最初に来た時からおれにいろいろ教えてくれたから……今後もよろしく頼む」


「わかりました。わたしもアルスさんの力になれるように頑張ります!」



 おれはメープルにさっきの指名依頼の話を伝えると

「分かりました。バレル子爵に時間を確認しますね。使いの人を出すので待ってる間に依頼の内容を説 明しますね」

 そういって席を離れるメープル。

 

 待っている間に周りを見てみると、ひそひそと他の冒険者がおれを見て話をしている。

 さっきのレクチェが大きな声で専属の話をしたのが広まっているようだ。

 

(レクチェめ、絶対わざとだよな……)



「お待たせしました。指名依頼の内容の説明をしますね。内容は子爵の娘さんに魔法を教える。期間は貴族学校入学前までとあるので2年ないぐらいですね。報酬は月に金貨5枚なので悪くないと思います。注意事項は……」


 メープルから説明を受けていると、子爵の使いの男がやってきた。


「子爵の使いの方がいらっしゃいましたね。アルスさん行ってらっしゃい」


 おれは使いと一緒に子爵邸に向かった。


2章のスタートです。



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