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31話 魔物退治

 数十人の騎士を連れて意気揚々と森の中へ入る。


 気温の高いチェスター領にいて忘れていたけど、季節は秋で森の中というだけあって、少し肌寒いわねぇ。

 上を見上げれば、森の中の木々もうっすらと黄色くなっていて秋を感じるわ。

 ドレスの依頼が冬じゃなくてよかった。


 とりあえず、レオンにこの世界の植物図鑑を用意してもらって、それを片手に森までやってきたから準備は万端なの。

 いろんな植物を一通り大量に採るとしましょう。


 騎士たちと一緒に、見たことのない植物を手当たり次第にかごに入れ、森の奥をぐんぐんと進む。

 植物で全員の籠がいっぱいになるころには森の中心部近くまで移動していて、気付けば夕方になっていた。


 もう少し取りたかったけど、騎士たちに「魔物が出るので危ないから帰りましょう」と急かされたので、家に帰ることにした私たちは、目印として木につけた傷を辿っていると、茂みの奥から物音がした。

 何事だと思い茂みのほうを見つめると、茂みの奥から黒いオーラを纏った3mはありそうな真っ黒な得体の知れないものが現れた。

 こんなものは初めて見たから断言できないけど、獣とも違うこの禍々しい化け物は魔物なんだと思う。


 魔物とは負のオーラや瘴気が魔石となり、魔物と化したもの。

 魔物を倒すと手に入る魔石は魔力を溜めることができて、ギルドで売り買いができるらしい。

 魔物の強さと魔石の魔力の量と質で値段が変わるとも聞いたことがある。


 騎士たちは一斉に魔物に襲い掛かるけど、びくともしておらず、魔物が腕を一払いするだけで何人もの騎士が戦闘不能になる。

 瞬きをする間に半数が傷を負ってしまった。


 このままじゃ全滅してしまうんじゃないの?

 ここは戦わずに、傷を負った騎士を連れてこの場から逃げないと!


 動ける者たちで傷を負った騎士たちを担ぎ、ゆっくりと後ろに下がっていくと、後ろや右斜め後ろからも禍々しいオーラがする。

 何だか、すごく嫌な予感が……。


 ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには前にいる魔物より一回り大きな魔物が2体。


 これって、かなりまずいんじゃない?

 魔物に囲まれちゃったよ?

 このまま何もしなかったら私も騎士たちも間違いなく死ぬ。

 でも武器なんて持っていなければ魔法も使えない。

 一体どうすればっ!!



『何か武器を想像してみてください。きっとオルガの役に立ちます』



 本当に大丈夫なのよね!?



『それはオルガ次第です』



 そ、そんな! 武器って……、武器が現れたら魔物と戦うわけでしょ?

 そうとなれば、魔物から距離をとって攻撃できる弓矢がいいのかしら?

 というか、こんな大きくて魔力も計り知れない魔物を私が倒せるわけがないわっ!!


 そんなことを思っていると、私の体がピンク色に光り輝き、右手に光の玉が現れると変形して弓と矢になった。

 これであのバカでかい魔物が倒せるかわからないけど、今はこれを使ってこの場を乗り切るしかない。


 勢いよく迫って来る目の前の2m近い魔物に照準を合わして矢を放つと、凄まじい光を放ちながら、森中の木をなぎ倒すほどの勢いで魔物に命中して貫通すると、魔石だけを残して跡形もなくなった。

 2mの魔物を貫通した矢は、2つに分かれて2本になり、残りの2体の魔物めがけて軌道が移動すると、先ほどの魔物同様に跡形もなく消えていった。



「なんなの? 今の……」



 状況が理解できない面はあったが、美の女神が私の体に宿っていなければ、私は間違いなく死んでいたでしょう。


 美の女神、本当にありがとう!

 今ほどあなたを体に宿してよかったと思ったことはないわ!



『それはよかったです』



「オルガ様が魔物を倒したぞーっ」

「嘘だろ? あんな強大な魔力を持つ魔物をたった一人で!」

「しかも見たこともない魔法で一瞬のうちに倒しちまった! これも美魔法の力なのか?」



 騎士たちが歓声を上げて魔物を倒したことを喜び、私を讃えた後、傷を負った騎士たちに持って来たポーションを飲ませ、何とか森を後にすることができた。



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